1. 投資判断サマリー
天昇電気工業は、自動車部品を主力とするプラスチック成形メーカーです。2027年3月期第1四半期は増収・大幅営業増益となり、営業利益の通期計画進捗率は34.0%でした。一方、売上の約96%を日本成形関連事業が占めるため、国内自動車生産と主要顧客の動向に業績が左右されやすい構造です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新日 | 2026年8月13日 |
| 総合評価 | ★★★☆☆(中立) |
| 一言サマリー | 1Qの採算改善は好材料。利益率の持続と通期計画の達成を確認したい段階 |
2. 投資評価
| 評価軸 | 星評価 | コメント |
|---|---|---|
| 成長性 | ★★★☆☆ | 1Q売上高は12.7%増。ただし通期売上計画は前期比0.6%増にとどまります。 |
| 収益性 | ★★★★☆ | 1Q営業利益は346.3%増、営業利益率は5.1%まで改善しました。 |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率52.3%で、前期末の52.2%と同水準です。 |
| 配当 | ★★☆☆☆ | 2027年3月期の年間配当予想は5円。2024年3月期以降の5円配当を維持する計画です。 |
| 安定性 | ★★★☆☆ | 日本成形への集中と自動車生産の変動が弱点ですが、不動産事業が一定の利益を補完します。 |
| 時間軸 | 見方 |
|---|---|
| 短期 | 2Qで日本成形の利益率と営業利益の計画進捗を確認 |
| 中期 | 自動車部品と物流産業資材の受注、設備稼働率、原価改善の持続性を確認 |
| 長期 | 北米の持分法化後の事業構成と、安定配当を支えるキャッシュ創出力を確認 |
3. 最新決算サマリー
| 項目 | 2027年3月期1Q | 前年同期比 | 通期会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 56.20億円 | +12.7% | 220.00億円 | 25.5% |
| 営業利益 | 2.89億円 | +346.3% | 8.50億円 | 34.0% |
| 経常利益 | 2.74億円 | +88.2% | 9.00億円 | 30.4% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 1.74億円 | -21.2% | 6.00億円 | 29.0% |
| EPS | 10.24円 | -21.2% | 35.27円 | 29.0% |
営業利益率は前年同期の1.3%から5.1%へ改善しました。売上高より営業利益の進捗が先行していますが、第1四半期だけで通期上振れを判断せず、次四半期の採算を確認する必要があります。
4. 今回の決算で注目するポイント
| 確認点 | 今回の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| 日本成形 | 売上高53.93億円、利益2.20億円 | 売上構成比96.0%。連結増益の持続性をほぼ左右します。 |
| 中国成形 | 売上高1.55億円、利益0.06億円 | 前年同期の赤字から黒字化。規模は小さく、継続確認が必要です。 |
| 不動産 | 売上高0.71億円、利益0.62億円 | 高い利益率で連結利益を下支えしています。 |
| 財務 | 総資産215.42億円、純資産112.60億円、自己資本比率52.3% | 1Q短信ではキャッシュ・フロー計算書は開示されていません。 |
| 配当 | 年間5円予想 | 予想EPS35.27円に対する予想配当性向は約14.2%です。 |
5. 投資判断のポイント
- 日本成形関連事業のセグメント利益率が、1Qの4.1%前後を維持できるか。
- 通期営業利益8.50億円に対し、2Q以降も売上の伸び以上に利益を積み上げられるか。
- 中国成形の黒字が定着するか。不動産利益に過度に依存せず、製造事業で収益を確保できるか。
- 2025年1月に北米子会社が持分法適用会社へ移行した後、持分法損益と投資回収がどう推移するか。
- 5円配当を利益と営業キャッシュ・フローの両面で継続できるか。
6. リスク要因
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 顧客・業界集中 | 主力の自動車部品は完成車メーカーの生産台数やモデル切り替えの影響を受けます。 |
| 原材料・エネルギー | 樹脂材料、電力、物流費の上昇を販売価格へ転嫁できない場合、利益率が低下します。 |
| 地域・事業集中 | 1Q売上の約96%が日本成形で、中国と不動産だけでは国内の下振れを補いにくい構成です。 |
| 為替・海外投資 | 中国事業や持分法適用の北米事業は、為替や現地需要、投資回収の影響を受けます。 |
| 株主構成 | 筆頭株主の三甲不動産が33.63%、上位2社で47%超を保有しており、株式の流動性を確認する必要があります。 |
7. 総合評価
評価は中立です。第1四半期の営業利益率改善と自己資本比率52.3%は前向きな材料で、営業利益の計画進捗も34.0%と順調です。ただし、通期売上計画は前期比ほぼ横ばいで、日本成形への集中度も高いため、1四半期の増益だけで成長局面入りとは判断しません。
次回決算では、日本成形の利益率、通期営業利益計画への進捗、中国成形の黒字定着を優先して確認します。配当は年間5円予想で、増配余地を見るには利益だけでなく通期の営業キャッシュ・フローが重要です。
出典
- 天昇電気工業「2027年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年8月6日
- 天昇電気工業「2026年定時株主総会招集通知及び株主総会資料」、2026年6月3日
- 天昇電気工業 会社概要・事業案内・株式情報
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