決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 通期会社予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 173.68億円 | 148.00億円 | +17.4% | 900億円 | 19.3% |
| 営業利益 | 54.07億円 | 35.74億円 | +51.3% | 320億円 | 16.9% |
| 経常利益 | 157.19億円 | 87.69億円 | +79.2% | 420億円 | 37.4% |
| 純利益 | 113.48億円 | 60.72億円 | +86.9% | 310億円 | 36.6% |
| EPS | 33.97円 | 19.23円 | +76.7% | 95.38円 | 35.6% |
進捗率は通期予想に対する単純計算。第2四半期累計予想は売上高340億円、営業利益70億円、経常利益120億円、純利益90億円で、経常利益と純利益は第1四半期時点ですでに上回った。ただし会社は、金融市場の不確実性を理由に業績予想を変更していない。
セグメント
| セグメント | 売上高 | 前年同期 | 営業利益・損失 | 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| エンタテインメント | 159.11億円 | 134.31億円 | 52.88億円 | 37.06億円 |
| アミューズメント | 11.20億円 | 10.54億円 | 1.65億円 | 1.03億円 |
| 不動産 | 3.34億円 | 3.12億円 | 0.75億円 | 0.75億円 |
| その他 | 0.02億円 | 0.02億円 | ▲1.22億円 | ▲3.10億円 |
売上高は外部顧客向け。百万円単位の開示を億円へ換算しているため、合計に丸め差がある。主力のエンタテインメント事業は、新作パッケージ2タイトルとライセンス許諾したスマートフォンゲーム2タイトルに加え、前期発売の大型タイトルや旧作のリピート販売が寄与した。
定量評価
営業利益率は31.1%と前年同期の24.1%から改善した。一方、経常利益は営業利益の約2.9倍に達する。営業外収益125.57億円には、受取利息43.35億円、有価証券売却益36.77億円、有価証券償還益18.21億円、デリバティブ評価益18.42億円などが含まれる。利益成長は強いものの、本業と金融運用の寄与を分けて見る必要がある。
ポジティブ要因
主力事業の増収により、営業利益は前年同期比51.3%増となった。アミューズメント事業も増収増益となり、その他事業の損失は3.10億円から1.22億円へ縮小している。ゲームの新作だけに依存せず、旧作販売と既存スマートフォンタイトルが収益を支えた点もプラス材料だ。
財務面では総資産3339.23億円、純資産2799.63億円、自己資本比率83.6%と高い水準を維持している。
リスク要因
経常利益と純利益は第2四半期累計予想を超過したが、金融市場の変動による影響が大きい。有価証券やデリバティブの評価・売却損益は四半期ごとに振れやすく、第1四半期の利益水準をそのまま通期へ延長するのは危険だ。
現金及び預金は前期末の612.75億円から461.66億円へ減少する一方、有価証券は538.82億円から700.24億円、投資有価証券は1016.87億円から1271.27億円へ増えた。資産構成の変化と金融市場への感応度は継続的に確認したい。
財務安全性
自己資本比率は83.6%で、前期末の86.7%から低下したものの、財務余力は大きい。第1四半期決算短信ではキャッシュ・フロー計算書が開示されていないため、利益とキャッシュの対応は半期決算で確認する必要がある。
業界動向との関連
ゲーム会社は新作の発売時期とヒットの有無で四半期業績が振れやすい。同社の場合、パッケージ・スマートフォン・ライセンス・旧作リピートという複数の収益源に加え、金融運用損益が最終利益を左右する。タイトルパイプラインだけでなく、金融収益の再現性も評価軸になる。
株価への示唆
営業増益は素直に好材料だが、経常利益の大幅な上振れには金融収益が大きく寄与している。市場が持続的な収益力として評価するには、エンタテインメント事業の利益成長が次四半期以降も続くかが焦点となる。市場データを反映していないため、理論株価の算定は行わない。
今期の総括
第1四半期は、本業の営業増益と金融収益の拡大が重なった好決算だった。とりわけエンタテインメント事業の利益増加は評価できる。一方、経常利益157.19億円のうち営業利益は54.07億円であり、利益の質を見極めるには両者を切り分ける必要がある。
来期見通し
通期予想は売上高900億円、営業利益320億円、経常利益420億円、純利益310億円で据え置かれた。年間配当予想も48円(中間0円、期末48円)で変更はない。次回は新作の販売動向、旧作リピート、営業利益率に加え、金融損益が会社計画へ与える影響を確認したい。
総合判断
総合判断は中立。営業利益が51.3%増となった点は強いが、経常利益の伸びは金融収益に大きく支えられている。第1四半期だけで上期予想を上回った経常利益・純利益が、通期予想の修正につながるかを慎重に見たい。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「令和9年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、コーエーテクモホールディングス、開示日: 2026-07-27