1. 投資判断サマリー
NTTは、国内通信インフラを土台に、総合ICT、地域通信、グローバル・ソリューション、不動産・エネルギー等を展開する通信・ICTグループです。2025年度(2026年3月期)は増収増益でしたが、住信SBIネット銀行の連結子会社化や成長投資で総資産が大きく増え、株主資本比率は20.8%へ低下しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新日 | 2026年7月22日 |
| 総合評価 | ★★★☆☆(中立) |
| 一言サマリー | 安定通信収益とグローバルIT・データセンター成長は評価材料。一方、資本比率低下と来期最終減益計画を慎重に見る局面です。 |
2. 投資評価(星評価・レーダーチャート)
| 評価軸 | 星評価 | コメント |
|---|---|---|
| 成長性 | ★★★★☆ | グローバル・ソリューション事業とデータセンター需要が伸びています。 |
| 収益性 | ★★★☆☆ | 連結営業利益は増えましたが、総合ICT事業は増収減益でした。 |
| 財務 | ★★☆☆☆ | 総資産拡大により株主資本比率が20.8%へ低下しました。 |
| 配当 | ★★★★☆ | 2027年3月期は年間5.40円の増配予想です。 |
| 安定性 | ★★★★☆ | 国内通信インフラの収益基盤は厚く、需要の急変リスクは相対的に低めです。 |
| 時間軸 | 見方 |
|---|---|
| 短期 | 来期最終減益計画を市場がどこまで織り込むかを確認します。 |
| 中期 | データセンター、法人DX、NTTデータグループ完全子会社化の利益貢献を見ます。 |
| 長期 | 成長投資後の資本効率、営業CF、増配余力が焦点です。 |
3. 最新決算サマリー
基準にした開示情報は、2026年5月8日開示の「2025年度 決算短信〔IFRS〕(連結)」です。
| 項目 | 2025年度実績 | 前期比・変化 | 2026年度会社予想 | 見方 |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 14兆4,091億円 | +5.1% | 15兆600億円 | 増収基調は継続見込みです。 |
| 営業利益 | 1兆7,062億円 | +3.4% | 1兆7,100億円 | 来期は小幅営業増益計画です。 |
| 税引前利益 | 1兆5,256億円 | +4.8% | 1兆5,000億円 | 来期はやや減益を見込みます。 |
| 当社帰属利益 | 1兆370億円 | +3.7% | 9,800億円 | 来期は最終減益計画です。 |
| EPS | 12.61円 | +5.4% | 12.10円 | 利益計画と自己株式動向を合わせて確認します。 |
| 年間配当 | 5.30円 | +0.10円 | 5.40円 | 小幅増配を継続する計画です。 |
業績面では増収増益ですが、来期は営業利益がほぼ横ばい、当社帰属利益は減益予想です。株価評価では、増配と安定収益への安心感に加え、投資負担と資本効率の見方が重なります。
4. 今回の決算で注目するポイント
| 確認点 | 今回の状況 | 判断材料 |
|---|---|---|
| グローバル事業 | グローバル・ソリューション事業の営業利益は4,882億円、前期比50.7%増。 | 大型案件、データセンター、ITサービスの伸びが続くか。 |
| 総合ICT事業 | 営業収益は増加、営業利益は9,421億円で前期比7.7%減。 | 通信競争、販売費、ネットワーク投資負担を確認。 |
| 財務安全性 | 株主資本比率は20.8%、有利子負債の株主資本比率は161.5%。 | 金融子会社化後のバランスシートと資本効率を確認。 |
| キャッシュ | 営業CFは1兆4,852億円で前期から減少。 | 投資・還元を支えるキャッシュ創出力が戻るか。 |
| 株主還元 | 2027年3月期は年間5.40円配当予想。 | 減益計画下でも増配を維持できるか。 |
5. 投資判断のポイント
| 論点 | なぜ見るか | 確認したい変化 |
|---|---|---|
| 成長投資の回収 | データセンターやAI関連投資は先行負担が大きくなりやすいため。 | グローバル事業の利益率と営業CFの改善。 |
| 国内通信の収益性 | 安定収益の土台ですが、競争と設備投資の影響を受けます。 | 総合ICT事業の利益率改善。 |
| 財務レバレッジ | 総資産拡大後は資本比率と有利子負債の見方が重要です。 | 株主資本比率、D/E、資本効率の改善。 |
| 還元余力 | NTTは個人投資家の保有も多く、配当継続性が評価に効きます。 | 利益と営業CFに裏付けられた増配継続。 |
6. リスク要因
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 投資負担 | データセンター、ネットワーク、金融連携などの投資が重いと、利益率やキャッシュが圧迫されます。 |
| 資本比率低下 | 2025年度末の株主資本比率は20.8%で、前期末34.0%から低下しました。 |
| 国内通信競争 | 料金競争、販売施策、ネットワーク投資が総合ICT事業の利益を押し下げる可能性があります。 |
| グローバル案件 | 大型IT案件や海外データセンター投資は、採算・為替・実行リスクを伴います。 |
| 規制・政策 | 通信インフラ企業として、政府保有、通信政策、料金政策の影響を受けます。 |
7. 総合評価
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| 強み | 国内通信インフラの安定収益、グローバルITサービス、データセンター需要、増配姿勢。 |
| 懸念点 | 株主資本比率低下、営業CF減少、来期最終減益計画、総合ICT事業の減益。 |
| 次に見るポイント | 2026年度の営業利益進捗、営業CF回復、データセンター投資の利益貢献、配当維持力。 |
NTTは、安定収益と成長投資を併せ持つ大型通信株です。現時点の評価は中立。増配とグローバル事業の伸びは支えになりますが、投資拡大後の資本効率とキャッシュ創出力を確認してから評価を強めたい局面です。
出典
- NTT「2025年度 決算」(2026年5月8日開示、決算短信〔IFRS〕(連結))
- NTT「株式の概要」(2026年5月8日最終更新)
- NTT「有価証券報告書」(第41期有価証券報告書)
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