まず結論
東京都の創業助成事業は、店舗や事務所の賃料、広告、備品、従業員給与、市場調査など、創業初期に資金が出ていきやすい項目を広くカバーします。上限400万円は大きいものの、申請すれば受け取れる給付金ではありません。
最初の分かれ目は、指定された23種類の創業支援事業のいずれかを利用しているかです。この要件は準備に概ね3か月以上かかると公社が示しており、2026年8月29日時点で未利用なら、9月29日開始の第2回募集には時間が足りないケースがあります。
採択後も経費を先に支払い、実績報告と検査を経て助成金を受け取る流れです。最大額より先に、対象資格、立替資金、支出時期の3点を見ておく制度です。
2026年度第2回の募集概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付 | 2026年9月29日10:00~10月8日23:59 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請のみ |
| 助成率 | 助成対象経費の3分の2以内 |
| 申請額 | 100万円以上400万円以下 |
| 事業費・人件費枠 | 合計上限300万円 |
| 委託費枠 | 上限100万円 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から6か月以上、最長2年 |
| 交付決定予定日 | 2027年3月1日 |
申請下限が100万円なので、助成率を3分の2として単純計算すると、少なくとも150万円の助成対象経費が必要です。上限400万円には600万円相当の対象経費が要りますが、事業費・人件費300万円と委託費100万円の枠も守らなければなりません。
申請できる人
主な対象は、次のいずれかに該当し、申請要件1~4をすべて満たす人です。
- 都内での創業を具体的に計画している個人
- 法人登記から5年未満で、都内に本店と事業実態がある中小企業の代表者
- 開業届の提出から5年未満で、都内に納税地と主たる事業所がある個人事業主
- 法人登記から5年未満で、所定の条件を満たす特定非営利活動法人の代表者
法人登記や開業届から5年未満でも、個人事業主や法人代表者としての経営経験が通算5年以上ある人は対象外です。別法人の代表、雇われ社長、子会社社長としての期間も経営経験に含まれます。
一般社団法人、一般財団法人、事業協同組合、学校法人、医療法人、社会福祉法人などは対象外です。個人開業医や、風俗関連業、ギャンブル業など申請できない業種・業態もあります。
指定された創業支援の利用が必要
申請要件2では、公社や東京都、区市町村、金融機関などが実施する23種類の創業支援事業から、いずれか一つの要件を満たし、確認書類を提出します。
代表的な経路には、TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングによる事業計画書策定支援、認定インキュベーション施設への入居、東京都のアクセラレーションプログラム、創業者向け制度融資、区市町村の認定特定創業支援等事業などがあります。
単にセミナーへ一度参加しただけでは該当しない制度もあります。支援終了、一定期間の入居、融資実行、プログラム採択など、経路ごとに到達条件と証明書類が違います。第2回を検討する人は、すでに利用した支援が23項目のどれに該当するかを先に照合したいところです。
対象になる経費
| 区分 | 主な対象経費 |
|---|---|
| 事業費 | 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費 |
| 人件費 | 従業員人件費 |
| 委託費 | 市場調査・分析費 |
人件費や委託費だけでは申請できず、事業費を含める必要があります。各経費は、申請した事業に必要であり、使途や単価を確認でき、他事業の支出と明確に区分できるものが対象です。
器具備品購入費は、1点当たり税込1万円以上50万円未満が対象です。都内の事務所・店舗などで使う机、パソコン、コピー機といった単体で機能する備品が例として挙げられています。
交付決定前の契約・支払いに注意
