決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 13.74億円 | 8.27億円 | +66.1% | 開示なし | 該当なし |
| 営業利益 | 3.36億円 | 1.38億円 | +143.5% | 開示なし | 該当なし |
| 経常利益 | 3.36億円 | 1.38億円 | +144.3% | 開示なし | 該当なし |
| 当期純利益 | 2.28億円 | 0.87億円 | +160.8% | 開示なし | 該当なし |
| EPS | 35.16円 | 13.75円 | +155.7% | 開示なし | 該当なし |
2025年6月期は、金融機関向け案件の拡大により大幅な増収増益となった。営業利益率は24.5%で、受託開発色のある企業としてはかなり高い水準である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +155.7% | 前年同期比 | 純利益の伸びが1株利益にも反映されている |
| ROE | 21.0% | Iの部記載値 | 収益性は高いが、顧客集中を割り引いて見る必要がある |
| 営業利益率 | 24.5% | 売上高13.74億円に対する営業利益 | 高単価案件と少数精鋭の生産性が出ている |
| PER | 約22.5倍 | 公開価格790円と2025年6月期EPS | 上場時点の参考値であり、現在株価の評価ではない |
数字だけを見ると、黒字グロースIPOとして見栄えは良い。ただし、売上規模はまだ小さく、特定顧客の案件進捗で利益率が振れやすい。
ポジティブ要因
金融モダナイゼーション案件の拡大
売上高は13.74億円、前年比+66.1%となった。主な増収要因は金融機関向けの売上拡大であり、APIゲートウェイ、データ基盤、勘定系システム刷新というテーマ性は強い。
営業利益率の高さ
営業利益は3.36億円、営業利益率は24.5%だった。高難度の金融システム開発支援を少数精鋭で受けるモデルが、2025年6月期の利益率には表れている。
営業キャッシュ・フローの黒字
営業活動によるキャッシュ・フローは2.93億円のプラスだった。会計上の利益だけでなく、資金回収も伴っている点は、上場直後の小型グロースを見るうえで安心材料になる。
リスク要因
顧客集中が大きい
2025年6月期の販売先上位2社の売上構成比は71.6%で、北國銀行向けだけで49.5%を占める。大口案件が縮小した場合、売上と利益への影響は大きくなりやすい。
フロー型収入への依存
2025年6月期の売上高構成は、フロー型収入が97.9%、ストック型収入が2.1%だった。保守・運用や自社ソリューションが伸びるまでは、人材稼働と案件獲得に業績が左右されやすい。
人材採用と人件費
LiNKXの競争力はハイエンド・エンジニアにある。採用が遅れれば売上成長が鈍り、人件費が先行すれば利益率が下がる。高い営業利益率が続くかは、次回以降の決算で確認したい。
財務安全性
2025年6月期末の総資産は15.30億円、純資産は12.93億円、自己資本比率は84.1%だった。現金及び現金同等物の期末残高は13.34億円で、営業CFは2.93億円のプラスである。借入依存よりも、案件進捗と採用投資を手元資金でどこまで支えられるかを見る会社だ。
業界動向との関連
金融機関の基幹システム刷新、API連携、クラウド化、AI活用に向けたデータ基盤整備は、短期で終わるテーマではない。LiNKXはその中でも難度の高い金融領域に入っている。ただし、大手SIerやITコンサルとの競争もあり、テーマの強さがそのまま持続的な利益率につながるとは限らない。
株価への示唆
公開価格790円と2025年6月期EPS35.16円で見ると、公開価格ベースのPERは約22.5倍になる。黒字グロースIPOとして極端に高い水準ではないが、初値1,075円ベースでは約30.6倍まで上がる。市場がLiNKXを評価し続けるには、2026年6月期の通期決算で、3Q累計からの伸び、営業利益率、顧客分散、ストック型収入の増加を確認する必要がある。
今期の総括
2025年6月期は、売上高13.74億円、営業利益3.36億円、当期純利益2.28億円という強い着地だった。数字は良い。ただ、まだ売上規模は小さく、北國銀行を中心とした大口顧客依存が濃い。ここからは成長率より再現性を見られる局面に入る。
来期見通し
IPO資料では、2026年6月期第3四半期累計として売上高13.87億円、営業利益3.84億円、経常利益3.83億円、四半期純利益2.39億円が確認できる。3Q時点で2025年6月期通期を上回っている点は強い。ただし、上場後に開示される通期決算短信で、4Q単独の伸び、採用費、案件構成、顧客集中の変化を確認するまでは、評価を急ぎすぎない方がよい。
総合判断
総合判断は中立である。2025年6月期の増収増益、営業利益率24.5%、営業CF黒字は明確な強みである。一方、販売先上位2社で71.6%、北國銀行向け49.5%、ストック型収入2.1%という集中リスクは重い。次回は、2026年6月期通期決算で顧客分散と利益率がどこまで保たれるかを見る。
出典
本記事は、LiNKX株式会社のIPO時開示資料に記載された2025年6月期通期実績を基に作成しています。上場後に開示される決算短信とは異なるため、最新の通期決算短信が出た場合はそちらを優先して確認してください。
- LiNKX株式会社「新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」、日本取引所グループ掲載、上場承認日: 2026-05-21
- LiNKX株式会社「新規上場会社概要」、日本取引所グループ掲載、上場承認日: 2026-05-21