決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前期実績 | 増減率 | 来期予想 | 見方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 901.59億円 | 801.92億円 | 12.4%増 | 954.00億円 | 過去最高 |
| 経常利益 | 198.31億円 | 139.47億円 | 42.1%増 | 212.00億円 | 過去最高更新計画 |
| 純利益 | 140.94億円 | 97.84億円 | 44.0%増 | 145.00億円 | 増益継続予想 |
| EPS | 167.32円 | 114.79円 | 45.8%増 | 172.81円 | 分割後基準 |
| 年間配当 | 40円相当 | 22円相当 | 増配 | 56円 | 還元強化 |
経常収益、経常利益、純利益はいずれも過去最高となった。資金運用収益の増加が主因だが、株式等売却益の増加も含まれる。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 45.8%増 | 前期比 | 利益成長は大きい |
| ROIC | 開示なし | 銀行業では一般的指標ではない | ROE6.8%を代替確認 |
| PER推移 | 約11.7倍 | 株価2,027円、来期予想EPS172.81円 | 地銀として中位の評価 |
数字からは、金利上昇局面を背景に収益力が改善している。ただし、銀行業ではROICよりROE、自己資本比率、与信費用の確認が重要である。
ポジティブ要因
資金運用収益の増加
資金運用収益は630.35億円となり、前期の546.17億円から増加した。貸出金利息は358.68億円、有価証券利息配当金は223.77億円に伸びた。
銀行業セグメントの伸長
銀行業の経常収益は846.41億円、経常利益は192.16億円となった。貸出金利息と有価証券利息配当金の増加が、グループ全体の増益を牽引した。
株主還元の強化
2026年3月期の年間配当は株式分割後換算で40円、2027年3月期予想は56円である。中期経営計画最終年度までに配当性向40%程度を目標としている。
リスク要因
資金調達費用の増加
預金利息や売現先利息の増加により、資金調達費用は199.47億円へ増加した。金利上昇が預金コストの増加につながる場合、利ざや改善を抑える可能性があります。
株式等売却益の変動
経常収益の増加には株式等売却益の増加も寄与している。市場環境が悪化する場合、同様の収益貢献が続かない可能性があり、本業の資金利益とは分けて見る必要がある。
地域経済と与信費用
県内経済は緩やかな回復が続く一方、物価高と人手不足が懸念されている。法人の生産活動が弱含む場合、貸出需要や与信費用に影響する可能性があります。
財務安全性
総資産は4兆763.25億円、純資産は2,223.35億円で、会計上の自己資本比率は5.4%である。銀行業では一般企業の自己資本比率とは見方が異なり、国内基準の連結自己資本比率は9.78%で、前年度の9.64%から上昇した。貸出金は2兆4,672億円、預金は譲渡性預金を含め3兆2,148億円となり、地域金融機関としての預貸基盤は拡大している。
業界動向との関連
地方銀行は金利上昇で貸出金利息や有価証券利息配当金が増えやすい一方、預金利息や市場調達コストも増加する。地域経済、人口動態、企業の設備投資、信用コストの動向が収益を左右する。金融業は景気循環と金利政策の影響を強く受けるため、業績は一定ではありません。
株価への示唆
前提条件
今期実績EPSは167.32円、来期予想EPSは172.81円である。2026年5月12日11時30分時点の株価2,027円を用いると、会社予想EPSベースのPERは約11.7倍となる。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
理論株価
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 10.0倍 | 172.81円 | 約1,728円 |
| 中立 | 12.0倍 | 172.81円 | 約2,074円 |
| 強気 | 14.0倍 | 172.81円 | 約2,419円 |
現在株価は中立シナリオに近い。貸出金利息の増加と自己資本比率の改善が続く場合は上振れ余地がある一方、預金コストや与信費用、株式市場の悪化が重なる場合は下振れる可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、資金運用収益の増加を背景に過去最高の経常収益、経常利益、純利益となった。金利上昇の追い風を取り込んだ一方、資金調達費用も増加しており、利ざやの持続性が重要である。
来期見通し
2027年3月期は経常収益954.00億円、経常利益212.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益145.00億円を見込む。いずれも過去最高を更新する計画である。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。金利環境が収益に追い風となり、与信費用が抑制されることが前提となる。
総合判断
総合判断は中立である。過去最高益と増配方針は評価できるが、株式等売却益の変動、預金コストの上昇、地域経済の弱含みリスクがある。次回決算では、資金利益の伸び、与信費用、国内基準自己資本比率を確認したい。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年5月12日開示