決算サマリー
| 項目 | 2026年12月期上期 | 前年同期 | 増減 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 185.51億円 | 158.17億円 | +17.3% | 358.30億円 | 51.8% |
| 売上総利益 | 88.88億円 | 81.24億円 | +9.4% | ― | ― |
| 営業利益 | 14.24億円 | 16.95億円 | -16.0% | 28.30億円 | 50.3% |
| 経常利益 | 15.34億円 | 16.92億円 | -9.3% | 28.80億円 | 53.3% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 9.84億円 | 10.91億円 | -9.8% | 18.00億円 | 54.7% |
| 1株当たり中間純利益 | 102.12円 | 113.23円 | -9.8% | 186.80円 | 54.7% |
売上高は大きく伸びたものの、売上総利益率は51.4%から47.9%へ3.5ポイント、営業利益率は10.7%から7.7%へ3.0ポイント低下した。売上原価が前年同期比25.6%増と売上の伸びを上回り、販管費も10.34億円増えたことが減益につながった。
セグメント
同社グループは、アイスクリーム製品の製造・販売等を行う単一セグメントであり、セグメント情報を省略している。したがって、店舗、製品、海外事業などに利益を配分した評価はできない。
代わりに事業全体の需要指標を見ると、国内総小売売上高は349.98億円(前年同期比10.3%増)、既存店売上高は6.6%増。国内店舗数は1,088店と39店純増し、通常店舗以外の販売拠点と台湾・ハワイを含む総販売拠点は1,593カ所まで拡大した。需要と接点の拡大は確認できる。
定量評価
| 指標 | 当上期 | 前年同期 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益率 | 47.9% | 51.4% | 原材料高・円安の影響で3.5ポイント低下 |
| 営業利益率 | 7.7% | 10.7% | 原価率上昇と販促・拠点拡大費用で3.0ポイント低下 |
| 営業キャッシュ・フロー | 5.96億円 | 15.91億円 | 棚卸資産と税支払いの増加で62.5%減少 |
| フリーキャッシュ・フロー | -5.80億円 | -10.09億円 | 投資支出の縮小で赤字幅は縮小 |
| 自己資本比率 | 48.5% | 前期末47.1% | 1.4ポイント改善 |
| 参考ROE | 約13.0% | ― | 中間純利益を年率換算し、期首・期末平均自己資本で除した簡易値 |
| ROIC | 算定せず | ― | 事業投下資本と税引後営業利益の定義を統一できないため |
| PER | 算定せず | ― | 決算発表後の株価を本稿の資料に含めていないため |
第2四半期単独では、売上高110.80億円(前年同期比20.0%増)に対し、営業利益は10.21億円(同19.9%減)。営業利益率は前年同期の13.8%から9.2%へ低下した。第1四半期の営業減益に続き、繁忙期の第2四半期でも原価と費用の増加を吸収できていない。
ポジティブ要因
売上と顧客接点は拡大
国内総小売売上高と1店舗当たり売上高はいずれも過去最高となった。既存店売上高は21四半期連続で前年を上回り、上期は6.6%増。新作フレーバー、キャラクターとのコラボ、「よくばりフェス」、アイスクリームケーキと「31 パティスリー」が来店動機を作った。
デジタル施策が店舗売上を支える
31Clubの会員数は1,188万人と前年同期から185万人増え、会員売上は全売上の45.4%を占めた。モバイルオーダー売上も25.5%増。販促の到達力だけでなく、注文時の利便性と店舗オペレーションの改善につながる基盤が広がっている。
出店余地を広げる取り組み
国内店舗の増加に加え、台湾・ハワイでの展開を継続し、インドネシアに続いて2026年7月からマレーシアへの輸出を始める計画である。現時点では海外の損益規模は分からないものの、国内店舗以外の販売接点を増やす方向は明確だ。
リスク要因
増収率を上回る原価上昇
