イリソ電子工業 2026年3月期 通期 決算の読みどころ 売上高 619.61億円 次に確認する点 2027年3月期の利益計画と過年度訂正 kabutrack.com

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高619.61億円563.85億円+9.9%670億円—
営業利益54.36億円54.49億円-0.2%35億円—
経常利益61.32億円55.67億円+10.1%27億円—
親会社株主に帰属する当期純利益25.53億円25.12億円+1.6%16億円—
EPS119.59円——74.94円—

実績と会社計画は通期。過年度の利益訂正一覧にEPSの訂正後値は示されていないため、EPSの前年差は比較していない。10月1日訂正後の年間配当は100円、連結配当性向は83.6%、純資産配当率は3.0%。翌期予想に対する進捗率も対象外。

セグメント

イリソ電子工業は車載・産業機器向けなどのコネクタを手掛ける。2026年3月期短信では単一セグメントとして開示され、複数の報告セグメント別利益は示されていない。地域別・用途別の需要や製品構成を、セグメント利益の代用として断定しない。

財務安全性

総資産948.21億円、純資産745.25億円、自己資本比率78.6%。営業CF109.64億円、投資CFマイナス55.35億円、財務CFマイナス28.03億円、期末現金284.98億円。営業CFは純利益を大きく上回り、キャッシュ創出は堅調だった。

定量評価

営業利益率は8.8%で、前年から約0.9ポイント低下。売上の伸びが営業利益には反映されず、経常利益の増加には営業外要因も影響している。

ポジティブ要因

売上高は9.9%増、経常利益は10.1%増となり、需要面は底堅い。営業CFも109.64億円を確保し、当期の投資・配当後も現金残高を保った。

リスク要因

営業利益は前年同期比0.2%減とほぼ横ばいで、次期会社予想は35億円と当期比35.6%減。さらに第三者委員会調査を受け、海外子会社の不適切な金銭交付、過年度売上の前倒し計上や会計誤謬、品質管理上の問題が公表された。過年度比較は訂正後の数値を基準にし、開示体制の改善も確認したい。

業界動向との関連

車載コネクタ需要は自動車生産・搭載機能の変化に左右される。ただし本記事では市場統計によるシェア推定は行わず、会社が開示した売上と利益、訂正後の過年度数値を軸に評価する。

株価への示唆

次期は売上高8.1%増を見込みながら営業利益35.6%減、経常利益56.0%減を予想する。利益率の低下幅が大きく、売上成長だけでは評価しにくい。訂正済み業績の比較可能性や再発防止策への説明も株価の重し・支えとなり得る。

今期の総括

当期は増収、営業利益微減、経常増益だった。現金創出は良好だが、次期利益計画は大幅減益であり、また過年度の数値訂正が複数期に及ぶ。成長の質と報告体制を同時に見直す必要がある。

来期見通し

2027年3月期会社予想は売上高670億円、営業利益35億円、経常利益27億円、純利益16億円、EPS74.94円。売上成長の一方で各利益が減る計画であり、原価・販管費や為替の前提が焦点。期末配当予想は未定。

総合判断

総合判断は弱気。高い自己資本比率と営業CFは支えだが、次期の利益計画が大幅減益で、同時に複数年度の会計訂正と内部統制上の問題が明らかになった。訂正後の数字で業績推移が安定し、次期の利益率下落が限定されるかを確認したい。

訂正開示の反映

9月30日に過年度決算の訂正、10月1日に訂正影響額一覧の再訂正と2026年3月期決算短信の配当指標訂正が公表された。比較する2025年3月期通期の訂正後数値は、売上高563.85億円、営業利益54.49億円、経常利益55.67億円、純利益25.12億円。配当性向は125.4%から83.6%、純資産配当率は4.5%から3.0%へ訂正された。年間配当100円に変更はない。

出典

  • 「2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」、イリソ電子工業、2026年9月30日開示。
  • 「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」、同社、2026年9月30日開示。
  • 「(訂正)『過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ』の一部訂正について」、イリソ電子工業、2026年10月1日開示。
  • 「(訂正・数値データ訂正)『2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)』の一部訂正に関するお知らせ」、イリソ電子工業、2026年10月1日開示。
  • 「(訂正)『過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ』の一部訂正について」、イリソ電子工業、2026年10月1日。