決算サマリー
| 項目 | 2026年6月期3Q累計 | 前年同期 | 増減率 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 106.63億円 | 176.07億円 | -39.4% | 150.48億円 | 70.9% |
| 営業利益 | 35.09億円 | 93.30億円 | -62.4% | 43.68億円 | 80.4% |
| 経常利益 | 33.44億円 | 92.96億円 | -64.0% | 41.27億円 | 81.0% |
| 四半期純利益 | 24.43億円 | 66.45億円 | -63.2% | 56.92億円 | 42.9% |
| EPS | 23.36円 | 65.53円 | -64.4% | 54.42円 | 42.9% |
3Q単独では売上高23.86億円、営業利益2.57億円となり、前年同期の市中在庫積み増し局面との比較では大幅な減収減益だった。会社は3月30日に修正した通期予想を今回据え置いている。
セグメント・製品別の動き
タウンズは体外診断用医薬品事業の単一セグメントで、製品カテゴリ別の売上が実態を見る手がかりになる。
| 製品カテゴリ | 売上高 | 前年同期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 新型コロナ単品検査キット | 25.96億円 | -44.4% | 24.4% |
| 新型コロナ・インフルエンザコンボ検査キット | 41.72億円 | -46.0% | 39.1% |
| インフルエンザ検査キット | 22.40億円 | -31.1% | 21.0% |
| その他 | 16.54億円 | -15.4% | 15.5% |
インフルエンザは9月下旬から流行入りし、シーズン中も感染が継続した。ただし、新型コロナの流行規模が前年を下回ったことに加え、前年の流通在庫積み増し分が今期に消化されたため、コンボ検査キットとコロナ単品検査キットの落ち込みが重くなった。
財務安全性
3月末の総資産は414.47億円、純資産は163.08億円、自己資本比率は39.3%だった。新工場関連を含む投資負担があるため、資産規模は前期末比で増えている。
短期借入金75.00億円、1年内返済予定の長期借入金17.83億円、長期借入金124.22億円があり、有利子負債は重めに見える。3Q短信では四半期キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、運転資金と設備投資の資金繰りは本決算で改めて確認したい。
定量評価
営業利益率は32.9%と高水準を維持したが、前年同期の53.0%からは大きく低下した。需要の山が前年に偏った事業特性を考えると、単純な前年比よりも、検査需要の平常化局面でどの程度の売上・利益率を維持できるかが重要になる。
純利益の進捗率は42.9%にとどまる。第3四半期単独で補助金収入4.14億円を特別利益に計上した一方、投資有価証券評価損0.11億円、関係会社株式評価損2.41億円も発生しており、営業外・特別項目の振れも見ておきたい。
ポジティブ要因
営業利益は減益ながら、通期計画に対する進捗は8割を超えている。売上進捗70.9%に対して利益進捗が高い点は、製造・販売体制の固定費負担を吸収できている面を示す。
製品競争力も残る。決算説明資料では、2026年6月期3Q累計の国内シェアとして、インフルエンザ検査キット43%、新型コロナ検査キット42%、アデノウイルス検査キット32%を示している。富士山三島工場は2026年2月に本格稼働を始め、月産能力の引き上げも進めている。
リスク要因
最大のリスクは、感染症流行と流通在庫に業績が左右されやすい点だ。前年の在庫積み増しが反動減につながったように、実需と卸在庫のズレが四半期業績を大きく動かす。
新工場投資も確認点になる。富士山三島工場の投資額は112.9億円、補助金控除後の自己負担は72.9億円とされ、減価償却費も年4億円程度増える見込みだ。需要回復が遅れる場合、能力増強のメリットより固定費増が先に見えやすい。
業界動向との関連
感染症検査キットは、医療機関で短時間に判定するPOCT需要に支えられている。一方、需要量は感染症の流行状況、診療現場での検査方針、競合品の供給状況で変わる。タウンズは国内上位シェアを持つが、コロナ特需後の標準需要を見極める局面にある。
株価への示唆
短期的には、通期予想を据え置いたことと営業利益進捗の高さは下支え材料になり得る。ただし、前年の高収益からの反動減が大きいため、市場が重視するのは今期着地そのものより、2027年6月期以降の需要水準と新工場稼働後の利益率だろう。
年間配当予想28円は維持された。株主還元面では安定感がある一方、事業の季節性と感染症流行依存を踏まえると、配当利回りだけで評価を決めにくい銘柄である。
今期の総括
2026年6月期3Qは、前年の在庫積み増しの反動がそのまま数字に出た決算だった。営業利益率はなお高いものの、コロナ単品・コンボ検査キットの減収幅は大きい。
見方としては、悪化決算というより、特需後の正常化と能力増強投資が重なる局面と捉えたい。第4四半期と本決算では、通期予想の達成度、在庫調整の進み具合、来期の前提が重要になる。
来期見通し
今回開示では2027年6月期予想はまだ示されていない。会社は2026年6月期の通期予想を売上高150.48億円、営業利益43.68億円、経常利益41.27億円、当期純利益56.92億円で据え置いた。
来期を見るうえでは、富士山三島工場の稼働効果、減価償却費の増加、コンボ検査キットの需要回復、コロナ単品検査キットの下げ止まりが確認点になる。
総合判断
総合判断は「中立」。営業利益の通期進捗は高いが、前年反動による大幅減収減益と、有利子負債・新工場投資の負担を同時に見る必要がある。強気に転じるには、特需後でも売上水準と営業利益率が安定する証拠がほしい。
出典
本記事は、タウンズが2026年5月14日に開示した「2026年6月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」および同日の決算説明資料を基に作成しています。