決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 165.25億円 | 173.73億円 | -4.9% | 360億円 | 45.9% |
| 営業利益 | -0.89億円 | -1.46億円 | 赤字縮小 | 5億円 | -17.8% |
| 経常利益 | -0.87億円 | -3.61億円 | 赤字縮小 | 3億円 | -29.0% |
| 純利益 | -1.93億円 | -3.53億円 | 赤字縮小 | 1億円 | -193.0% |
| EPS | -30.29円 | -55.40円 | 赤字縮小 | 15.66円 | -193.4% |
受注高は231.08億円と前年同期比28.1%増えたが、売上計上と利益への転換は下期に持ち越された。赤字企業では進捗率の符号より、通期黒字へ転換できる利益額を確認したい。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 赤字縮小 | -55.40円から-30.29円 | 1株損失は縮小したが黒字化前である |
| 営業利益率 | -0.5% | 前年同期は-0.8% | 決算短信の売上高と営業利益から単純計算 |
| ROIC | 算定保留 | 営業赤字 | 投下資本利益率を肯定的に評価できる段階ではない |
| PER推移 | 算定対象外 | EPSが赤字 | 黒字予想の実現前はPERによる評価が安定しにくい |
営業損失は縮小したものの、通期営業利益5億円の達成には下期に5.89億円の営業利益が必要である。受注残が利益へ変わる速度が問われる。
ポジティブ要因
工作機械関連事業の採算改善
工作機械関連事業は売上高32.13億円(前年同期比19.0%増)、営業利益3.54億円(同113.2%増)となった。米国の自動車関連や航空宇宙・データセンター向け大型NC円テーブル、国内の半導体製造装置関連需要が支えた。
受注高が二桁増
繊維機械と工作機械関連を合わせた受注高は231.08億円(前年同期比28.1%増)だった。中国の高級スポーツカジュアル向け織機や、AI半導体基板用ICクロスに関連する準備機の受注が増えている。
営業キャッシュ・フローは黒字
営業キャッシュ・フローは5.18億円の黒字だった。売上債権の減少9.39億円と棚卸資産の減少3.55億円が寄与しており、利益ではなく運転資金の回収が主因である点は分けて見る必要がある。
リスク要因
繊維機械の減収減益
繊維機械事業は売上高133.11億円(前年同期比9.3%減)、営業利益1.12億円(同53.6%減)となった。高採算案件の次期ずれと原材料高が響き、受注増が当中間期の採算改善へつながらなかった。
自己資本の薄さ
純資産は前期末比3.66億円減の26.19億円、自己資本比率は9.3%となった。財務活動によるキャッシュ・フローも借入金返済などで9.47億円の支出となり、現金同等物は29.09億円まで減少した。
継続企業に関する重要事象
会社は、安定的な利益獲得に至っておらず、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在すると記載している。受注増だけではこの論点は解消せず、営業黒字の定着が必要である。
財務安全性
総資産271.45億円、負債245.25億円、純資産26.19億円で、自己資本比率は前期末の9.7%から9.3%へ低下した。営業CFは5.18億円の黒字だが、借入金返済により現金同等物は5.27億円減った。営業赤字と低い自己資本比率が重なるため、財務余力は限定的とみる。
業界動向との関連
繊維機械では中国の高級スポーツ衣料、ガラス織物、エアバッグや炭素繊維向け需要がある一方、案件時期と原材料価格で採算が振れやすい。工作機械関連では自動車、航空宇宙、データセンター、半導体設備投資が追い風となった。
株価への示唆
受注高の増加と赤字縮小は改善材料だが、通期黒字化はまだ実績になっていない。市場が評価を変える条件は、繊維機械の高採算案件が売上・利益へ計上され、自己資本の減少に歯止めがかかることだろう。赤字のため、PERによる理論株価の試算は行わない。
今期の総括
中間期は減収ながら営業・経常・純損失が縮小した。工作機械関連は増収増益だったが、主力の繊維機械は案件ずれと原材料高で減益となった。受注増と営業CF黒字は確認できたものの、本業の連結営業黒字には届いていない。
来期見通し
会社は通期予想を売上高360億円、営業利益5億円、経常利益3億円、純利益1億円へ修正した。年間配当予想は0円で変更なし。下期は受注済み案件の売上計上、繊維機械の採算改善、借入返済後の資金水準が計画達成を左右する。
総合判断
総合判断は弱気。受注高28.1%増と工作機械の増益は前向きだが、連結営業赤字、自己資本比率9.3%、継続企業に関する重要事象が重い。次回は下期営業利益の積み上がりと繊維機械の採算を最優先で確認する。
出典
本記事は、津田駒工業が2026年7月13日に開示した「令和8年11月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」を基に作成しています。