訂正のポイント

2026年5月26日の訂正開示では、2026年3月期の連結決算における連結貸借対照表の「土地再評価差額金」に誤りがあったと説明されている。

会社側によれば、減損損失の計上に伴い実施すべき土地再評価差額金からの取崩について、同項から減額していなかったことが原因である。これにより、土地再評価差額金、再評価に係る繰延税金負債、利益剰余金、法人税等調整額が訂正された。

数字として一番見える変更は、最終損益である。

項目訂正前訂正後
親会社株主に帰属する当期純損失16.44億円16.22億円
1株当たり当期純損失73.46円72.47円
自己資本比率44.0%44.2%

最終赤字はやや縮小した。ただし、営業損失や事業の採算課題が解消したわけではない。訂正の本質は会計処理の修正であり、事業面の評価を大きく変える材料ではない。

決算サマリー

項目2026年3月期実績前期実績増減
売上高10,228百万円9,598百万円+6.6%
営業利益-1,738百万円-1,749百万円赤字継続
経常利益-1,771百万円-1,702百万円赤字拡大
親会社株主に帰属する当期純利益-1,622百万円-1,705百万円赤字縮小
EPS-72.47円-76.24円赤字縮小
自己資本比率44.2%50.3%-6.1pt

売上高は増えた。空調機器向け、産業機器向け、車載関連向けで回復の兆しが見えている。

しかし利益はまだ厳しい。

営業損失は17.38億円。前期の17.49億円からほぼ横ばいで、売上増が利益改善に十分つながっていない。原材料調達コストの上昇、コンデンサ製品の新製品立ち上げ、生産ライン再構築に伴う一時費用が重かった。

売上より利益、利益よりキャッシュ。

OKAYAはまだそこを見られる局面にある。

セグメント別の状況

売上面では、コンデンサ製品とノイズ・サージ対策製品が伸びた。一方で、表示・照明製品は防衛産業向けの反動減で落ち込んだ。

セグメント売上高前期比セグメント損益
コンデンサ製品47.13億円+21%-4.86億円
ノイズ・サージ対策製品34.54億円+7%-4.20億円
表示・照明製品17.50億円-22%-0.01億円
センサ製品3.10億円+33%+2.09億円

センサ製品は黒字だが、規模はまだ小さい。主力のコンデンサ製品とノイズ・サージ対策製品が赤字である点が重い。

つまり、売上が戻っているだけでは足りない。

価格改定、製品統廃合、生産ライン再編、新製品への切り替えで、主力事業の採算をどこまで戻せるか。ここが次の焦点になる。

キャッシュフローと財務

財務面も楽ではない。

項目2026年3月期
営業CF-11.33億円
投資CF+0.34億円
財務CF+3.20億円
現金及び現金同等物15.91億円
総資産134.01億円
純資産59.24億円
自己資本比率44.2%

営業CFは2期連続でマイナス。税金等調整前当期純損失に加え、事業構造の立て直し途中でキャッシュが出ている。

短期借入金は増加し、長期借入も実施している。すぐに資金繰りが危ないというより、営業赤字が続けば財務余力が削られるという見方が近い。

会社は、当連結会計年度および前連結会計年度で重要な営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在すると認識している。

ここは軽く扱えない。

2027年3月期見通し

会社は2027年3月期について、売上高115.00億円、営業損失5.40億円、経常損失5.00億円、親会社株主に帰属する当期純損失5.20億円を見込んでいる。

項目2027年3月期会社予想前期比
売上高11,500百万円+12.4%
営業利益-540百万円赤字縮小
経常利益-500百万円赤字縮小
親会社株主に帰属する当期純利益-520百万円赤字縮小

売上は回復する前提で、赤字幅も大きく縮む計画である。

ただし、黒字転換ではない。

第12次中期経営計画では、EMC対策に関する多様な製品と幅広いソリューションを提供する「ノイズ・サージ対策のパートナー」を掲げ、稼ぐ力とコーポレート機能の強化により経営基盤を再構築するとしている。

市場が見るのは言葉ではなく、四半期ごとの赤字縮小ペースだろう。

ポジティブ要因

売上は底入れ方向

売上高は前期比6.6%増となった。空調機器向け、産業機器向け、車載関連向けで需要が回復しつつある。受注高も前年度より増加している。

赤字幅縮小の計画は出ている

2027年3月期は営業損失5.40億円を見込む。前期の17.38億円からは大きく改善する前提で、価格改定、生産ライン再編、製品統廃合の効果が出れば、株価の見方は変わり得る。

センサ製品は小さいが黒字

センサ製品は売上3.10億円、セグメント利益2.09億円。規模は小さいものの、収益性の高い領域として残る。

リスク要因

主力事業がまだ赤字

コンデンサ製品、ノイズ・サージ対策製品はいずれもセグメント赤字である。売上回復だけではなく、主力事業の採算改善が必要になる。

営業CFがマイナス

営業CFは11.33億円の支出。赤字縮小だけではなく、現金創出に戻るかが重要である。

継続企業の前提に関する疑義

会社は重要な営業損失を背景に、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在すると認識している。改善策は示されているが、投資家は実行状況をかなり冷たく見る局面である。

株価への示唆

訂正で最終赤字はやや縮小したが、投資判断上の中心はそこではない。

市場が見るのは、2027年3月期に本当に営業赤字を5億円台まで縮められるかである。売上高115億円の回復シナリオが崩れず、価格改定とコスト構造改革が効くなら、赤字縮小期待は評価材料になる。

逆に、売上回復が鈍い、主力製品の採算が戻らない、営業CFのマイナスが続く場合、市場はまだ信用しにくい。

今のOKAYAは、黒字化銘柄ではなく、赤字縮小の確認銘柄である。

総合判断

総合判断は慎重寄りの中立である。

理由はシンプルで、売上は戻り始めているが、利益とキャッシュがまだ追いついていないからである。訂正後の純損失は16.22億円に修正されたものの、本質的な事業評価は大きく変わらない。

2027年3月期は赤字幅縮小が計画されている。ここで営業赤字が本当に縮むなら、評価は変わる。

ただし、現時点ではまだ確認前。

次の四半期では、売上高の回復、主力2セグメントの赤字幅、営業CF、借入金の動き、第12次中期経営計画の実行度を見たい。

出典

本記事は、OKAYAが開示した訂正後の決算短信を基に作成しています。

  • 「(訂正・数値データ訂正)『2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)』の一部訂正について」、OKAYA、開示日: 2026-05-26
  • 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、OKAYA、当初開示日: 2026-05-14