前澤工業 6489 / 2026年5月28日上場廃止 2026年5月期通期決算 売上高399.20億円、営業利益54.76億円 ✓ バルブ利益 +50.3% ✓ メンテナンス利益 31.36億円 ⚠ 営業CFは35.43億円へ減少 ⚠ HD統合後の比較はまだ難しい

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高399.20億円374.99億円+6.5%非開示該当なし
営業利益54.76億円46.54億円+17.7%非開示該当なし
経常利益56.36億円47.68億円+18.2%非開示該当なし
純利益37.15億円30.77億円+20.7%非開示該当なし
EPS211.07円174.43円+21.0%非開示該当なし

前澤工業は2026年5月28日付で上場廃止となり、2026年6月1日に前澤ホールディングスの完全子会社となった。このため、今回の通期実績は6489としての最終期に近い確認材料であり、次の比較軸は575Aの連結10か月予想になる。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率+21.0%当期EPSと前年同期EPSEPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。
ROE11.8%決算短信の収益性指標自己資本に対する利益効率を確認する材料です。
ROIC直接記載なし営業利益・総資産など投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。
PER推移市場データ未反映過去レンジとの比較は未実施株価評価では別途市場データの確認が必要です。

営業利益率は13.7%、ROEは11.8%、自己資本比率は68.8%で、統合前の前澤工業単体としてはかなり締まった数字である。ただし営業CFは35.43億円と前期から減っており、利益成長ほど資金回収が伸びていない点は残る。

ポジティブ要因

営業利益の変化

営業利益は54.76億円、前年比17.7%増だった。特にバルブ事業はセグメント利益14.69億円、同50.3%増と大きく伸び、生産効率化が利益率を押し上げた。

売上規模の確認

売上高は399.20億円、前年比6.5%増。環境、バルブ、メンテナンスの3事業がいずれも増収となり、メンテナンス事業は売上高131.15億円、セグメント利益31.36億円と利益の柱になった。

財務基盤

自己資本比率は68.8%、純資産は331.56億円、現金及び現金同等物は100.73億円である。公共インフラ関連の案件進捗に揺れが出ても、財務面の余裕は厚い。

リスク要因

利益率とキャッシュのずれ

営業キャッシュ・フローは35.43億円の黒字だが、前期の55.46億円からは減少した。売上債権の増加や法人税等の支払いがあり、利益の伸びをそのままキャッシュ創出力とは読めない。

販売数量・コスト前提の変動

環境事業は売上高144.29億円、セグメント利益7.30億円と増収増益だったが、受注高は144.41億円で前年比8.2%減った。水処理設備は案件の期ずれが出やすく、受注の戻りが統合後の売上に効いてくる。

市場評価の変動可能性

2027年3月期以降は前澤ホールディングスの連結決算として見ることになる。前澤工業の12か月実績と、575Aの10か月変則決算は単純比較しにくく、市場は統合後の営業利益率と配当原資を改めて確認しに行くだろう。

財務安全性

財務安全性では、総資産482.07億円、純資産331.56億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率68.8%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF35.43億円、投資CF-26.47億円、財務CF-11.28億円、現金及び現金同等物の期末残高100.73億円です。

業界動向との関連

同社の主戦場は上下水道、産業用水処理、バルブ、維持管理である。国内の水インフラは新設成長より更新・耐震化・長寿命化の色が濃い。派手な成長市場ではないが、自治体設備の老朽化は継続的な需要を生む。

株価への示唆

6489は上場廃止済みのため、株価評価は575Aの実質利益で見る段階に移った。前澤工業分のEPS211.07円をそのまま575Aの基準に置くのは危うい。市場が見るのは、統合後の実質利益、負ののれんを除いた収益力、63円配当の持続性である。

今期の総括

今期は売上高399.20億円(+6.5%)、営業利益54.76億円(+17.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益37.15億円(+20.7%)という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。

来期見通し

前澤工業単体としての2027年3月期予想は、上場廃止によりこの決算短信では示されていない。前澤ホールディングスは2027年3月期10か月の連結予想として、売上高550.00億円、営業利益66.00億円、純利益192.00億円を開示している。負ののれん発生益を除く純利益は46.00億円で、この実質利益が次の基準になる。

総合判断

総合判断は中立である。前澤工業分の決算は増収増益で、バルブとメンテナンスの利益も厚い。ただし6489としては上場廃止済みで、投資家の視線は575Aの統合後決算に移る。次回は営業利益率、営業CF、配当原資を同じ方向で確認したい。

出典

本記事は、前澤ホールディングスが開示した前澤工業株式会社分の決算短信および同日開示の業績予想資料を基に作成しています。

  • 「令和8年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、前澤工業、開示日: 2026-07-14
  • 「上場廃止となった子会社(前澤工業株式会社)に関する決算開示について」、前澤ホールディングス、開示日: 2026-07-14
  • 「2027年3月期の連結業績予想および配当予想に関するお知らせ」、前澤ホールディングス、開示日: 2026-07-14