まず結論
この改正の対象は、障害のある人の職場適応を支える法人・事業主です。個人に一律で現金が給付される制度ではなく、要件を満たす支援を実施した認定法人や事業主が、JEEDへ認定申請と支給請求を行います。
今回の変更で、地域障害者職業センターが作成・承認した計画だけでなく、上級職場適応援助者が関わった計画も制度上の選択肢になりました。上級研修を修了した人材を置く法人や、社内の企業在籍型職場適応援助者を育成している会社は、支援計画の作成者・承認者と請求区分を先に整理すると手戻りを減らせます。
令和8年度の主な変更点
| 区分 | 令和7年度までの中心的な扱い | 令和8年度からの拡充 |
|---|---|---|
| 訪問型 | 地域障害者職業センターが作成・承認した計画に基づく支援 | 訪問型上級職場適応援助者が作成・承認した計画に基づく支援も対象 |
| 訪問型の上級活動 | 通常の訪問型支援が中心 | 支援計画の策定・承認、ペア支援、ケース会議などを対象化 |
| 企業在籍型 | 地域障害者職業センターが作成・承認した計画に基づく社内支援 | 訪問型または企業在籍型の上級職場適応援助者が作成・承認した計画に基づく支援も対象 |
| 企業在籍型の上級活動 | - | 上級者による計画の作成・承認そのものは対象外 |
ここでいう上級職場適応援助者は、上級職場適応援助者養成研修を修了し、機構が認めた人です。単に研修を受けた人が関われば自動的に支給対象になるわけではありません。
訪問型で新たに対象となる活動
訪問型の上級職場適応援助者は、通常の訪問型支援に加え、次のような活動を担います。
| 活動 | 支給対象となる主な内容 |
|---|---|
| 支援計画の策定 | 支援対象者の職場や職務を把握し、支援計画を作成する活動 |
| 支援計画の承認 | 計画内容を確認し、必要に応じて修正を求めたうえで承認する活動 |
| ペア支援 | 上級職場適応援助者が、訪問型または企業在籍型の職場適応援助者とともに行う支援 |
| ケース会議 | 支援対象者への援助に必要な事項を協議する会議 |
新たに対象になったのは、計画に関係する活動全般ではありません。支援計画に基づかない突発的な対応や、記録で活動内容を確認できないものは対象外となる可能性があります。計画書と支援記録票の内容をそろえておくことが実務上のポイントです。
すでに訪問型職場適応援助者として認定を受けている人が、訪問型上級職場適応援助者として活動する場合は、変更手続きが必要です。また、訪問型上級職場適応援助者以外の上級職場適応援助者が作成・承認した計画に基づく訪問型支援は、今回の対象に含まれません。
企業在籍型の対象範囲
企業在籍型では、訪問型上級職場適応援助者または企業在籍型上級職場適応援助者が作成・承認した計画に基づき、自社の企業在籍型職場適応援助者が支援を行うケースが新たに対象になります。
ただし、企業在籍型上級職場適応援助者については、自社で作成・承認した計画に限られます。他社の企業在籍型上級職場適応援助者が作成・承認した計画は対象外です。さらに、企業在籍型上級職場適応援助者による計画の作成・承認活動そのものには、この助成金は支給されません。
支援対象障害者には、雇用契約の確認も関係します。正規雇用・無期雇用のほか、有期雇用でも本人が望む限り更新でき、65歳以上まで継続雇用できることを雇用契約書などで確認できる人に限られます。個別の雇用契約が要件に合うかは、申請前に支部へ相談したいところです。
支給額と上限の見方
訪問型
令和8年度版の案内では、訪問型職場適応援助者と訪問型上級職場適応援助者による対象活動について、支援時間に応じた単価が示されています。支援時間には移動時間を含み、精神障害者への支援は判定時間の区切りが異なります。
| 1回の支援時間 | 1回あたりの額 |
|---|---|
| 4時間未満(精神障害者は3時間未満) | 9,000円 |
| 4時間以上(精神障害者は3時間以上) | 18,000円 |
| 1日の上限 | 36,000円 |
この表は訪問型の対象活動に関する基本的な見方です。補助金等との調整、同じ日に複数の援助者が支援する場合の扱い、活動の種類ごとの回数制限などで支給額は変わります。研修受講料の扱いも別条件です。
企業在籍型
