アイ・グリッド・ソリューションズ 603A / 2026.6 3Q 営業利益進捗 81.9% GX成長を確認、財務レバレッジはなお高い 売上高 185.43億円 営業利益 26.53億円 自己資本比率 19.1% GX売上 89.96億円 / エナジー売上 95.47億円 通期着地と上場増資後の財務改善を確認 kabutrack.com

決算サマリー

項目2026年6月期3Q累計前年同期増減率通期予想進捗率
売上高185.43億円開示なし算定不可254.64億円72.8%
営業利益26.53億円開示なし算定不可32.38億円81.9%
経常利益21.32億円開示なし算定不可24.97億円85.4%
純利益14.99億円開示なし算定不可17.23億円87.0%
EPS46.70円開示なし算定不可53.69円該当なし

同社は当第3四半期累計から四半期財務諸表を作成したため、前年同期比はない。利益進捗は高いが、GXソリューションは第4四半期にも工事収益が出やすく、単純な四半期按分だけでは着地を読めない。

セグメント

セグメント外部売上高構成比セグメント利益主な状況
GXソリューション89.96億円48.5%19.28億円PPA・アライアンスで57MW、インテグレーションで12施設が新規稼働
エナジートレーディング95.47億円51.5%16.27億円電力販売量が想定をやや上回り、需給管理と安定価格での余剰電力調達が原価を抑制
全社・調整---9.02億円セグメント間取引消去と管理部門などの全社費用
合計185.43億円100.0%26.53億円四半期損益計算書の営業利益と一致

セグメント売上高には内部取引を含む開示もあるが、構成比は連結売上高と一致する外部顧客向け売上高で計算した。前年同期のセグメント数値は開示されていないため、増減率は算定していない。

財務安全性

2026年3月末の総資産は424.36億円、純資産は80.91億円、自己資本比率は19.1%で、2025年6月末の15.8%から3.3ポイント改善した。流動比率は169.2%。借入金は191.35億円、リース債務は73.02億円あり、利益剰余金の積み上がりだけで財務負担が軽くなったとは言いにくい。四半期CF計算書は作成されていない。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率算定不可前年同期EPSなし3Q累計EPSは46.70円
営業利益率14.3%通期予想12.7%3Q時点では計画利益率を上回る
ROIC開示なし投下資本の定義なし設備投資と営業CFがそろう通期で確認
参考PER約14.3倍公開価格770円 / 予想EPS53.69円上場時の単純計算、過去レンジなし

経常利益の進捗率85.4%は営業利益より高いが、3Q累計では支払利息5.03億円を計上している。営業利益率だけでなく、資金調達後の経常利益とキャッシュを見る必要がある。

ポジティブ要因

GX設備の稼働拡大

2026年3月末の太陽光発電施設は累計1,461施設、390MW。第3四半期累計ではPPA・アライアンスで57MW、インテグレーションで12施設が新たに稼働した。

エナジートレーディングの原価抑制

JEPX平均価格は11.46円/kWhと前年同期間の13.06円/kWhを下回った。販売量が想定をやや上回る中、需給管理とGX事業からの安定価格調達が原価抑制に寄与した。

純利益の進捗率87.0%

純利益14.99億円は通期予想17.23億円に対して87.0%まで進んだ。補助金収入1.31億円と同額の固定資産圧縮損が計上され、純利益を一方向に押し上げる構造にはなっていない。

リスク要因

高い有利子負債負担

短期・長期借入金は191.35億円、リース債務は73.02億円。支払利息は3Q累計で5.03億円に達し、営業利益26.53億円と経常利益21.32億円の差を広げている。

季節性と工期リスク

GXソリューションは第2・第4四半期、エナジートレーディングは第1・第3四半期に収益が大きくなりやすい。天候、資材供給、EPC事業者、送配電事業者の事情で工事が遅れる可能性もある。

粗利益率の低下計画

3Q累計の売上総利益率は27.6%だが、通期予想は26.3%、2027年6月期予想は24.4%。売上成長が続いても、低採算案件や事業構成で利益率が下がる計画になっている。

業界動向との関連

再エネ比率引き上げと企業の脱炭素需要はPPA案件の追い風になる。一方、同社は発電設備を保有し、電力市場と工事の両方に接する。金利上昇、太陽光設備価格、JEPX価格、系統接続の遅れが同時に利益と財務へ波及する点は、単純なGXテーマ株とは異なる。

株価への示唆

2026年7月29日の上場初日は、公開価格770円に対して初値953円、終値830円だった。終値を2026年6月期予想EPS53.69円で割った参考PERは約15.5倍。初値形成時の需給は強かったが、終値は初値を下回った。上場公募で資本が増えた後、自己資本比率と純有利子負債がどこまで改善するか。市場が見たいのは、GX売上の伸びそのものより、成長がキャッシュと財務余力へ変わる過程だ。

今期の総括

3Q累計は営業利益進捗81.9%、純利益進捗87.0%で、数字の出足は良い。二つのセグメントもそろって黒字を確保した。ただ、支払利息5.03億円は小さくない。利益進捗と財務負担が同居する決算である。

来期見通し

2026年6月期は売上高254.64億円、営業利益32.38億円、純利益17.23億円を予想する。2027年6月期は売上高309.66億円、営業利益38.44億円、純利益21.40億円を計画。GXソリューションを伸ばす一方、全社の売上総利益率は低下する見通しで、量の成長が利益率低下を吸収できるかが論点になる。

総合判断

総合判断は中立である。3Q利益進捗とGX設備の稼働拡大は前向きだが、自己資本比率19.1%、借入・リース債務264.37億円という財務構造は軽くない。通期決算では上場増資後の貸借対照表、営業CF、設備投資額を優先して確認したい。

関連ページ

出典

本記事は、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの上場時開示および決算資料を基に作成しています。

  • 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」、開示日: 2026-07-29
  • 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「2026年6月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」、開示日: 2026-07-29