テクノクラフト 622A|2021〜2025年9月期 2025年9月期 売上23.71億円 営業利益0.90億円、前期比53.6%増益 202117.34 202220.85 202320.65 202424.02 202523.71 ゴルフ87.0%|コミュなび11.7%|健康見守り1.3% 健康見守り営業損失0.74億円 kabutrack.com

決算サマリー

2025年9月期は、売上高2,370,522千円、営業利益89,991千円、経常利益107,037千円、当期純利益64,193千円となった。営業利益はタブレットの直接仕入れや通信費の見直しなど原価低減策により増えたが、経常利益は前期の一過性の受取補償金の反動で減少した。純利益は減損損失や固定資産除却損の計上も影響している。

項目2025年9月期2024年9月期前期比
売上高23.71億円24.02億円△1.3%
売上総利益7.03億円6.61億円+6.3%
営業利益0.90億円0.59億円+53.6%
経常利益1.07億円1.20億円△11.1%
当期純利益0.64億円0.95億円△32.3%
EPS15.07円22.24円△32.3%
営業活動によるキャッシュ・フロー2.13億円3.71億円-
自己資本比率75.9%70.3%+5.6pt

営業利益率は3.8%で、前期の2.4%から改善した。売上高が横ばいでも粗利率が上がり、営業利益を押し上げている。ただし、経常利益と純利益は減少しており、営業利益だけで業績全体を判断するのは危険だ。

セグメント

2025年9月期は、ゴルフ関連事業、コミュなび事業、健康見守り事業の3報告セグメントである。健康見守り事業は2025年9月期に開始した新規事業で、売上は0.30億円、営業損失は0.74億円だった。セグメント利益の合計と営業利益の差は、各セグメントに配分していない全社費用による。

セグメント2025年9月期売上高営業利益2024年9月期売上高前期比
ゴルフ関連事業20.63億円3.58億円22.47億円△8.2%
コミュなび事業2.77億円0.27億円1.55億円+78.7%
健康見守り事業0.30億円△0.74億円-新規
全社合計23.71億円0.90億円24.02億円△1.3%

ゴルフ関連事業はカートナビの受注案件中止の影響で減収となったが、原価低減で営業利益は増えた。コミュなび事業は「写真コレなび」の収益認識を純額から総額へ変更した影響もあり、売上高が大きく伸びている。健康見守り事業は将来の3本目の柱を目指す段階だが、現時点では投資負担が先行している。

2021年9月期からの業績推移

決算期開示範囲売上高営業損益経常損益純損益自己資本比率
2021年9月期単体・主要指標17.34億円非開示0.96億円1.37億円75.1%
2022年9月期単体・主要指標20.85億円非開示0.93億円2.59億円82.6%
2023年9月期単体・主要指標20.65億円非開示1.49億円0.94億円80.8%
2024年9月期単体・監査済み24.02億円0.59億円1.20億円0.95億円70.3%
2025年9月期単体・監査済み23.71億円0.90億円1.07億円0.64億円75.9%

2021年9月期から2025年9月期までの売上高は約36.8%増えた。2022年9月期に増収、2023年9月期に小幅減収となった後、2024年9月期に増収へ戻り、2025年9月期は再び減収となっている。2021〜2023年の財務数値は監査を受けておらず、2024〜2025年の財務諸表は監査済みである。

財務安全性

2025年9月期末の総資産は22.05億円、純資産は16.75億円、自己資本比率は75.9%だった。現金及び現金同等物は4.89億円、営業活動によるキャッシュ・フローは2.13億円のプラスである。借入負担が大きい会社ではなく、財務余力は高い。

一方、健康見守り事業の研究開発やデバイス・クラウド対応には投資が必要になる。現金を投資へ回しながら、ゴルフ関連事業とコミュなび事業の利益で新規事業の損失をどこまで吸収できるかが確認点だ。