原則として、助成対象期間中に契約、履行、支払いまで完了した経費が対象です。交付決定予定日の2027年3月1日より前に購入・支払いを済ませた広告費や備品代などは、創業のための支出でも対象になりません。
賃借料と従業員人件費は、交付決定前に契約した内容も対象になり得ますが、対象期間より前に支払った分まで助成されるわけではありません。敷金、礼金、保証金、仲介手数料、火災保険料、バーチャルオフィス利用料なども賃借料の対象外です。
クレジットカードや分割払いを使う場合、最終支払いや口座引き落としが助成対象期間外になると対象から外れます。発注日だけで判断せず、契約、納品、支払いの全日程を対象期間内へ収める設計が要ります。
JグランツとGビズIDを先に準備
申請はJグランツだけで受け付けます。窓口、郵送、電子メールでは提出できません。利用にはGビズIDプライムが必要で、発行審査に1か月程度かかる場合があります。
申請フォームへの入力に加え、申請書や証明書類をPDF化してアップロードします。法人では発行後3か月以内の履歴事項全部証明書、事業形態によって確定申告書や納税証明書、創業支援の利用を証明する書類などが必要です。
2026年8月29日時点で、第2回申請者用電子マニュアルは未公開で、9月中旬頃の公開予定です。GビズIDと募集要項に基づく書類準備を先に進め、マニュアル公開後に入力手順を合わせる流れになります。
書類審査と代表者面接がある
審査は、書類審査、面接審査、総合審査の順です。事業内容の完成度、顧客と市場の理解、競合との差別化、収益の仕組み、販売戦略、資金調達、助成金を受け取れない場合の事業継続性などが見られます。
書類審査の結果は2026年12月中旬頃の予定です。通過者の面接は2027年1月6日~14日の平日日中に行われ、代表者本人が日本語で対応します。指定日以外への変更はなく、欠席すると辞退扱いです。面接には申請時に提出した書類だけを持ち込め、追加資料やパソコン、商品サンプルは使えません。
最終結果は2027年3月上旬にJグランツで通知されます。採択時は、法人名、代表者名、事業概要などが公社サイトで公開されます。創業予定者や個人事業主は本名が公表対象です。
助成金は後払い
交付決定後、申請者が対象経費を支払い、実績報告を提出します。公社の検査で経費が適正と認められた後に助成額が確定し、支払われます。見積書、契約書、振込記録などの証拠書類を保管し、助成事業以外の経費と分けて管理する必要があります。
対象期間が6か月を超える場合は、6か月経過後に1回だけ中間払いを申請できます。それでも最初の支出を賄う資金は別途必要です。審査でも、助成金が交付されなくても事業を続けられる収支計画が確認されます。
申請前のチェック表
| 確認項目 | 判断の目安 |
|---|---|
| 創業時期 | 創業前、または登記・開業届から5年未満か |
| 経営経験 | 個人事業主・法人代表として通算5年未満か |
| 都内拠点 | 登記・納税地だけでなく、都内に事業実態があるか |
| 創業支援 | 指定23事業のいずれかを利用し、証明書類を出せるか |
| 対象経費 | 事業費を含め、助成対象経費が150万円以上あるか |
| 資金繰り | 後払いまでの支出を自己資金や融資で立て替えられるか |
| 電子申請 | GビズIDプライムとPDF書類を準備できるか |
| 面接 | 2027年1月6日~14日の指定日時に代表者が出席できるか |
まとめ
東京都の2026年度第2回創業助成事業は、2026年9月29日10:00から10月8日23:59までJグランツで受け付けます。助成率は3分の2以内、申請額は100万円以上400万円以下です。
対象経費の幅は広いものの、指定された創業支援の利用、経営経験5年未満、都内の事業実態、GビズID、書類・面接審査、後払いへの対応が必要です。すでに要件2を満たす人は、交付決定前に支出しない経費計画と、助成金なしでも回る資金繰りを並行して作ることになります。
出典
- TOKYO創業ステーション「創業助成事業」
- TOKYO創業ステーション「申請要件2一覧」
- 公益財団法人東京都中小企業振興公社「令和8年度第2回創業助成事業 募集要項」
公式ページと令和8年度第2回募集要項を2026年8月29日に確認しました。申請資格や必要書類は、創業時期、事業形態、過去に利用した支援、納税地などで変わります。