決算サマリー

項目2026年3月期2025年3月期増減率・見方
売上高17.25億円22.39億円-22.9%
営業利益-4.20億円-1.01億円赤字拡大
経常利益-6.89億円-2.94億円赤字拡大
当期純利益-1.33億円-4.18億円赤字幅は縮小
EPS-7.76円-26.12円赤字
自己資本比率57.4%50.0%改善

当期純損失は前年より縮小したが、本業の営業損失と経常損失は悪化している。純損失の縮小だけを見て改善と読むのは危うい。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率赤字幅縮小前期比-26.12円から-7.76円へ改善したが、まだ赤字である。
ROIC算定保留決算短信営業赤字のため、資本効率の評価は黒字化後に見たい。
PER推移該当なし赤字決算EPS赤字のためPER評価は使いにくい。
自己資本比率57.4%前期50.0%形式上は改善したが、営業CFマイナスが重い。

数字は訂正後にやや良くなった。ただ、投資家が見る順番は売上より利益、利益よりキャッシュである。

訂正開示の反映

2026年7月2日に開示された「(訂正・数値データ訂正)『2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)』の一部訂正のお知らせ」を反映した。訂正理由は、差入保証金の評価に係る見積りおよび関連数値の再検証である。

項目訂正前訂正後影響
売上高17.09億円17.25億円+0.15億円
営業損失-4.85億円-4.20億円損失0.64億円縮小
経常損失-7.64億円-6.89億円損失0.75億円縮小
当期純損失-2.07億円-1.33億円損失0.74億円縮小
自己資本比率56.5%57.4%+0.9ポイント
営業CF-4.59億円-4.53億円小幅改善

訂正後は損失が縮小したが、黒字化したわけではない。5月の過年度訂正に続き、7月にも数値データ訂正が出た点は、開示信頼の回復という意味で軽くない。

セグメント別の状況

セグメント売上高前年同期比セグメント利益
お墓事業(屋外墓地)5.55億円-18.7%0.04億円
お墓事業(納骨堂)1.44億円-8.9%-0.63億円
葬祭事業10.25億円-26.5%1.38億円
セグメント合計17.25億円-22.9%0.80億円
全社費用調整---5.00億円
営業利益---4.20億円

屋外墓地、納骨堂、葬祭のいずれも減収だった。葬祭事業は黒字だが、セグメント合計の利益では全社費用を吸収できていない。ここがニチリョクのいちばん苦しいところだ。

ポジティブ要因

訂正後は損失額が縮小

訂正により営業損失は4.85億円から4.20億円、当期純損失は2.07億円から1.33億円へ縮小した。数字の見た目は少し軽くなった。

自己資本比率の改善

自己資本比率は57.4%となり、前期末の50.0%を上回った。事業譲渡収入や借入返済もあり、バランスシートの形は一定程度整えられている。

2027年3月期の黒字転換計画

会社は2027年3月期に売上高23.37億円、営業利益2.20億円、当期純利益1.20億円を見込む。実現すれば赤字体質からの転換材料になる。

リスク要因

本業の赤字継続

2026年3月期は売上高が22.9%減り、営業赤字も拡大した。訂正後でも営業損失4.20億円は重く、売上回復だけでなく全社費用の吸収が必要になる。

営業CFの弱さ

営業CFは4.53億円のマイナスだった。投資CFは事業譲渡収入で12.31億円のプラスだが、本業から資金が出ている状態は市場が嫌う。

訂正が続くことへの警戒

数値データ訂正そのものは損失縮小方向だったが、過年度訂正と決算開示遅延が重なった後の追加訂正である。信頼回復には、次回以降の開示と実績の積み上げが要る。

財務安全性

総資産は50.76億円、純資産は29.15億円、自己資本比率は57.4%である。営業CFは4.53億円のマイナス、投資CFは12.31億円のプラス、財務CFは6.32億円のマイナス、現金及び現金同等物は2.53億円。財務比率だけなら悪くないが、本業キャッシュの流出が続くと余裕は削られる。

業界動向との関連

終活関連需要は人口動態上なくならない。ただし、ニチリョクの決算を見る限り、需要テーマがそのまま利益になるわけではない。葬祭単価、納骨堂の来苑者数、墓地販売の契約件数、全社費用の重さを分けて見る必要がある。

株価への示唆

株価への示唆は慎重である。訂正後の損失縮小は安心材料だが、赤字継続と営業CFマイナスが消えたわけではない。市場が強く反応するには、2027年3月期の黒字転換計画に対し、四半期の初速で売上回復と営業損益改善を見せる必要がある。今はテーマ性より、実際に利益を出せるかの局面だ。

今期の総括

2026年3月期は、本業の苦しさと財務整理が同時に見えた期だった。事業譲渡収入や借入返済で財務の形は整ったが、売上減、営業赤字、営業CFマイナスは残った。

来期見通し

2027年3月期は売上高23.37億円、営業利益2.20億円、経常利益1.20億円、当期純利益1.20億円を見込む。赤字決算の直後にここまで戻す計画なので、市場は当然疑って見る。葬祭単価、納骨堂の改善、全社費用の削減、営業CFの反転が焦点になる。

総合判断

総合判断は慎重中立である。訂正後の数字は改善したが、営業赤字と営業CFマイナスが残る以上、強気には傾けにくい。次回決算では、黒字転換計画の初速と、開示体制が落ち着いたかをかなり厳しく確認したい。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信および訂正開示を基に作成しています。

  • 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」、ニチリョク、開示日: 2026-05-21
  • 「過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」、ニチリョク、開示日: 2026-05-21
  • 「2026年3月期決算短信の開示が期末後50日を超えたことに関するお知らせ」、ニチリョク、開示日: 2026-05-22
  • 「(訂正・数値データ訂正)『2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)』の一部訂正のお知らせ」、ニチリョク、開示日: 2026-07-02