決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社見通し | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| プロジェクト収益 | 115.06億円 | 60.88億円 | +89.0% | 125.00億円から170.00億円 | 該当なし |
| 売上収益 | 59.40億円 | 24.56億円 | +141.8% | 70.00億円から90.00億円 | 該当なし |
| 営業利益 | -99.75億円 | -187.55億円 | 赤字縮小 | -99.00億円から-90.00億円 | 該当なし |
| 税引前利益 | -66.95億円 | -215.50億円 | 赤字縮小 | 非開示 | 該当なし |
| 親会社所有者帰属利益 | -71.14億円 | -215.51億円 | 赤字縮小 | -106.00億円から-96.00億円 | 該当なし |
| EPS | -52.89円 | -188.91円 | 赤字縮小 | 非開示 | 該当なし |
通常の売上高ではなく、同社はIFRSの売上収益に政府補助金収入を加えた「プロジェクト収益」も示している。通期記事の会社見通し欄は次期予想のため、進捗率は該当なしとした。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 赤字縮小 | -52.89円と前年同期-188.91円 | 損失幅は縮小したが、黒字化にはまだ距離がある。 |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率 | -103.2% | 前期-373.9% | 改善はしているが、資本効率を評価する段階ではない。 |
| 売上収益営業利益率 | -167.9% | 前期-763.3% | 赤字率は大きく改善したが、売上規模に対する費用負担は重い。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 赤字のため通常PER評価は困難 | 黒字化前の銘柄として、受注残高、資金繰り、希薄化リスクを優先して見る。 |
数字から見ると、成長率より損失とキャッシュの重さが目立つ。売上収益が増えても、営業損失99.75億円と営業CF支出124.85億円が残るため、市場はまだ完全には信用しにくい。
ポジティブ要因
プロジェクト収益の拡大
プロジェクト収益は115.06億円となり、前年同期比89.0%増だった。政府補助金収入を含む指標ではあるが、宇宙デブリ除去や衛星サービス関連案件の進捗が数字に出始めている。
売上収益の伸び
IFRS売上収益は59.40億円で、前年同期比141.8%増となった。前年の24.56億円からは大きく伸びており、単なるテーマ先行ではなく売上計上の厚みは増している。
受注残高は残っている
2026年4月末時点の受注残高は379.38億円だった。前年比では14.6%減だが、次期のプロジェクト収益125.00億円から170.00億円という見通しを支える材料にはなる。
リスク要因
営業赤字の継続
営業損失は99.75億円で、前年の187.55億円からは縮小した。ただ、営業黒字化にはまだ届いていない。2027年4月期も会社側は営業損失90.00億円から99.00億円を見込んでいる。
営業キャッシュ・フローの支出
営業CFは124.85億円の支出だった。補助金受取額60.17億円があっても、研究開発・案件進捗・運転資金の負担が大きい。売上より利益、利益よりキャッシュを見る局面だ。
資本政策と希薄化への警戒
財務CFは72.36億円の収入で、株式発行による収入106.21億円が主因だった。現金残高100.21億円は一定の安心材料だが、赤字と投資が続く限り、市場は追加資金調達の可能性を意識しやすい。
財務安全性
総資産は321.21億円、資本合計は76.57億円、親会社所有者帰属持分比率は23.8%だった。現金及び現金同等物は100.21億円ある一方、営業CFは124.85億円の支出、投資CFも69.27億円の支出で、事業成長が資金消費を伴っている。財務安全性は現金残高で支えられているが、赤字縮小の速度が鈍ると資本市場依存が意識されやすい。
業界動向との関連
宇宙デブリ除去や衛星寿命延長サービスは政策性が強く、民間需要だけで短期の収益性を測りにくい分野だ。同社は防衛案件や民間向け寿命延長サービスを継続受注につなげる方針を示しているが、投資家が見るのは技術テーマの大きさだけではない。案件期間の短縮、全額拠出案件比率、売上総利益率の改善が実際に損益に落ちるかが重要になる。
株価への示唆
赤字企業のため、通常のPERによる理論株価算定は行わない。市場が評価しやすい条件は、プロジェクト収益の伸びだけでなく、売上収益の上振れ、営業損失の縮小、営業CFの支出抑制が同じ方向にそろうことだ。逆に、受注残高の減少や開発費先行、追加資金調達への警戒が強まると、テーマ性があっても株価は重くなりやすい。数字は前進しているが、まだキャッシュで納得させる段階には届いていない。
今期の総括
2026年4月期は、売上収益とプロジェクト収益の伸びが明確だった一方で、営業損失と営業CFの赤字が残った決算だった。前年より赤字幅は縮んでいるが、宇宙関連の成長ストーリーを市場が本格評価するには、案件進捗が粗利とキャッシュに変わる証拠がもう一段ほしい。
来期見通し
2027年4月期は、プロジェクト収益125.00億円から170.00億円、売上収益70.00億円から90.00億円を見込む。売上総利益は通期黒字の維持を目指す一方、営業損失は90.00億円から99.00億円、当期損失は96.00億円から106.00億円の見通しだ。会社側は売上総利益率30%台半ば、営業利益率20%台半ばを長期目標に掲げるが、次期はまだ投資先行の色が濃い。
総合判断
総合判断は中立である。プロジェクト収益と売上収益の伸びは明確だが、営業損失99.75億円、営業CF支出124.85億円、次期も営業赤字見通しという重さが残るためだ。次回以降は受注残高の質、売上総利益率、営業CF、資金調達の必要性を同時に確認したい。
訂正開示の反映
G-アストロスケールは2026年7月6日に「(訂正・数値データ訂正)『2026年4月期 決算短信〔IFRS〕(連結)』の一部訂正に関するお知らせ」を開示した。訂正理由は、為替差益に係る税効果会計の精査により繰延税金負債を追加計上したこと。連結キャッシュ・フロー計算書への影響はないとされている。本記事は訂正後全文の数値を反映している。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信および訂正開示を基に作成しています。
- 「2026年4月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」、G-アストロスケール、開示日: 2026-06-12
- 「(訂正・数値データ訂正)『2026年4月期 決算短信〔IFRS〕(連結)』の一部訂正に関するお知らせ」、G-アストロスケール、開示日: 2026-07-06