決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1094.66億円 | 1030.83億円 | +6.2% | 4050億円 | 27.0% |
| 営業利益 | 163億円 | 121.29億円 | +34.4% | 380億円 | 42.9% |
| 経常利益 | 188.49億円 | 119.73億円 | +57.4% | 370億円 | 50.9% |
| 純利益 | 127.11億円 | 75.06億円 | +69.4% | 360億円 | 35.3% |
| EPS | 66.43円 | 38.06円 | +74.5% | 185.51円 | 35.8% |
会社計画欄は通期予想を基準にしており、進捗率は単純計算です。季節性がある企業では、進捗率だけで達成可能性を判断できません。
セグメント
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| エラストマー素材 | 581.61億円 | +0.2% | 55.46億円 | +31.2% |
| 高機能材料 | 338.39億円 | +15.5% | 101.09億円 | +36.8% |
| その他 | 184.95億円 | +12.9% | 9.64億円 | -4.5% |
エラストマー素材は原料調達量に合わせて汎用ゴムの輸出販売を抑えたが、価格改定と円安で増益となった。高機能材料では半導体向けシクロオレフィンポリマー、光学フィルム、電池材料、電子材料が伸び、全社増益をけん引した。セグメント利益合計166.19億円から全社費用など3.18億円を調整し、連結営業利益163.00億円となる。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +74.5% | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 非開示 | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は14.9%、総資産経常利益率は非開示です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
営業利益の変化
営業利益は163億円、前年比は+34.4%です。増益そのものより、営業利益率14.9%が次の四半期でも保てるかが見られます。
売上規模の確認
売上高は1094.66億円、前年比は+6.2%です。売上だけで評価する局面ではなく、営業利益と営業CFにどう落ちるかを合わせて見ます。
財務基盤
自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率は65.5%、純資産は3958.11億円です。資本の厚みは確認できますが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
原料調達と供給制約
中東情勢悪化を受け、合成ゴムでは主原料の調達量に合わせた生産・販売管理を行っている。供給制約が長引けば数量減が価格改定効果を上回る可能性がある。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高4050億円、営業利益380億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
市場評価の変動可能性
決算数値が改善しても、市場がすぐ信用するとは限りません。赤字縮小、利益率改善、営業CFの改善が同じ方向にそろって初めて、見直し買いが続きやすくなります。
財務安全性
財務安全性では、総資産6033.20億円、純資産3958.11億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率65.5%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF非開示、投資CF非開示、財務CF非開示、現金及び現金同等物の期末残高非開示です。
業界動向との関連
合成ゴムは自動車生産と原料市況、高機能材料は半導体・ディスプレイ・蓄電池投資の影響を受ける。足元ではAI関連投資と欧州BEV需要が追い風だが、合成香料では競争激化が利益を圧迫している。
株価への示唆
中立評価でも、見る場所ははっきりしています。売上ではなく営業利益率、営業利益より営業CF。この順番で数字がそろうまでは、市場は様子見になりやすいです。補足市場データ未取得のため、理論株価の算定は保留します。
今期の総括
今期は売上高1094.66億円(+6.2%)、営業利益163億円(+34.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益127.11億円(+69.4%)という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高4050億円、営業利益380億円、経常利益370億円、純利益360億円、EPS185.51円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかを次の開示で確認します。
総合判断
総合判断は強気。高機能材料の利益成長とエラストマー素材の採算改善により、通期営業利益計画に対する進捗は42.9%に達した。次回は原料供給制約、高機能材料の需要持続、据え置かれた通期計画の修正有無を確認する。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、日ゼオン、開示日: 2026-07-29