コーセル 6905|2027年5月期第1四半期 売上高78.14億円|営業利益5.45億円 売上高:前年同期比54.0%増 日本生産販売:営業利益5.35億円 欧州:営業損失2.07億円 営業CF:第1四半期は非作成 kabutrack.com

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高78.14億円50.75億円+54.0%318.00億円24.6%
営業利益5.45億円△3.89億円黒字転換23.00億円23.7%
経常利益5.80億円△0.79億円黒字転換24.00億円24.2%
純利益6.61億円△0.68億円黒字転換26.00億円25.4%
EPS16.08円△1.67円黒字転換63.21円25.4%

売上高は前年同期の50.75億円から27.39億円増えた。営業利益は前年同期の3.89億円の損失から5.45億円の利益となり、営業利益率は7.0%まで回復した。通期計画に対する単純進捗率はおおむね24〜25%だが、第1四半期だけで通期達成度を判断する段階ではない。

セグメント

報告セグメント外部顧客売上高前年同期増減率セグメント利益
日本生産販売事業48.06億円26.51億円+81.3%5.35億円
北米販売事業5.69億円3.13億円+81.5%0.80億円
ヨーロッパ生産販売事業15.15億円15.20億円△0.3%△2.07億円
アジア販売事業9.22億円5.89億円+56.4%0.61億円
中国生産事業―――0.73億円

日本生産販売事業は、半導体製造装置やデータセンター関連の需要回復を背景に増収となり、営業利益も黒字化した。北米販売事業も大口受注を含む需要回復で黒字に転じた。アジア販売事業は在庫消化と大口案件の受注を受け、売上高・利益ともに伸びている。

欧州は発注調整が続き、売上高がほぼ横ばいのまま営業赤字が拡大した。中国生産事業は外部顧客売上高ではなく、セグメント間売上高8.76億円を計上し、利益は前年同期の0.13億円の損失から0.73億円の利益へ改善している。製品別では、ユニット電源の売上高が43.07億円、オンボード電源が18.19億円、ノイズフィルタが4.60億円、PRBX製品が12.26億円だった。

セグメント注記の外部顧客売上高を表示額だけで合計すると78.12億円となり、連結売上高78.14億円と2百万円の差がある。また、個別セグメント利益の表示額の合計は5.42億円で、同注記の合計5.43億円とも1百万円の差がある。いずれも決算短信の百万円単位の表示差・集計差として扱い、特定セグメントへ配分していない。セグメント利益合計に調整額0.01億円を加えた連結営業利益は5.45億円である。

財務安全性

総資産は617.04億円、純資産は518.36億円、自己資本比率は84.0%と高い。流動資産は483.52億円、流動負債は59.56億円で、短期の資金余力も厚い。第1四半期は四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業CF・投資CF・財務CFは開示されていない。現金及び預金は前期末から17.61億円減少し、売掛金・電子記録債権・棚卸資産が増えているため、利益回復が運転資金の増加を伴っていないかは次回以降の確認点になる。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率黒字転換前年同期△1.67円から16.08円前年EPSが負のため、通常の成長率は算出しない
ROIC開示なし―第1四半期短信だけでは投下資本と税後営業利益の前提が揃わない
PER推移算定なし―決算短信に株価・PERの記載はない
営業利益率7.0%前年同期は営業損失売上回復が利益に反映されたかを確認する指標

営業利益率は改善したが、純利益6.61億円には子会社株式譲渡に伴う関係会社整理益3.55億円が含まれる。本業の回復度を見る際は、営業利益とセグメント利益を優先して読む必要がある。

ポジティブ要因

日本・北米の需要回復

日本生産販売事業の外部顧客売上高は前年同期比81.3%増、北米販売事業は同81.5%増となった。半導体製造装置、データセンター、FA機器向けの需要回復が売上の戻りを支えた。

受注と受注残高の拡大

受注高は130.01億円で前年同期比154.9%増、受注残高は178.98億円で同94.2%増となった。売上回復が一時的な出荷だけか、受注残の消化として続くかが次の論点になる。

製品ラインアップの拡充

ユニット型マルチ出力AC-DC電源、高入力電圧対応の小型AC-DC電源、DC-DCコンバータの新製品を投入した。COSELSYNC.製品とLITEON製品の拡販も徐々に販売実績へ寄与している。

リスク要因

欧州の赤字継続

ヨーロッパ生産販売事業は売上高15.15億円と前年同期比0.3%減にとどまり、セグメント損失は2.07億円となった。需要調整が長引けば、他地域の増益を相殺する可能性がある。

材料価格・人件費の上昇

会社は材料価格の上昇、人件費、経費の増加を減益要因として挙げている。売上高が回復しても、これらのコストが先行すれば営業利益率7.0%の維持が難しくなる。

特別利益への依存に注意

純利益6.61億円には関係会社整理益3.55億円が含まれる。Powerbox International ABの株式譲渡に伴い、第2四半期にも追加の整理益を見込むが、これは電源製品の継続的な収益力とは分けて評価する必要がある。

中国・供給体制の変化

中国生産事業では生産量増加に向けた設備・部材調達の対応を進めている。受注拡大が続く場合の生産能力、部材供給、品質維持が計画達成の前提になる。

業界動向との関連

エレクトロニクス業界では、AI活用やデジタル化を背景にサーバー・データセンター向け半導体需要が強く、自動車・産業機器関連にも回復の動きがある。コーセルはこの追い風を日本、北米、アジアで取り込んだが、欧州の需要調整は残る。市場全体の需要拡大が各地域の採算改善につながるかが重要である。

株価への示唆

総合判断は中立。会社の通期予想EPSは63.21円だが、決算短信には株価や市場PERの前提がないため、現在PERや過去レンジを使った理論株価は算定していない。仮に受注残高178.98億円を売上へ転換し、営業利益率7.0%前後を維持できれば業績面の評価材料になる。反対に、欧州赤字、材料費上昇、運転資金の増加が続けば、黒字転換だけでは市場の評価が定着しにくい。次回は営業利益率、欧州の損益、営業CFの開示を同時に確認したい。

今期の総括

2027年5月期第1四半期は、売上高が前年同期比54.0%増となり、営業利益は3.89億円の損失から5.45億円の利益へ転換した。日本、北米、アジアの回復は明確だが、欧州の赤字と特別利益を含む純利益の構成は割り引いて見る必要がある。今期の評価は、受注残の消化と利益率の再現性で決まる。

来期見通し

会社は2027年5月期について、売上高318.00億円(前期比27.0%増)、営業利益23.00億円、経常利益24.00億円、純利益26.00億円、EPS63.21円を計画している。第2四半期累計は売上高153.80億円、営業利益9.70億円、経常利益10.30億円、純利益14.30億円を見込む。Powerbox株式譲渡に伴う追加の関係会社整理益を第2四半期予想に織り込む一方、欧州の需要調整、コスト上昇、受注を生産・出荷へつなげる力が達成条件になる。

総合判断

投資スタンスは中立。コーセル(6905)は、AI・データセンター関連の需要回復を背景に日本、北米、アジアで売上と利益を戻した。自己資本比率84.0%も財務面の支えになる。ただし、欧州は営業赤字で、純利益には関係会社整理益が含まれ、第1四半期の営業CFも開示されていない。通期予想の確認では、売上規模よりも営業利益率、欧州採算、運転資金の3点を優先する。

出典

  • コーセル株式会社「2027年5月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年9月18日開示(IR資料室)
  • コーセル株式会社「株式基本情報」「株式の状況」、2026年5月20日現在の株式情報(株式基本情報、株式の状況)