決算サマリー
| 項目 | 2026年6月期 | 2025年12月期 | 増減率 | 2026年12月期予想 | 2027年6月期予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 267.89億円 | 285.91億円 | -6.3% | 280.45億円 | 279.35億円 |
| 営業利益 | 175.64億円 | 193.09億円 | -9.0% | 183.82億円 | 184.17億円 |
| 経常利益 | 147.30億円 | 166.89億円 | -11.7% | 149.88億円 | 148.73億円 |
| 当期純利益 | 147.29億円 | 166.88億円 | -11.7% | 149.88億円 | 148.73億円 |
| 1口当たり分配金 | 1,930円 | 2,186円 | -11.7% | 2,186円 | 1,949円 |
当期は営業収益、営業利益、当期純利益が前年同期を下回りました。一方、NOIは243.78億円と前年同期比6.4%増で、会計上の利益と物件運用の基礎収益に差があります。分配金は利益超過分配金を含まない金額です。
セグメント
セグメント情報では、不動産投資事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の損益は省略されています。また、単一の製品・サービス区分の営業収益が90%を超えるため、製品・サービス別の売上高も開示されていません。したがって、ホテル・住居などのポートフォリオ運用指標を補足的に確認します。
期末の保有物件は156物件で、ホテル114物件、住居41物件、その他1物件です。ホテルの取得価格は6433.80億円で、ポートフォリオ全体6841.65億円の約94.0%を占めます。ポートフォリオ全体のNOIは243.78億円(前年同期比6.4%増)で、増加額14.61億円のうちホテルが14.42億円、住居・その他が0.19億円でした。これは事業別営業利益の配分ではなく、投資不動産の運用指標です。
財務安全性
総資産は7081.54億円、純資産は3528.54億円、自己資本比率は49.8%です。現金及び現金同等物は452.99億円でした。営業CFは244.15億円、投資CFはマイナス16.55億円、財務CFはマイナス168.60億円で、分配と借入返済を含む資金移動を確認できます。今後は金利上昇時の借換えコストと返済原資の確保が財務面の焦点です。
定量評価
| 指標 | 実績 | 前年同期比 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 1口当たり当期純利益 | 1,926円 | -11.7% | 利益と分配余力の基礎を確認します。 |
| 1口当たり分配金 | 1,930円 | -11.7% | 分配金は利益超過分配金を含みません。 |
| 配当性向 | 100.2% | 横ばい | REITの分配方針を踏まえて確認します。 |
| NOI | 243.78億円 | +6.4% | 物件運用の基礎収益を見ます。 |
| 含み益率 | 35.1% | - | 鑑定評価額のある155物件を基にした開示値です。 |
ポジティブ要因
- 国内ホテル101物件の客室稼働率は84.6%で前年同期比0.8ポイント上昇し、RevPARは1万1722円で1.6%増でした。国内需要に加え、韓国、台湾、米国などの訪日需要が下支えしています。
- 海外ホテル2物件は稼働率72.0%、RevPAR481米ドルで、売上高は7万0295千米ドル、前年同期比14.7%増でした。
- 住居41物件の期中平均稼働率は97.3%、平均月額賃料坪単価は9419円で前年同期比1.2%増となり、賃料上昇が続いています。
リスク要因
- 国内ホテルでは大阪・関西万博の反動や中国からの訪日客減少が一部ホテルの弱含み要因となりました。インバウンドの国別構成が変われば稼働率や客室単価に影響します。
- 投資法人は物件取得・譲渡、借入金返済、賃料の変動で運用状況が大きく変わる可能性を明記しています。金利上昇や借換え条件の悪化は、分配金と鑑定評価の双方に影響します。
- 営業収益と当期純利益は減少しており、NOIの増加だけで分配金の安定を判断することはできません。
業界動向との関連
2026年4月の不動産投資家調査では、今後1年間に新規投資を積極化するとの回答が93%でした。ホテルの期待利回りは東京で4.1%、賃貸住宅の期待利回りは東京・城南のワンルームで3.6%、ファミリーで3.7%と開示されています。投資姿勢が強い環境は物件価格を支えますが、金利と期待利回りの変化には注意が必要です。
株価への示唆
分配金利回りだけでなく、NOIの伸び、ホテルの稼働率・RevPAR、住居の賃料上昇、借換え後の金利負担を同時に確認したい決算です。2026年12月期の予想分配金は2186円ですが、2027年6月期は1949円と期間要因を含めて低下するため、単純な増配・減配では比較しません。
今期の総括
2026年6月期は、会計上の当期純利益と分配金が前年同期を下回る一方、NOIとホテル・住居の運用指標は改善しました。運用の基礎収益が伸びても、金利、借換え、物件売買、評価損益の影響を受けるため、分配金の持続性は資産運用と財務の両面から見る必要があります。
来期見通し
2026年12月期は営業収益280.45億円、当期純利益149.88億円、1口当たり分配金2186円、2027年6月期は営業収益279.35億円、当期純利益148.73億円、1口当たり分配金1949円を予想しています。次回は国内ホテルの需要反動、海外ホテルの改修影響、住居賃料、借換え条件が予想の前提に沿うかを確認します。
総合判断
総合判断は中立です。NOIは増加し、ホテル・住居の稼働指標も堅調ですが、営業収益と純利益、分配金は減少しました。8963は、分配金の水準だけでなく、ホテル運用の伸びが金利上昇や借換え負担を吸収できるかを継続して確認する銘柄です。
出典
本記事は、インヴィンシブル投資法人が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2026年6月期 決算短信(REIT)」、インヴィンシブル投資法人、開示日: 2026-08-25