売上原価は96.63億円と25.6%増え、売上高の17.3%増を上回った。会社は原材料高と円安を主因に挙げている。売上数量が伸びても粗利率が戻らなければ、販促や出店に使える余力は細る。
販管費の増加
販管費は74.63億円と前年同期から10.34億円増加した。出荷増に伴う物流費に加え、新ブランドロゴ、広告宣伝、販売拠点の拡大など、下期の成長を狙う費用も含まれる。先行投資が来店客数と利益へつながるかは、下期に検証が必要となる。
運転資金の負担
営業キャッシュ・フローは5.96億円へ減少した。盛夏期に向けた棚卸資産が10.20億円増え、法人税等の支払いも7.22億円に増加したためである。在庫増には季節要因があるが、販売が想定を下回れば資金負担として残る。
財務安全性
2026年6月末の総資産は316.58億円、純資産は153.50億円、自己資本比率は48.5%。現金及び現金同等物59.26億円に対し、1年内返済予定分を含む長期借入金は18.73億円で、差し引きでは現金が上回る。
営業キャッシュ・フロー5.96億円に対し、投資キャッシュ・フローはマイナス11.76億円、財務キャッシュ・フローはマイナス6.90億円。期末現金は期首から12.65億円減った。前年同期より設備投資負担は軽くなったが、運転資金と配当を含めた資金流出には注意が要る。
業界動向との関連
今回の数字からは、コラボ、アプリ、モバイルオーダー、店舗体験を組み合わせて来店頻度を高める同社の施策が、既存店売上と国内総小売売上高の伸びにつながっていることが分かる。
一方、冷凍品は乳製品などの原材料、為替、冷凍物流、電力の影響を受けやすい。需要が伸びる局面でも、原価と物流費がそれ以上に上がれば利益率は落ちる。サーティワンの上期は、その強さと難しさが同時に表れた。
株価への示唆
評価を支えるのは、過去最高売上、既存店の増収継続、店舗・アプリ会員の拡大である。反対に、営業減益とキャッシュ創出力の低下は、増収の質を慎重に見る材料となる。
通期予想に対する進捗率は営業利益で50.3%に達した。ただし、据え置かれた通期計画から逆算すると、下期は売上高172.79億円、営業利益14.06億円が必要になる。前年下期比では売上高6.4%減、営業利益31.0%増に相当し、営業利益率を前年下期の5.8%から8.1%へ戻す計算である。売上のハードルより、利益率回復の確度が市場評価を左右しやすい。
今期の総括
上期は需要面で強い決算だった。売上高、国内総小売売上高、1店舗当たり売上高が過去最高となり、既存店・店舗網・デジタル会員のすべてが伸びている。
ただし、利益面は別である。売上総利益率と営業利益率が大きく低下し、営業キャッシュ・フローも減少した。現状は「売上成長が止まった」のではなく、「成長に伴うコストを十分に吸収できていない」と整理するのが妥当だ。
来期見通し
会社は2026年12月期の通期予想を据え置いた。売上高358.30億円(前期比4.5%増)、営業利益28.30億円(同2.2%増)、経常利益28.80億円(同0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18.00億円(同1.6%増)を見込む。年間配当予想も1株60円(中間30円、期末30円)で変更していない。
上期の売上進捗は順調だが、利益計画の達成には原材料・為替の負担を抑え、先行投資した広告宣伝や新店舗を下期の利益へ結び付ける必要がある。会社が掲げる2031年の税引前利益31億円に向けても、店舗数だけでなく1店舗当たりの採算改善が重要になる。
総合判断
総合判断は中立。需要の強さと売上成長は明確で、ブランド、店舗網、デジタル会員という中期的な成長基盤も厚くなっている。一方、上期は増収効果を原価・販管費の増加が上回り、営業減益となった。
次の確認点は、①売上総利益率が47.9%から回復するか、②下期の営業利益率が通期計画から逆算した8%台に届くか、③盛夏期向け在庫が販売とともに現金へ戻るか、の3点である。売上の伸びより、利益率と営業キャッシュ・フローの改善を優先して見たい局面だ。
出典
- B-R サーティワン アイスクリーム「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年7月23日
- B-R サーティワン アイスクリーム「2026年12月期 第2四半期 決算説明資料」、2026年7月23日
- B-R サーティワン アイスクリーム 決算短信