決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 305.85億円 | 279.77億円 | +9.3% | 1200億円 | 25.5% |
| 営業利益 | 41.48億円 | 38.20億円 | +8.6% | 160億円 | 25.9% |
| 経常利益 | 41.25億円 | 39.85億円 | +3.5% | 160億円 | 25.8% |
| 純利益 | 24.15億円 | 31.09億円 | -22.3% | 105億円 | 23.0% |
| EPS | 30.05円 | 38.65円 | -22.3% | 130.64円 | 23.0% |
会社計画欄は通期予想を基準にしており、進捗率は単純計算です。季節性がある企業では、進捗率だけで達成可能性を判断できません。
セグメント
信越ポリマーは、電子デバイス、精密成形品、住環境・生活資材を主な報告セグメントとし、その他に工事関連事業などを含めています。2027年3月期第1四半期は精密成形品が153.05億円と全体の約半分を占め、半導体関連容器やキャリアテープ関連製品が底堅く推移しました。
| セグメント | 外部顧客向け売上高 | 前年同期 | 前年同期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|---|
| 電子デバイス | 64.21億円 | 63.88億円 | +0.5% | 2.87億円 |
| 精密成形品 | 153.05億円 | 143.23億円 | +6.9% | 28.38億円 |
| 住環境・生活資材 | 62.32億円 | 55.95億円 | +11.4% | 8.41億円 |
| その他 | 26.26億円 | 16.70億円 | +57.3% | 1.81億円 |
電子デバイスは車載入力デバイスが支えた一方、液晶接続用コネクターやVCFは軟調でした。利益面では、精密成形品が大きな利益柱であるものの、同セグメント利益は前年同期比1.6%減です。住環境・生活資材は高付加価値製品の出荷拡大で利益が69.9%増となり、今回の利益改善を補いました。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | -22.3% | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 非開示 | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は13.6%、総資産経常利益率は非開示です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
営業利益の変化
営業利益は41.48億円、前年比は+8.6%です。増益そのものより、営業利益率13.6%が次の四半期でも保てるかが見られます。
売上規模の確認
売上高は305.85億円、前年比は+9.3%です。売上だけで評価する局面ではなく、営業利益と営業CFにどう落ちるかを合わせて見ます。
財務基盤
自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率は84.9%、純資産は1305.97億円です。資本の厚みは確認できますが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
利益率とキャッシュのずれ
営業キャッシュ・フローは非開示です。利益よりキャッシュです。売掛金、在庫、仕入れ条件で資金が外に出る決算では、会計上の利益だけでは安心材料になりません。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高1200億円、営業利益160億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
市場評価の変動可能性
決算数値が改善しても、市場がすぐ信用するとは限りません。赤字縮小、利益率改善、営業CFの改善が同じ方向にそろって初めて、見直し買いが続きやすくなります。
財務安全性
財務安全性では、総資産1533.72億円、純資産1305.97億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率84.9%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF非開示、投資CF非開示、財務CF非開示、現金及び現金同等物の期末残高非開示です。
業界動向との関連
業界比較では、同業他社の同時期決算や市場統計も必要です。ただ、この段階では業界ストーリーを広げすぎない方がよいです。決算短信でまず見るべきは、売上が営業利益に落ちているか、営業CFが伴っているかです。
株価への示唆
中立評価でも、見る場所ははっきりしています。売上ではなく営業利益率、営業利益より営業CF。この順番で数字がそろうまでは、市場は様子見になりやすいです。補足市場データ未取得のため、理論株価の算定は保留します。
今期の総括
今期は売上高305.85億円(+9.3%)、営業利益41.48億円(+8.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益24.15億円(-22.3%)という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高1200億円、営業利益160億円、経常利益160億円、純利益105億円、EPS130.64円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかを次の開示で確認します。
総合判断
総合判断は中立。判断の根拠は、売上高305.85億円、営業利益41.48億円、純利益24.15億円という決算短信上の主要数値と、確認できる財務指標のバランスです。次回は営業利益率、営業CF、EPS、ROIC、PERを同じ方向で確認したいところです。数字がそろうまでは、市場はまだ少し距離を置きます。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2027年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、信越ポリマ、開示日: 2026-07-23