決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4257.29億円 | 3370.55億円 | +26.3% | 4000億円 | 該当なし |
| 営業利益 | 156.31億円 | 121.74億円 | +28.4% | 150億円 | 該当なし |
| 経常利益 | 167.70億円 | 131.26億円 | +27.8% | 160億円 | 該当なし |
| 純利益 | 124.86億円 | 98.25億円 | +27.1% | 105億円 | 該当なし |
| EPS | 253.23円 | 199.45円 | +27.0% | 212.89円 | 該当なし |
通期決算では会社計画欄に次期予想を置いているため、進捗率は該当なしとしています。前年比などが非開示の場合は、決算短信側で前年実績または増減率が示されていないことを意味します。
セグメント
報告セグメントは公共関連、オフィス関連、情報関連の3事業で、「その他」には教育研修、人材派遣、不動産賃貸などが含まれます。外部顧客向け売上高は公共関連161,038百万円(構成比37.8%、前年同期比73.6%増)、オフィス関連59,172百万円(13.9%、0.4%減)、情報関連204,447百万円(48.0%、11.3%増)、その他1,071百万円(0.3%、10.2%減)でした。GIGAスクール端末の更新や自治体・大学案件が公共関連を押し上げた一方、情報関連は増収でも営業利益が減少しています。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 営業利益の前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 公共関連事業 | 1,610.38億円 | +73.6% | 89.74億円 | +71.2% |
| オフィス関連事業 | 591.72億円 | -0.4% | 21.32億円 | +7.3% |
| 情報関連事業 | 2,044.47億円 | +11.3% | 42.93億円 | -6.5% |
| その他 | 10.71億円 | -10.2% | 1.74億円 | -39.9% |
セグメント利益は合計155.74億円で、調整額0.56億円を加えた表示額は156.30億円となり、連結営業利益156.31億円とは0.01億円の差があります。決算短信が百万円未満切捨て表示であることによる差異です。
財務安全性
財務安全性では、総資産1871.76億円、純資産859.82億円、自己資本比率45.8%を確認します。営業CFは130.69億円、投資CFは13.31億円のマイナス、財務CFは34.66億円のマイナスで、現金及び現金同等物は313.64億円でした。営業CFが前年の5.49億円から大きく増え、利益の拡大が資金創出にもつながっています。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +27.0% | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 16% | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率をみる材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 開示資料だけでは算定不可 | 過去レンジとの比較なし | 株価水準とEPSをそろえた観測が必要です。 |
営業利益率は3.7%、総資産経常利益率は9.3%です。営業利益と純利益の方向を分けて確認することで、一時要因だけに引きずられない評価ができます。
ポジティブ要因
営業利益の変化
営業利益は156.31億円、前年比は+28.4%です。増益そのものより、営業利益率3.7%が次の四半期でも保てるかが見られます。
売上規模の確認
売上高は4257.29億円、前年比は+26.3%です。売上だけで評価する局面ではなく、営業利益と営業CFにどう落ちるかを合わせて見ます。
財務基盤
自己資本比率は45.8%、純資産は859.82億円です。資本の厚みは増しましたが、案件ごとの採算や運転資金の振れとは分けて評価します。
リスク要因
利益率とキャッシュのずれ
営業キャッシュ・フローは130.69億円と、前年の5.49億円から大きく増えました。契約負債の増加や棚卸資産・売上債権の減少が寄与しており、次期も同じ形で資金創出が続くかは見極めが要ります。
販売数量・コスト前提の変動
次期または通期予想は売上高4000億円、営業利益150億円です。計画を見る時は、売上前提よりも営業利益率の前提を先に疑います。販売数量、為替、原材料費、人件費、案件進捗のどれかが崩れると、利益の薄い会社ほどすぐ数字に出ます。
来期の反動減
今期は過去最高を更新しましたが、来期会社予想は売上高4000億円(6.0%減)、営業利益150億円(4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益105億円(15.9%減)です。GIGAスクール更新需要の反動と情報関連事業の採算が、計画達成を左右します。
業界動向との関連
業界比較では、同業他社の同時期決算や市場統計も必要です。ただ、この段階では業界ストーリーを広げすぎない方がよいです。決算短信でまず見るべきは、売上が営業利益に落ちているか、営業CFが伴っているかです。
株価への示唆
中立評価でも、見る場所ははっきりしています。売上ではなく営業利益率、営業利益より営業CF。この順番で数字がそろうまでは、市場は様子見になりやすいです。株価水準とEPSをそろえた評価材料がないため、ここでは理論株価を置きません。
今期の総括
今期は売上高4257.29億円(+26.3%)、営業利益156.31億円(+28.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益124.86億円(+27.1%)という内容でした。ここで見たいのは、きれいな増収コメントではなく営業利益の質です。営業利益と純利益の方向が異なる場合は、特別損益や税効果を分けて読みます。本業の収益力とは異なる要因が混じると、株価の評価は長続きしません。
来期見通し
来期または通期見通しでは、売上高4000億円、営業利益150億円、経常利益160億円、純利益105億円、EPS212.89円が示されています。会社予想は前提です。増収計画より、営業利益率と営業CFがその計画に届く形になっているかが次の開示の論点です。
総合判断
総合判断は中立。判断の根拠は、売上高4257.29億円、営業利益156.31億円、純利益124.86億円という決算短信上の主要数値と、確認できる財務指標のバランスです。次回は営業利益率、営業CF、EPS、ROIC、PERを同じ方向で確認したいところです。数字がそろうまでは、市場はまだ少し距離を置きます。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2026年7月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、内田洋行、開示日: 2026-09-02