決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10667.95億円 | 10130.70億円 | +5.3% | 11400億円 | 該当なし |
| 営業利益 | -371.57億円 | 625.38億円 | 赤字転落 | 480億円 | 該当なし |
| 経常利益 | -514.47億円 | 608.69億円 | 赤字転落 | 440億円 | 該当なし |
| 純利益 | -639.49億円 | 399.29億円 | 赤字転落 | 280億円 | 該当なし |
| EPS | -279.01円 | 174.58円 | 赤字転落 | 122.15円 | 該当なし |
通期決算では会社計画欄に次期予想を置いているため、進捗率は該当なしとしています。前年比などが非開示の場合は、決算短信側で前年実績または増減率が示されていないことを意味します。
セグメント
| セグメント | 売上収益 | 前期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| デジタル&インダストリー | 3,299.38億円 | -4.2% | △408.88億円 |
| エネルギーソリューション | 985.02億円 | +6.3% | 63.94億円 |
| ヘルス&セーフティー | 2,684.71億円 | +21.8% | 103.95億円 |
| アグリ&フーズ | 1,529.88億円 | +2.2% | 36.64億円 |
| その他の事業 | 2,168.94億円 | +5.4% | 14.75億円 |
デジタル&インダストリーの損失が全社損益を大きく押し下げた。全社営業損失には△181.97億円の調整額が含まれる。セグメント売上収益の表示額合計と全社合計には、端数処理による0.02億円の差がある。
財務安全性
財務安全性では、総資産12162.87億円、純資産4109.70億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率32.1%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF1075.83億円、投資CF-886.11億円、財務CF-57.08億円、現金及び現金同等物の期末残高871.39億円です。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 赤字転落 | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | -15.4% | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は-3.5%、総資産経常利益率は-4.2%です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
営業利益の変化
営業利益は-371.57億円です。赤字が残る決算では、売上成長より固定費吸収と採算の確認が先になります。
売上規模の確認
売上高は10667.95億円、前年比は+5.3%です。売上だけで評価する局面ではなく、営業利益と営業CFにどう落ちるかを合わせて見ます。
財務基盤
自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率は32.1%、純資産は4109.70億円です。資本の厚みは確認できますが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
利益率とキャッシュのずれ
営業キャッシュ・フローは1075.83億円です。利益よりキャッシュです。売掛金、在庫、仕入れ条件で資金が外に出る決算では、会計上の利益だけでは安心材料になりません。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高11400億円、営業利益480億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
訂正決算と監査・内部統制
今回の決算は不適切な会計処理の調査と過年度数値の訂正を経て開示され、監査法人は2026年3月期の連結財務諸表に限定付適正意見を表明した。会社は財務報告に係る内部統制の重要な不備も開示している。業績回復だけでなく、追加訂正の有無、改善計画の進捗、監査意見が正常化するかを継続して確認する必要がある。
市場評価の変動可能性
決算数値が改善しても、市場がすぐ信用するとは限りません。赤字縮小、利益率改善、営業CFの改善が同じ方向にそろって初めて、見直し買いが続きやすくなります。
業界動向との関連
業界比較では、同業他社の同時期決算や市場統計も必要です。ただ、この段階では業界ストーリーを広げすぎない方がよいです。決算短信でまず見るべきは、売上が営業利益に落ちているか、営業CFが伴っているかです。
株価への示唆
市場はまだ信用しにくい内容です。売上、利益率、キャッシュのうち少なくとも一つがはっきり改善しないと、決算を買う理由は作りにくいでしょう。補足市場データ未取得のため、理論株価の算定は保留します。
今期の総括
今期は売上高10667.95億円(+5.3%)、営業利益-371.57億円、親会社株主に帰属する当期純利益-639.49億円という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高11400億円、営業利益480億円、経常利益440億円、純利益280億円、EPS122.15円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかを次の開示で確認します。
総合判断
総合判断は弱気。売上収益は増えた一方、デジタル&インダストリーの損失と全社調整により営業損失371.57億円、親会社所有者帰属損失639.49億円となった。次期は営業黒字への回復計画を示しているが、業績の改善に加え、訂正後数値の信頼性、内部統制改善、監査意見の正常化を確認できるまでは慎重に見る必要がある。
訂正開示の反映
エア・ウォーターは2026-08-03に「(開示事項の追加)「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出および過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」の一部追加について」を開示したため、この記事は訂正後の内容を反映しています。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」、エア・ウォーター、開示日: 2026-07-31
- 財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ、エア・ウォーター、開示日: 2026-07-30
- 監査報告書における限定付適正意見に関するお知らせ、エア・ウォーター、開示日: 2026-07-31
- 「(開示事項の追加)「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出および過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」の一部追加について」、エア・ウォーター、開示日: 2026-08-03