決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 修正後通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2420.78億円 | 2281.70億円 | +6.1% | 1兆300億円 | 23.5% |
| 営業利益 | 137.82億円 | 146.95億円 | -6.2% | 590億円 | 23.4% |
| 経常利益 | 299.12億円 | 162.53億円 | +84.0% | 760億円 | 39.4% |
| 純利益 | 205.15億円 | 102.55億円 | +100.0% | 480億円 | 42.7% |
| EPS | 70.78円 | 35.72円 | +98.2% | 165.05円 | 42.9% |
売上高は第1四半期として過去最高を更新した。経常利益には投資有価証券売却益146.27億円が含まれ、これを単純に除くと152.85億円となるため、表面上の84.0%増益をそのまま本業成長とは読めない。
セグメント
セグメント利益は営業利益ではなく経常利益と調整される。売上高はセグメント間取引を含み、合計から内部売上41.78億円を消去すると連結売上高2420.78億円となる。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| デジタル家電専門店運営 | 903.36億円 | +17.5% | 61.17億円 | -2.3% |
| キャリアショップ運営 | 915.89億円 | +0.6% | 56.64億円 | -6.3% |
| プロダクト | 163.43億円 | +2.9% | 15.23億円 | +25.3% |
| インターネット | 190.64億円 | +3.6% | 9.93億円 | -45.5% |
| メディア | 55.83億円 | -7.6% | 4.93億円 | +87.8% |
| 海外 | 212.86億円 | +6.6% | -0.15億円 | 前年同期0.08億円 |
家電専門店ではエアコン、テレビ、洗濯機が伸びたが、利益は小幅減だった。ニフティを含むインターネット事業は会員増加に伴う費用で大幅減益。海外は前年の黒字から小幅赤字へ転じた。
財務安全性
総資産は前期末比53.42億円減の5891.35億円、純資産は110.63億円増の2601.07億円、自己資本比率は40.8%から43.0%へ改善した。現預金は89.43億円減り、商品・製品は142.76億円増加。短期借入金も89.80億円増えており、在庫積み増しと資金需要の関係を見たい。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +98.2% | 前年同期比 | 有価証券売却益の影響が大きい |
| 営業利益率 | 5.7% | 前年同期6.4% | 0.7ポイント低下 |
| ROIC | 開示なし | - | 一時利益と事業再編があり、四半期短信からの簡易推計は行わない |
| PER推移 | 市場データ未反映 | - | 株価観測日をそろえた別途確認が必要 |
利益の質を見るなら経常利益より営業利益である。売上は伸びたが営業利益率は低下しており、純利益倍増だけで強気には傾けにくい。
ポジティブ要因
家電専門店の増収
デジタル家電専門店運営事業は売上高17.5%増。省エネ規制強化を見据えたエアコン需要に加え、テレビと洗濯機が伸び、市場の伸びを上回った。
プロダクト事業の増益
プロダクト事業は売上高2.9%増、セグメント利益25.3%増。VAIOのCopilot+ PC対応製品投入と販売施策が寄与し、売上高・利益とも過去最高となった。
会社予想の上方修正
通期予想は売上高1兆300億円、営業利益590億円、経常利益760億円へ修正された。第1四半期の実績と資産売却益を反映した計画である。
リスク要因
本業の減益
営業利益は6.2%減の137.82億円。家電専門店とキャリアショップの利益が減少し、増収を営業増益へつなげられていない。
インターネット事業の費用増
ブロードバンド会員は増えたが、関連費用が先行し、セグメント利益は45.5%減の9.93億円となった。会員数より収益化を確認する局面である。
一時利益への依存
投資有価証券売却益146.27億円が経常利益を押し上げた。同規模の利益が反復する前提は置けず、次四半期は営業利益の回復が必要になる。
業界動向との関連
家電市場は省エネ型エアコンと白物家電の買い替え需要が追い風となった。ただし量販店は価格競争、人件費、物流費の影響を受けやすい。ノジマはコンサルティングセールスで売上を伸ばしたが、今期はその伸びが営業利益には十分落ちていない。
株価への示唆
上方修正と純利益倍増は見出しとして強いが、市場が利益の質を見る場合、有価証券売却益を除いた本業採算が重視される。営業利益率が戻り、インターネット事業の費用増を吸収できれば評価余地が生まれる一方、営業減益が続けば一時利益の反動が意識されやすい。市場データ未取得のため理論株価は算定しない。
今期の総括
売上高は過去最高だが、営業利益は減少した。経常利益と純利益の大幅増は資産売却益の寄与が大きい。数字は良い。問題は、来期にも残る利益がどれだけあるかである。
来期見通し
修正後の通期予想は売上高1兆300億円、営業利益590億円、経常利益760億円、純利益480億円、EPS165.05円。第1四半期の営業利益進捗率は23.4%であり、家電需要の持続と各事業の採算改善が計画達成の条件となる。
総合判断
総合判断は中立である。売上成長、財務改善、上方修正は評価材料だが、営業利益率は低下し、経常増益には大きな一時利益が含まれる。次回は家電専門店とキャリアショップの利益率、インターネット事業の費用、在庫と現金の動きを確認したい。
出典
- ノジマ「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年7月30日