いすゞ自動車(7202)2027年3月期中間期の決算と確認点 増収増益でも営業CFは流出、在庫と支払条件を確認。増収増益でも営業CFは流出、在庫と支払条件を確認 2026年11月6日 決算発表 | 2027年3月期中間期 いすゞ自動車(7202) 増収増益でも営業CFは流出、在庫と支払条件を確認売上収益17,300.29億円営業利益1,281.20億円EPS108.66円 増収増益でも営業CFは流出、在庫と支払条件を確認 kabutrack.com

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率通期会社予想進捗率
売上収益17,300.29億円16,373.09億円+5.7%37,000.00億円46.8%
営業利益1,281.20億円1,046.49億円+22.4%2,600.00億円49.3%
税引前利益1,369.98億円1,173.86億円+16.7%2,700.00億円50.7%
純利益746.77億円698.23億円+7.0%1,600.00億円46.7%
EPS108.66円98.76円+10.0%232.81円―

金額は公式の百万円表示を億円へ換算。増減率は開示値を基本とし、EPSなどの計算値は表示値からの概算。進捗率は累計実績を会社の通期予想で割った単純計算で、1株値は株式分割の影響があるため進捗を示していない。純利益は親会社に帰属する利益を用いる。

7〜9月単独の売上収益は約8,975.10億円、営業利益は約533.59億円。前四半期比(QoQ)はそれぞれ+7.8%、-28.6%。累計開示の差額に基づく概算で、季節性や費用計上時期を含む。

セグメント

事業・区分当期売上・収益前年同期売上当期利益
自動車事業16,248.03億円15,440.03億円1,218.28億円
金融事業1,052.25億円933.06億円57.08億円

IFRS、外部顧客への売上収益。利益は営業利益に全社調整等を行う前の金額。金融事業を含むため、製造部門だけの資産・負債と混同しない。

自動車事業は増益でも金融事業の利益は57.08億円へ減少した。国内外の総販売は25万8514台で、中近東への出荷遅延や船便不足などが数量を押し下げた。産業用エンジンや保有事業等の収益増もあり、販売台数と連結売上は同じ率では動いていない。

財務安全性

総資産37,272.39億円、資本合計16,767.19億円。親会社所有者帰属持分比率は40.7%。資本の厚さと営業活動から生む資金は別の指標であり、利益・資産評価・株主への支払を分けて確認する。

営業CFは-260.84億円、投資CFは-1,234.30億円、財務CFは1,138.99億円。期末の現金同等物は3,466.70億円。営業・投資CFの合計は-1,495.14億円となるが、投資CFは設備取得以外に資産売却等を含むため、設備投資だけの資金負担とは区別する。

2026年9月30日時点の発行済株式数は688,751,769株、自己株式数は1,495,842株。EPSに用いる期中平均株式数とは異なるため、期末残高から計算した1株利益と一致するとは限らない。

定量評価

EPSは108.66円、前年同期は98.76円で、比較は+10.0%。利益総額の変化だけでなく、期中平均株式数や自己株式の変化にも影響される。営業利益率は約7.4%、前年は約6.4%。金額の増減と売上・収益に対する採算を分けて評価する。

指標確認できる範囲
EPSの前年同期比較+10.0%。株式分割・自己株式の条件を確認
ROICこの短信から当該期間の同一条件の開示値を確認できず、推計しない
PER推移同時点の株価を確認していないため算定しない

通期営業利益予想が2,600.00億円のため、会社計画に届くには残る期間で約1,318.80億円が必要となる。これは会社予想から累計実績を引いた計算であり、残る四半期の予想値を新たに示すものではない。期間の長さや季節性を無視して同じ利益が続くとは見込まない。

ポジティブ要因

価格対応と原価低減が進み、数量が減るなかでも営業増益を確保した。金融を除く自動車事業の利益も前年を上回った。ただし、為替による円換算額の増加を含むため、増益のすべてを生産性向上によるものとは判断しない。

リスク要因

棚卸資産が前期末から1259億円増え、有利子負債は1兆486億円へ増加した。営業CFには支払期日短縮の約1050億円、出荷遅延等の一時在庫増約700億円の影響がある。会社は一時要因と説明するが、実際の出荷と資金回収を確認する必要がある。

業界動向との関連

商用車は顧客の投資意欲と物流の制約に左右される。今回は国内の架装リードタイムや海外の船便不足があり、売れ行きだけでは販売台数を説明できない。タイのピックアップ需要、価格転嫁、資金調達コストも地域別に確認したい。

株価への示唆

通期営業利益2600億円に対する中間進捗は49.3%。次回は滞留在庫の出荷、運転資金の減少、金融事業の利益率を見たい。純利益の伸び7.0%とEPSの伸び約10.0%も異なり、1株利益だけで事業成長率を判断しない。

今期の総括

価格と原価低減による増益は確認できるが、現金は営業活動から流出した。数量減と在庫増を伴うため、利益の伸びだけでは判断できない。支払条件変更後の資金収支と出荷正常化を確認する中立の評価とした。

来期見通し

2027年3月期の会社予想は、売上収益37,000.00億円、営業利益2,600.00億円、純利益1,600.00億円。予想は今回の公表時点の前提に基づくもので、受注、需要、原価、資金調達環境などで変わり得る。中間配当は47円実績。期末は47円予想。年間は94円予想。

総合判断

中立。価格と原価低減による増益は確認できるが、現金は営業活動から流出した。純利益の伸び7.0%とEPSの伸び約10.0%も異なり、1株利益だけで事業成長率を判断しない。

出典