企業在籍型は、企業規模、支援対象障害者の雇用形態、精神障害者に該当するかで月額が変わります。令和8年度版パンフレットに示された主な月額上限は次のとおりです。
| 支援対象障害者 | 一般労働者 | 短時間労働者 | 特定短時間労働者 |
|---|---|---|---|
| 精神障害者以外・中小企業 | 月8万円 | 月4万円 | 月2万円 |
| 精神障害者以外・中小企業以外 | 月6万円 | 月3万円 | 月1万5,000円 |
| 精神障害者・中小企業 | 月12万円 | 月6万円 | 月3万円 |
| 精神障害者・中小企業以外 | 月9万円 | 月5万円 | 月2万円 |
支給期間は6か月までです。企業在籍型職場適応援助者助成金と中高年齢等措置に係る助成金を合わせた支給額には、事業主あたり1会計年度300万円の上限があります。上表は上限額であり、出勤割合や支援の実施状況などを満たさない月は支給月数の計算から除かれる場合があります。
申請の流れとつまずきやすい点
訪問型は請求を2本に分ける
訪問型では、通常の訪問型職場適応援助者による援助と、訪問型上級職場適応援助者による援助を分けて支給請求します。上級活動に関する請求は、その支援計画に基づく認定法人などの援助が支給決定されたことを確認してから支給されます。
そのため、上級者の計画策定・承認分だけを先に受け取る流れではありません。通常支援の請求に必要な記録や添付書類が増えるケースもあり、計画の作成者、支援を行う人、請求する法人の役割を事前に分けておくと管理しやすくなります。
上級者が関与した計画に基づく支援が、未実施などの理由で不支給になった場合、その計画に関係する上級者の活動も不支給となることがあります。助成金を前提に支援計画を組むのではなく、支援の実施と記録を先に成立させる制度です。
申請期限と提出先
| 区分 | 認定申請 | 支給請求 |
|---|---|---|
| 訪問型 | 原則、最初の支援計画を策定する前日まで | 6か月ごとの支給対象期間の末日の翌日から2か月以内 |
| 企業在籍型 | 支援計画の開始日から3か月を経過する日まで | 支給対象期間終了日の翌日から2か月以内 |
申請書類は、申請事業所の所在地を管轄する都道府県支部へ提出できます。JEEDの案内ページでは、持参・郵送のほか、e-Gov電子申請サービスによる提出方法も示されています。訪問型と企業在籍型で様式が異なるため、旧様式をそのまま使わないよう、申請時点の公式ページから書類を取得します。
向いている法人・事業主
| 向いているケース | 先に確認したいケース |
|---|---|
| 上級研修を修了した職場適応援助者がいて、計画作成や承認まで含めて支援体制を組む法人 | 上級研修の修了者はいるが、機構の認定や変更手続きが済んでいない場合 |
| 自社の企業在籍型職場適応援助者が、上級者の計画に基づき支援する事業主 | 他社の企業在籍型上級職場適応援助者が作成した計画を使う場合 |
| 支援計画、支援記録票、雇用契約書などを期限内にそろえられる事業所 | 支援を先に始め、後から認定申請を考えている事業所 |
| 支部へ相談し、支給対象と請求区分を確認できる法人 | 研修受講だけで自動的に助成されると考えている場合 |
助成金の対象になるか迷う場合でも、支給額だけで導入を判断するのは危険です。上級者の配置、支援計画の作成、訪問やケース会議、記録、期限管理まで含めた実務負担があります。実際の支援体制と書類作成の担当を決めたうえで、支部に相談する方が安全です。
まとめ
職場適応援助者助成金は、2026年度から上級職場適応援助者が関わる支援計画にも対象を広げました。訪問型では計画の策定・承認、ペア支援、ケース会議などが対象となり、企業在籍型では上級者が作成・承認した計画に基づく自社支援が対象です。
一方、訪問型は上級活動と通常支援の支給請求を分け、企業在籍型は自社の上級者が作成・承認した計画に限るなど、制度の使い方には細かな線引きがあります。認定申請の時期、現行様式、添付書類、支給対象の最終判断は、JEEDの公式資料と管轄支部で確認するのが前提です。
出典
- 職場適応援助者助成金の変更点について(令和8年度改正分)
- 訪問型職場適応援助者助成金の様式・手続き
- 企業在籍型職場適応援助者助成金の様式・手続き
- 各種助成金リーフレット・パンフレット一覧
- JEED 助成金
確認日: 2026-09-01