決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6624.24億円 | 6285.49億円 | +5.4% | 27000億円 | 24.5% |
| 営業利益 | 1737.98億円 | 1668.03億円 | +4.2% | 7000億円 | 24.8% |
| 経常利益 | 1921.29億円 | 1816.21億円 | +5.8% | 7700億円 | 25.0% |
| 純利益 | 1308.29億円 | 1264.28億円 | +3.5% | 5250億円 | 24.9% |
| EPS | 70.39円 | 66.48円 | +5.9% | 286円 | 24.6% |
会社計画欄は通期予想を基準にしており、進捗率は単純計算です。季節性がある企業では、進捗率だけで達成可能性を判断できません。
セグメント
| セグメント | 売上高 | 前年同期 | 増減率 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|---|
| 電子材料事業 | 2,792億円 | 2,402億円 | +16.2% | 1,019億円(+22.6%) |
| 生活環境基盤材料事業 | 2,277億円 | 2,444億円 | -6.8% | 348億円(-34.1%) |
| 機能材料事業 | 1,182億円 | 1,100億円 | +7.5% | 288億円(+20.1%) |
| 加工・商事・技術サービス事業 | 371億円 | 339億円 | +9.6% | 76億円(+7.7%) |
AIデータセンター投資の強さが電子材料に出ており、売上・利益とも全社の増益を牽引した。一方、生活環境基盤材料は減収減益で、塩ビ・化成品まわりの市況や需給の重さが残る。信越化学は全体では高収益を保っているが、今回は半導体・電子材料の上振れと基礎化学側の弱さがはっきり分かれた決算である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +5.9% | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 70.24% | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は26.2%、総資産経常利益率は5.7%です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
営業利益の変化
営業利益は1737.98億円、前年比は+4.2%です。増益そのものより、営業利益率26.2%が次の四半期でも保てるかが見られます。
売上規模の確認
売上高は6624.24億円、前年比は+5.4%です。売上だけで評価する局面ではなく、営業利益と営業CFにどう落ちるかを合わせて見ます。
財務基盤
自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率は79.0%、純資産は47447.83億円です。資本の厚みは確認できますが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
利益率とキャッシュのずれ
営業キャッシュ・フローは非開示です。利益よりキャッシュです。売掛金、在庫、仕入れ条件で資金が外に出る決算では、会計上の利益だけでは安心材料になりません。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高27000億円、営業利益7000億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
市場評価の変動可能性
決算数値が改善しても、市場がすぐ信用するとは限りません。赤字縮小、利益率改善、営業CFの改善が同じ方向にそろって初めて、見直し買いが続きやすくなります。
財務安全性
財務安全性では、総資産57629.53億円、純資産47447.83億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率79.0%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF非開示、投資CF非開示、財務CF非開示、現金及び現金同等物の期末残高非開示です。
業界動向との関連
業界比較では、同業他社の同時期決算や市場統計も必要です。ただ、この段階では業界ストーリーを広げすぎない方がよいです。決算短信でまず見るべきは、売上が営業利益に落ちているか、営業CFが伴っているかです。
株価への示唆
中立評価でも、見る場所ははっきりしています。売上ではなく営業利益率、営業利益より営業CF。この順番で数字がそろうまでは、市場は様子見になりやすいです。補足市場データ未取得のため、理論株価の算定は保留します。
今期の総括
今期は売上高6624.24億円(+5.4%)、営業利益1737.98億円(+4.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益1308.29億円(+3.5%)という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高27000億円、営業利益7000億円、経常利益7700億円、純利益5250億円、EPS286円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかを次の開示で確認します。
総合判断
総合判断は中立。判断の根拠は、売上高6624.24億円、営業利益1737.98億円、純利益1308.29億円という決算短信上の主要数値と、確認できる財務指標のバランスです。次回は営業利益率、営業CF、EPS、ROIC、PERを同じ方向で確認したいところです。数字がそろうまでは、市場はまだ少し距離を置きます。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、信越化、開示日: 2026-07-24