決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 713.79億円 | 597.65億円 | +19.4% | 2900億円 | 24.6% |
| 営業利益 | 91.60億円 | 63.24億円 | +44.9% | 348億円 | 26.3% |
| 経常利益 | 96.74億円 | 71.75億円 | +34.8% | 353億円 | 27.4% |
| 純利益 | 47.27億円 | 44.71億円 | +5.7% | 195億円 | 24.2% |
| EPS | 74.71円 | 71.52円 | +4.5% | 308.17円 | 24.2% |
会社計画欄は通期予想を基準にしており、進捗率は単純計算です。季節性がある企業では、進捗率だけで達成可能性を判断できません。
セグメント
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 化成品 | 372.54億円 | +12.8% | 35.03億円 | +66.8% |
| 建装建材 | 341.24億円 | +27.7% | 69.52億円 | +30.0% |
化成品では接着剤、塗り床材、有機微粒子などが伸びました。建装建材はスタイラム・インダストリー社の連結寄与に加え、化粧フィルムや不燃化粧板が増収に寄与しました。両セグメント利益104.56億円から全社費用など12.95億円を調整し、連結営業利益は91.60億円です。
財務安全性
財務安全性では、総資産3443.79億円、純資産2212.63億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率56.2%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF非開示、投資CF非開示、財務CF非開示、現金及び現金同等物の期末残高非開示です。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +4.5% | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 非開示 | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は12.8%、総資産経常利益率は非開示です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
営業利益の変化
化成品の営業利益は66.8%増の35.03億円、建装建材は30.0%増の69.52億円でした。全社営業利益率は前年同期10.6%から12.8%へ改善しています。
売上規模の確認
売上高713.79億円は19.4%増でした。海外事業と買収寄与を含むため、次四半期以降は既存事業の伸びとのれん償却後の利益寄与を分けて確認します。
財務基盤
自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率は56.2%、純資産は2212.63億円です。資本の厚みは確認できますが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
利益率とキャッシュのずれ
第1四半期のCF計算書は作成されていません。総資産は前期末比179.44億円増え、買収によりのれんが185.17億円増加しました。利益寄与が想定を下回る場合は減損リスクにつながります。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高2900億円、営業利益348億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
市場評価の変動可能性
決算数値が改善しても、市場がすぐ信用するとは限りません。赤字縮小、利益率改善、営業CFの改善が同じ方向にそろって初めて、見直し買いが続きやすくなります。
業界動向との関連
業界比較では、同業他社の同時期決算や市場統計も必要です。ただ、この段階では業界ストーリーを広げすぎない方がよいです。決算短信でまず見るべきは、売上が営業利益に落ちているか、営業CFが伴っているかです。
株価への示唆
営業利益の44.9%増と利益率改善は評価材料です。ただし最終利益は5.7%増にとどまり、買収に伴うのれんも増えました。海外成長が営業利益とキャッシュへ継続的に寄与するかが株価評価の分岐点です。
今期の総括
今期は売上高713.79億円(+19.4%)、営業利益91.60億円(+44.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益47.27億円(+5.7%)という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高2900億円、営業利益348億円、経常利益353億円、純利益195億円、EPS308.17円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかを次の開示で確認します。
総合判断
総合判断は中立。両セグメントの増収増益と営業利益率12.8%への改善は堅調ですが、買収寄与を含む成長の再現性とのれん185.17億円増を併せて見る必要があります。次回は海外事業の採算と営業CFを確認します。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、アイカ工、開示日: 2026-08-04