定量評価

指標2025年9月期見方
売上高成長率△1.3%ゴルフ関連の減収が全社を押し下げた
売上総利益率29.7%前期の27.5%から改善
営業利益率3.8%前期の2.4%から改善
純利益率2.7%減損・除却損などで低下
自己資本比率75.9%前期の70.3%から上昇
営業CFマージン9.0%営業CF2.13億円を売上高で除した値

財務安全性と営業利益率は改善したが、売上高と純利益は減少した。セグメント単位ではゴルフ関連事業の採算改善が見える一方、健康見守り事業の赤字が続くかどうかで、全社の利益率は変わりやすい。

ポジティブ要因

ゴルフ関連事業の採算改善

ゴルフ関連事業は売上高20.63億円で減収となったが、営業利益は3.58億円となった。タブレットの直接仕入れや安価なSIMへの切り替えなど、原価低減策が利益を支えた。

コミュなびの売上拡大

コミュなび事業は売上高2.77億円で、前期比78.7%増となった。新規契約の増加に加え、「写真コレなび」の収益認識変更により売上が総額計上となった影響が含まれるため、契約数や継続収益の実態と分けて見る必要がある。

厚い自己資本

自己資本比率は75.9%で、現金も4.89億円ある。健康見守り事業の立ち上げやシステム投資を進める際、財務面の制約は相対的に小さい。

リスク要因

ゴルフ関連への売上集中

ゴルフ関連事業が売上高の87.0%を占める。ゴルフ場の設備投資、カートナビの更新需要、大手メーカーとの取引条件に変化があれば、全社売上に波及しやすい。

健康見守り事業の赤字

健康見守り事業は開始初年度で営業損失0.74億円となった。医療・介護施設での検証やデバイス連携を進める段階にあり、売上規模が小さいまま開発・償却費が続けば、全社利益率を押し下げる。

利益指標の振れ

2025年9月期は営業利益が増えた一方、受取補償金の反動で経常利益が減少し、減損損失や除却損で純利益も減った。営業利益率だけでなく、営業外損益と特別損益を含めた利益の質を確認したい。

業界動向との関連

ゴルフ場市場の回復や訪日客の増加はカートナビ需要の追い風になり得る。保育ICTでは園の業務効率化、健康見守りでは人手不足や高齢化への対応が導入テーマになる。ただし、テーマの成長が同社の利益に直結するには、導入施設数、契約更新、サービス単価、開発費のバランスが必要だ。

株価への示唆

上場予定日は2026年9月18日で、公開価格が決まる前のためPER、PBR、配当利回りの推移はない。2025年9月期のEPS15.07円は実績値だが、株価と組み合わせなければ評価水準は判断できない。上場後は、ゴルフ関連の更新需要、コミュなびの継続収益、健康見守りの赤字縮小を確認する局面になる。

今期の総括

2025年9月期は売上高23.71億円と前期比で減収だったが、原価低減により営業利益は0.90億円へ増えた。コミュなびの売上は大きく伸び、健康見守り事業も始まった。一方、経常利益と純利益は減少しており、3事業の利益構成が変わり始めた決算である。

来期見通し

確認したIPO資料には、2026年9月期の売上高・利益に関する具体的な会社予想は掲載されていない。配当についても、実施の可能性と時期は未定とされている。来期はゴルフ関連事業の売上回復、コミュなびの総額計上影響を除いた成長、健康見守り事業の損失幅を確認する。

総合判断

総合判断は中立。営業利益率は2.4%から3.8%へ改善し、自己資本比率も75.9%と高い。一方で、売上高は減収、経常利益・純利益も減少し、健康見守り事業は赤字である。上場後は主力ゴルフ関連の回復と新規事業の損失縮小を見極め、営業利益の改善が続くかを確認したい。

出典

本記事は、日本取引所グループが2026年8月14日に掲載した株式会社テクノクラフトの「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」を基に作成しています。2021〜2025年9月期の数値は、同資料の単体財務情報と報告セグメント情報を参照しています。