決算サマリー
| 項目 | 2026年5月期 | 2025年5月期 | 増減率 | 2027年5月期計画 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 80.11億円 | 77.69億円 | +3.1% | 98.00億円 |
| 営業利益 | 15.02億円 | 7.00億円 | +114.6% | 非開示 |
| 調整後営業利益(従来定義) | 17.41億円 | 8.09億円 | +115.1% | 該当なし |
| 調整後営業利益(新定義) | 14.30億円 | 非開示 | - | 18.00億円 |
| 税引前利益 | 13.64億円 | 5.63億円 | +141.9% | 非開示 |
| 親会社帰属利益 | 10.80億円 | 3.27億円 | +229.8% | 調整後利益12.21億円 |
| EPS | 68.43円 | 23.34円 | +193.2% | 非開示 |
会社は翌期から、一過性損益を調整項目へ加える新定義を採用した。従来定義の調整後営業利益17.41億円は、新定義では14.30億円となる。2027年5月期計画18.00億円は新定義との比較で25.8%増であり、IFRS営業利益の会社計画ではない。
セグメント
同社グループはモノづくり事業の単一セグメントであり、グループ会社別・製品別の連結売上収益と利益は開示していない。全社売上収益は80.11億円、営業利益は15.02億円だった。半導体産業向けが下期に増加し、自動車・船舶産業向けも堅調だったと会社は説明している。
財務安全性
総資産147.19億円に対して資本合計は62.66億円、親会社所有者帰属持分比率は前期の7.5%から42.6%へ上昇した。流動比率は227.9%。営業キャッシュ・フロー11.59億円から投資キャッシュ・フロー4.02億円の支出を差し引いたフリーキャッシュ・フローは7.57億円となる。公募増資後の現金は61.70億円、会社資料のネットデットは△2.19億円で、期末時点では実質ネットキャッシュに転じた。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +193.2% | 前期23.34円 | 株式分割遡及後で比較 |
| 営業利益率 | 18.7% | 前期9.0% | 一過性利益を含む |
| 新定義調整後営業利益率 | 17.9% | 前期比較なし | 継続収益を見る新基準 |
| ROIC | 開示なし | M&A投下資本の内訳不足 | 簡易推計は行わない |
| PER推移 | 算定保留 | 上場後の履歴が短い | 過去レンジ未形成 |
利益成長は大きい。ただし、勝山塗装工業所の事業譲受に伴う負ののれん発生益と子会社株式売却益が含まれるため、新定義の調整後営業利益14.30億円を継続収益の比較起点とする方が実態を捉えやすい。
ポジティブ要因
本業の収益改善
売上総利益は23.59億円から28.50億円へ増え、販管費は16.75億円から16.95億円への小幅増にとどまった。売上規模以上に粗利と固定費吸収が改善している。
IPO後の財務余力
公募増資の資金で現金が32.66億円増え、長期借入金の返済も進めた。ネットデットは前期の49.81億円から△2.19億円へ改善し、次のM&Aに使える財務余力が広がった。
買収後の改善実績
会社資料では、タマ化工の営業利益率が事業承継前の5.4%から16.1%、冨士鍍金工業所が26.6%から30.0%へ改善したと説明している。いずれも日本基準・未監査の個社数値だが、買収後支援の進捗を測る材料となる。
リスク要因
調整指標の定義変更
従来定義と新定義で調整後営業利益に3.11億円の差が生じた。見かけ上の増減率だけで判断せず、負ののれん発生益、子会社売却益、上場関連費用の扱いを毎期そろえる必要がある。
M&Aの統合負担
翌期計画には公表済み案件を織り込む一方、今後決まる追加M&Aは含めていない。買収件数が増えるほど、取得費用、無形資産償却、現場統合、人材確保が同時に膨らむ。
のれんと景気感応度
のれん14.64億円、無形資産12.97億円を計上している。半導体、自動車、船舶など顧客産業の需要が弱まり、買収先の収益計画が崩れた場合は減損が焦点となる。
業界動向との関連
後継者不在の中小製造業を永続保有し、営業・採用・生産改善を横断支援するロールアップ型の事業である。案件供給は多いが、買収価格をEV/EBITDA約5倍以内、ネットデット/EBITDAを3〜4倍以内に抑える会社方針が守られるかが成長の質を左右する。
株価への示唆
2026年3月上場で株価履歴が短く、過去PERレンジを使う理論株価は算定しない。数字は強いが、営業利益には一過性要因があり、翌期計画は新定義の調整後指標で示されている。新定義の調整後営業利益18億円と営業キャッシュ・フローが同時に伸びる場合、利益の質への信頼は高まりやすい。追加M&Aだけで利益を積み上げる形なら、市場は統合コストと希薄化を先に見る可能性がある。
今期の総括
売上収益は3.1%増だったが、営業利益は2倍超、親会社帰属利益は3倍超となった。粗利改善と費用抑制に加え、一過性利益も寄与した。IPOで財務は大きく改善し、次の成長投資へ進める状態になったが、継続収益は新定義の調整後指標で追う必要がある。
来期見通し
2027年5月期は売上収益98.00億円、新定義の調整後営業利益18.00億円、調整後EBITDA21.00億円、調整後当期利益12.21億円を計画する。増収率は22.3%で、公表日までに完了した事業譲受と株式取得を含む。未公表の追加M&Aは織り込んでおらず、既存案件の統合だけで計画へ届くかが確認点となる。
総合判断
総合判断は中立である。粗利改善、営業キャッシュ・フロー、IPO後の財務余力は前向きだが、一過性利益と調整指標の定義変更で比較が難しい。新定義の調整後営業利益とキャッシュが翌期もそろって伸びるかが評価を分ける。
出典
- セイワホールディングス「2026年5月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」、2026年7月15日
- セイワホールディングス 決算説明資料、2026年7月15日