前澤ホールディングス 575A / 前澤工業分 2026年5月期 売上高399.20億円、営業利益54.76億円 統合前の主力事業は増益、次は持株会社ベースの収益確認 ✓ バルブ事業利益 +50.3% ✓ メンテナンス利益 31.36億円 ✓ 自己資本比率 68.8% ⚠ 営業CFは35.43億円へ減少 ⚠ 統合後10か月決算は比較しにくい ⚠ 公共投資・更新需要の進捗依存 営業利益 46.54→54.76億円

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高399.20億円374.99億円+6.5%非開示該当なし
営業利益54.76億円46.54億円+17.7%非開示該当なし
経常利益56.36億円47.68億円+18.2%非開示該当なし
純利益37.15億円30.77億円+20.7%非開示該当なし
EPS211.07円174.43円+21.0%非開示該当なし

前澤工業分は売上高の伸びを上回る利益成長となった。通期実績のため進捗率は該当なしで、次の比較軸は前澤ホールディングスとしての2027年3月期予想になる。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率+21.0%前年同期比利益成長は売上伸びを上回る
ROE11.8%前期10.6%自己資本効率は改善
ROIC簡易推計で約11.3%営業利益×税率30%・期末自己資本+有利子負債概算水インフラ事業としては悪くないが、統合後の資本配分で再確認が必要
PER推移市場データ未反映上場直後で過去レンジ不足持株会社化後の実績が少なく、倍率だけで評価しにくい

数字は強い。営業利益率は13.7%、自己資本比率は68.8%で、前澤工業単体の決算としてはかなり締まっている。ただし575Aとしては、前澤化成工業との統合後にこの収益性をどこまで維持できるかがまだ見えていない。

ポジティブ要因

バルブ事業の利益回復

バルブ事業は売上高123.75億円、セグメント利益14.69億円となり、利益は前年比50.3%増えた。浄水場、配水池、下水処理場向けの弁・栓・門扉類で、生産効率化が利益率を押し上げた形である。

メンテナンス事業の安定収益

メンテナンス事業は売上高131.15億円、セグメント利益31.36億円だった。施設老朽化に伴う更新・長寿命化ニーズを取り込み、3事業の中で最も大きい利益の柱になっている。

財務余力は厚い

総資産482.07億円、純資産331.56億円、自己資本比率68.8%で、財務の厚みはある。現金及び現金同等物も100.73億円あり、公共インフラ向け事業の運転資金には余裕がある水準だ。

リスク要因

営業キャッシュ・フローの低下

営業キャッシュ・フローは35.43億円と黒字だが、前期の55.46億円からは減少した。売上債権の増加や法人税等の支払いが重く、利益の伸びほどキャッシュが増えていない点は見ておきたい。

環境事業の受注減

環境事業は売上高144.29億円、利益7.30億円と増収増益だったが、受注高は144.41億円で前年比8.2%減った。水処理設備は案件進捗の波が出やすく、受注の戻りが次期以降の売上を左右する。

持株会社化による比較の難しさ

前澤ホールディングスは2026年6月1日に設立されたため、今回の前澤工業分の12か月実績と、次期の575A連結10か月予想は単純比較できない。投資家は統合効果より先に、実質利益とキャッシュを確認しに行くはずだ。

財務安全性

財務安全性は高い。自己資本比率は68.8%、有利子負債に対する営業キャッシュ・フロー倍率は0.6年で、負債負担は軽い。営業CFは35.43億円、投資CFはマイナス26.47億円、財務CFはマイナス11.28億円で、設備投資と配当を営業資金でおおむね賄えている。ただし売上債権の増加が続く場合、利益よりも資金回収の速度が見られる。

業界動向との関連

同社の主戦場は上下水道、産業用水処理、バルブ、維持管理である。国内の水インフラは新設成長より更新・耐震化・長寿命化の色が濃い。派手な成長市場ではないが、自治体設備の老朽化は継続的な需要を生む。市場が評価するには、受注残、採算、メンテナンス比率の積み上がりが必要になる。

株価への示唆

株価を見るうえでは、前澤工業分のEPS211.07円をそのまま575Aの基準に置くのは危うい。前澤ホールディングスは2027年3月期に負ののれん発生益を含むEPS602.11円を予想しているが、同利益を除くEPSは145.98円である。市場は一時利益込みの見かけのPERより、実質利益、63円配当の持続性、統合後のROEを見に行くだろう。

今期の総括

前澤工業分の2026年5月期は、売上、営業利益、経常利益、純利益がそろって伸びた。特にバルブ事業とメンテナンス事業の利益が厚い。ただ、575Aの投資判断では、この実績は統合前の片側の数字であり、まだ完成形ではない。

来期見通し

前澤工業単体としての2027年3月期予想は、上場廃止によりこの決算短信では記載されていない。別途、前澤ホールディングスは2027年3月期10か月の連結予想として、売上高550.00億円、営業利益66.00億円、経常利益71.00億円、純利益192.00億円を開示している。負ののれん発生益を除く純利益は46.00億円で、この実質利益が次の基準になる。

総合判断

総合判断は中立である。前澤工業分の決算は増収増益で財務も厚いが、575Aとしては設立初年度の10か月決算、負ののれん発生益、前澤化成工業との統合効果が混在する。次回は統合後の営業利益率、営業CF、配当原資を同じ方向で確認したい。

関連銘柄

出典

本記事は、前澤ホールディングスが開示した前澤工業株式会社分の決算短信および同日開示の業績予想資料を基に作成しています。

  • 「上場廃止となった子会社(前澤工業株式会社)に関する決算開示について」、前澤ホールディングス、開示日: 2026-07-14
  • 「令和8年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、前澤工業株式会社、開示日: 2026-07-14
  • 「2027年3月期の連結業績予想および配当予想に関するお知らせ」、前澤ホールディングス、開示日: 2026-07-14