決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30.73億円 | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 該当なし |
| 営業利益 | 6.27億円 | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 該当なし |
| 経常利益 | 7.86億円 | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 該当なし |
| 純利益 | 5.64億円 | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 該当なし |
| EPS | 10.74円 | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 該当なし |
会社計画欄は通期予想を基準にしており、進捗率は単純計算です。季節性がある企業では、進捗率だけで達成可能性を判断できません。
セグメント
同社はファンド運用事業の単一セグメントであり、セグメント別の売上・利益は開示していない。売上高30.73億円の内訳は、営業投資有価証券売上高21.15億円、投資事業組合管理収入9.58億円で、構成比はそれぞれ約68.8%、31.2%となる。
| 収益区分 | 当期実績 | 構成比 | コメント |
|---|---|---|---|
| 営業投資有価証券売上高 | 21.15億円 | 68.8% | 投資先のIPOはベンチャー投資で1社、M&Aによる主なEXITはバイアウト投資で1社 |
| 投資事業組合管理収入 | 9.58億円 | 31.2% | SV8シリーズの運用開始で管理報酬は8.82億円、成功報酬は0.75億円 |
決算を見るうえでは、売上高そのものよりキャピタルゲインの質が重要になる。国内投資分のキャピタルゲインは12.21億円で、前期通期の国内投資分を年換算比較すると51.6%の水準にとどまった。上場キャピタルゲインは5.37億円、上場以外キャピタルゲインは6.83億円で、投資倍率は2.37倍だった。
一方、投資損失引当金残高は94.57億円、未上場営業投資有価証券残高に対する引当率は20.5%へ上昇している。ファンド運用会社らしく、管理報酬の積み上げは安定収益の土台になるが、株価評価は結局、EXIT環境と未上場ポートフォリオの評価損益に振られやすい。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 非開示 | 当期EPSと前年同期EPS | EPSが確認できる場合は、純利益の伸びと合わせて確認します。 |
| ROE | 非開示 | 決算短信の収益性指標 | 自己資本に対する利益効率を確認する材料です。 |
| ROIC | 直接記載なし | 営業利益・総資産など | 投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。 |
| PER推移 | 市場データ未反映 | 過去レンジとの比較は未実施 | 株価評価では別途市場データの確認が必要です。 |
営業利益率は20.4%。ただし、同社は投資回収のタイミングで売上と利益が大きく動くため、通常の事業会社のように四半期営業利益率だけで評価すると読み違えやすい。
ポジティブ要因
営業利益の変化
営業利益は6.27億円です。前年同期は非連結の比較情報がないため単純比較はできませんが、営業投資有価証券売上高21.15億円、投資事業組合管理収入9.58億円という収益構造は確認できます。
売上規模の確認
売上高は30.73億円です。投資先のIPOはベンチャー投資で1社、バイアウト投資ではM&Aによる主なEXITが1社ありました。ただ、国内投資分のキャピタルゲインは前期水準を下回っています。
財務基盤
自己資本比率は84.7%、純資産は1,338.81億円です。財務の厚みは十分ですが、投資会社の場合は資本の厚さだけでなく、営業投資有価証券の含み益、未上場投資の引当率、ファンド募集力を合わせて見る必要があります。
リスク要因
利益率とキャッシュのずれ
四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。投資会社では会計上の利益と投資回収のタイミングがずれやすく、四半期利益だけで資金循環を判断しにくい。営業投資有価証券の売却高と投資残高の動きまで見る必要があります。
販売数量・コスト前提の変動
同社は株式市場と新規上場市場の影響を強く受けるため、業績予想を開示していません。計画進捗ではなく、IPO件数、M&AによるEXIT、上場営業投資有価証券の時価変動、投資損失引当金の増減を追う決算です。
市場評価の変動可能性
投資損失引当金残高は94.57億円、未上場営業投資有価証券残高に対する引当率は20.5%に上昇しました。IPO市場が鈍るとEXITが遅れ、含み益の実現も遅くなります。ここが市場の一番の警戒点です。
財務安全性
財務安全性では、総資産1,580.01億円、純資産1,338.81億円、自己資本比率84.7%を確認します。現金及び預金は328.06億円、営業投資有価証券は680.63億円でした。自己資本比率は高いものの、上場営業投資有価証券の時価変動と未上場投資の引当率上昇が財務の見え方を変えます。
業界動向との関連
ベンチャーキャピタルの収益は、IPO市場、M&A市場、上場株のバリュエーションに強く連動します。足元ではSV8シリーズの運用開始で管理報酬は増えていますが、成功報酬はEXIT低水準で弱い。市場が見るのは「管理報酬で下支えできるか」と「キャピタルゲインが戻るか」の二つです。
株価への示唆
中立評価でも、見る場所ははっきりしています。売上高ではなくキャピタルゲイン、営業利益より投資残高と引当率です。業績予想がないため、株価は四半期ごとのEXIT実績と市場環境で振れやすい。補足市場データ未取得のため、理論株価の算定は保留します。
今期の総括
今期は売上高30.73億円、営業利益6.27億円、四半期純利益5.64億円という内容でした。非連結移行で前年同期比較は使いにくく、投資先EXITとファンド管理収入を分けて読む必要があります。SV8シリーズの管理報酬は支えですが、キャピタルゲインの戻りはまだ鈍い。
来期見通し
通期見通しは非開示です。同社は株式市場と新規上場市場の影響を強く受け、収益水準の振幅が大きいため業績予想を行っていません。次の開示では、IPO件数、上場以外キャピタルゲイン、投資損失引当金、SV8シリーズの募集進捗を確認したい。
総合判断
総合判断は中立。財務体質は厚く、管理報酬の増加もある一方、国内投資分のキャピタルゲインは前期水準を下回り、投資損失引当率も上がっています。市場が強気に傾くには、IPO・M&AのEXIT回復と未上場投資の評価改善が必要です。今はまだ、良い面と警戒点が同じ紙面に並ぶ決算です。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」、ジャフコ グループ、開示日: 2026-07-24