決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 19138.68億円 | 17541.37億円 | +9.1% | 77500億円 | 24.7% |
| 営業利益 | 841.78億円 | 1072.05億円 | -21.5% | 5000億円 | 16.8% |
| 経常利益 | 1126.34億円 | 1402.27億円 | -19.7% | 5530億円 | 20.4% |
| 親会社帰属利益 | 678.75億円 | 792.68億円 | -14.4% | 3820億円 | 17.8% |
| EPS | 25.51円 | 28.5円 | -10.5% | 150.08円 | 17.0% |
会社計画欄は通期予想を基準にしており、進捗率は単純計算です。季節性がある企業では、進捗率だけで達成可能性を判断できません。
セグメント
地域別では、日本の売上収益が1兆1100億円(前年同期比9.5%増)に対し営業利益は76億円(同43.3%減)となった。北米は売上5381億円、営業利益253億円と増収増益だったが、欧州は品質費用により86億円の営業損失へ転落した。アジアも売上4892億円に対して営業利益418億円(同12.2%減)であり、増収と採算の方向がそろっていない。
財務安全性
総資産は8兆7960億円、親会社所有者帰属持分比率は58.1%で、前期末の62.9%から低下した。営業キャッシュ・フローは2389.58億円の流入、投資キャッシュ・フローは1067.68億円の支出で、単純差額は1321.90億円のプラスである。自己株式取得などで資本が前期末比4026億円減った点も併せて確認したい。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | -10.5% | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 非開示 | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は4.4%、総資産経常利益率は非開示です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
増収でも利益率は低下
車両販売増と電動化・知能化製品の拡販で売上収益は9.1%増えたが、営業利益率は前年同期の6.1%から4.4%へ低下した。売上の伸びが部材高と先行投資を吸収できていない。
通期売上予想を上方修正
通期売上収益予想は7兆7500億円へ引き上げた。第2四半期以降の前提は1ドル153円、1ユーロ180円で、営業利益予想5000億円は据え置いている。
財務基盤
自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率は58.1%、純資産は53132.86億円です。資本の厚みは確認できますが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
欧州の赤字と品質費用
欧州は前年同期の52億円の営業利益から86億円の損失へ悪化した。品質費用が一過性にとどまるか、追加負担へ広がるかで連結利益の見え方が変わる。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高77500億円、営業利益5000億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
市場評価の変動可能性
決算数値が改善しても、市場がすぐ信用するとは限りません。赤字縮小、利益率改善、営業CFの改善が同じ方向にそろって初めて、見直し買いが続きやすくなります。
業界動向との関連
業界比較では、同業他社の同時期決算や市場統計も必要です。ただ、この段階では業界ストーリーを広げすぎない方がよいです。決算短信でまず見るべきは、売上が営業利益に落ちているか、営業CFが伴っているかです。
株価への示唆
中立評価でも、見る場所ははっきりしています。売上ではなく営業利益率、営業利益より営業CF。この順番で数字がそろうまでは、市場は様子見になりやすいです。補足市場データ未取得のため、理論株価の算定は保留します。
今期の総括
今期は売上収益1兆9138.68億円(前年同期比9.1%増)、営業利益841.78億円(同21.5%減)、親会社帰属利益678.75億円(同14.4%減)となった。車両販売増と円安で売上は伸びたが、部材高、成長投資、欧州の品質費用が利益を押し下げた。売上予想の上方修正だけでなく、営業利益率の回復を確認したい。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高77500億円、営業利益5000億円、経常利益5530億円、純利益3820億円、EPS150.08円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかを次の開示で確認します。
総合判断
総合判断は中立。売上収益は9.1%増えたが、営業利益は21.5%減、親会社帰属利益は14.4%減となった。通期売上予想の上方修正に対し営業利益予想は据え置きであり、欧州の赤字、部材高、成長投資を吸収して利益率が戻るかが次の確認点である。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」、デンソー、開示日: 2026-07-31