決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 97.90億円 | 114.16億円 | -14.2% | 527.00億円 | 18.6% |
| 営業利益 | 4.65億円 | 5.99億円 | -22.3% | 25.00億円 | 18.6% |
| 経常利益 | 4.40億円 | 6.05億円 | -27.2% | 24.10億円 | 18.3% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 2.99億円 | 4.16億円 | -28.0% | 16.40億円 | 18.2% |
| EPS | 10.62円 | 14.43円 | -26.4% | 58.51円 | 18.2% |
営業利益率は前年同期の5.2%から4.8%へ低下した。会社は2026年4月28日公表の通期予想を据え置いている。建設業は工事の進捗時期で四半期売上が振れやすいため、第1四半期の進捗率だけで通期達成を判断しにくい。
セグメント
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 97.42億円 | -14.3% | 4.61億円 | -22.8% |
| 不動産事業 | 0.50億円 | +9.2% | 0.10億円 | +29.1% |
建設事業は前期に大型工事が進捗した反動で減収減益。不動産事業は賃貸収入の増加で増収増益となった。セグメント利益合計4.71億円から、主に全社費用である調整額0.05億円を差し引き、連結営業利益4.65億円となる。
財務安全性
総資産は317.08億円と前期末から33.70億円減少した。受取手形・完成工事未収入金等および契約資産が51.06億円減る一方、現金預金は14.68億円増の81.56億円となった。工事代金の回収が進み、支払手形・工事未払金等も11.40億円減少している。
純資産は194.30億円、自己資本比率は前期末の56.2%から61.3%へ上昇した。短期・長期借入金は合計7.52億円で、現金預金が大きく上回る。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 4.75% | 前年同期5.25% | 0.50ポイント低下 |
| 受注高 | 279.45億円 | 前年同期113.55億円 | +146.1% |
| 繰越工事高 | 1,047.57億円 | 前年同期727.97億円 | +43.9% |
| 自己資本比率 | 61.3% | 前期末56.2% | 5.1ポイント改善 |
| PER | 市場データ未反映 | - | 本記事では算定保留 |
ポジティブ要因
民間建築の受注拡大
建築工事の受注高は233.61億円と前年同期比350.2%増加した。特に民間建築は214.17億円で351.2%増。受注高全体でも279.45億円と2.5倍近くに増えている。
受注残の厚み
次期繰越工事高は1,047.57億円と前年同期から319.59億円増加した。建築は817.30億円、土木は230.26億円で、両分野とも前年同期を上回る。通期売上予想527.00億円に対して受注残の厚みがある。
財務体質と株主還元
自己資本比率は61.3%へ上昇し、現金預金は借入金を上回る。2027年3月期の年間配当予想は前期と同じ8.00円。第1四半期には自己株式80万株を取得し、60万株を消却した。
リスク要因
受注から売上への転換
受注残が増えても、着工・進捗が遅れれば売上計上は後ずれする。技術者や技能労働者の不足、工期変更が通期進捗に影響する可能性がある。
工事採算
資材価格と労務単価が上昇する中、受注時の採算を施工期間中も維持できるかが重要となる。今四半期の営業利益率は4.8%へ低下しており、受注量だけでなく粗利益率を確認したい。
民間建築への偏り
受注高の76.6%を民間建築が占める。大型案件の進捗や発注者都合による計画変更が四半期業績を動かしやすい。
訴訟関連費用
営業外費用に訴訟関連費用0.51億円を計上した。金額は限定的だが、継続性や追加負担の有無を確認する必要がある。
業界動向との関連
建設需要は都市再開発、マンション、社会インフラ更新などに支えられる一方、技能労働者不足と資材・労務費上昇が採算を圧迫する。南海辰村建設は建築、土木、鉄道工事を展開しており、受注ポートフォリオと施工能力の配分が利益成長を左右する。
株価への示唆
第1四半期の減収減益は慎重材料だが、受注高と繰越工事高の急増は将来売上の支えとなる。市場評価が高まる条件は、受注残の消化に伴って売上が回復し、営業利益率を維持・改善できること。財務体質と自己株式取得は下支え材料となる。本記事では市場データ未取得のため理論株価は算定しない。
今期の総括
前期の大型工事進捗の反動で減収減益となったが、受注高と受注残は大幅に増えた。足元の業績と将来売上の方向が逆であり、単純な前年同期比より工事の採算と進捗を追う決算である。
来期見通し
会社の2027年3月期予想は売上高527.00億円(前期比15.1%増)、営業利益25.00億円(12.0%減)、経常利益24.10億円(15.6%減)、純利益16.40億円(21.7%減)。増収を見込む一方で減益予想であり、資材・労務費を含む工事採算が焦点となる。
総合判断
総合判断は中立。第1四半期は減収減益で利益率も低下したが、受注高2.5倍、受注残43.9%増、自己資本比率61.3%は評価材料となる。次回は建設売上の回復、完成工事総利益率、受注残の消化、訴訟関連費用を確認する。
出典
- 南海辰村建設株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年7月29日
- 南海辰村建設株式会社「第83期有価証券報告書」、2026年6月15日