9778 / 学習塾事業 2026年2月期は減収ながら営業増益 売上高33.75億円、営業利益1.12億円、減損58百万円 売上高 33.75億円 -2.2% 営業利益 1.12億円 +19.6% 当期純利益 0.40億円 -29.6% プラス材料 ・教室統廃合と合宿見直しで営業利益率3.3% ・営業CFは2.74億円、前年から69.6%増 見られるリスク ・累計生徒数は10.79万人、前年比2.6%減 ・一部教室の減損58百万円、需要回復が課題

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高33.75億円34.50億円-2.2%34.59億円該当なし
営業利益1.12億円0.93億円+19.6%1.95億円該当なし
経常利益1.21億円1.07億円+13.4%2.04億円該当なし
当期純利益0.40億円0.57億円-29.6%1.33億円該当なし
EPS68.90円98.03円-29.7%224.74円該当なし

通期決算の会社計画欄には2027年2月期予想を置いているため、進捗率は該当なしとした。売上は下振れたが、営業利益は教室運営コストと販管費の圧縮で増益を確保した。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率-29.7%前期98.03円から当期68.90円減損損失58百万円が純利益を圧迫した
ROE1.1%前期1.6%配当性向は184.5%で、利益水準だけでは配当を支えにくい
営業利益率3.3%前期2.7%減収下でも教室統廃合と費用削減で採算は改善
PER推移市場データ未反映株価データ別途確認小型・低流動性銘柄のため、配当利回りと優待込みの需給も見たい

数字から見ると、営業段階では改善している。ただ、EPSとROEの低さを考えると、利益の質まで強く評価するにはまだ材料が足りない。

ポジティブ要因

コスト削減が営業増益を支えた

売上高は75百万円減ったが、売上原価は65百万円減、販管費は28百万円減となった。会社は教室統廃合による教室運営コスト削減と合宿運営の見直しを理由に挙げており、営業利益は18百万円増の112百万円に改善した。

高等部と一部地域はまだ伸びた

部門別では中学部が48百万円減、個別指導部が11百万円減となる一方、高等部は3百万円増だった。地域別でも宮崎、福岡、沖縄は増収で、全地域が一律に崩れているわけではない。

営業キャッシュ・フローは増えた

営業CFは274百万円と前年の161百万円から増加した。減価償却費159百万円、減損損失58百万円など非資金費用の影響もあるが、現金創出が赤字化していない点は下支え材料になる。

リスク要因

生徒数減少が本丸のリスク

決算説明資料では累計生徒数が107,989人、前年比2,901人減、率にして2.6%減だった。小中学部、高等部、個別指導のいずれも生徒数が減っており、売上減少は一過性というより需要面の弱さを含んでいる。

少子化と入試環境の変化

会社は少子化に加え、高校授業料無償化で私立高校への進学選択肢が広がり、公立高校の競争率低下や定員割れが拡大していると説明している。トップ校需要は残るが、普通の高校受験塾ニーズは以前ほど強くない。

減損損失が示す教室単位の痛み

一部教室で地価下落と生徒数減少により営業損益が継続してマイナスとなる見積りとなり、土地建物等で58百万円の減損損失を計上した。教室網の再配置は必要だが、閉校や統合は売上規模を削る面もある。

財務安全性

総資産は68.74億円、純資産は36.21億円、自己資本比率は52.7%で、財務の厚みは小型サービス企業として悪くない。現金及び預金は7.49億円、有利子負債は長短借入金で15.77億円程度ある。営業CFは2.74億円の黒字だが、配当金支払い75百万円と借入金返済が続くため、利益水準の回復が遅れると資本政策の余裕は大きくない。

業界動向との関連

学習塾業界は、少子化だけでなく、高校入試の競争率低下、推薦・早期進路決定による在籍期間短期化、物価高による家計の教育費選別に直面している。昴は鹿児島、宮崎、熊本など地方トップ校向けの実績を持つが、地方人口と受験競争の縮小は正面から受ける。

株価への示唆

2027年2月期会社予想はEPS224.74円で、当期の68.90円から大きく戻る前提になっている。仮にこの水準に近づけば、減損影響で沈んだ利益の反動として見直し余地は出る。ただ、売上高計画は34.59億円と前期比2.4%増にすぎず、利益回復の多くはコスト管理に依存する。市場は、優待や120円配当を評価しつつも、生徒数が反転しない限り強い成長株としては見にくい。ここからは、通塾需要の戻りと営業利益率の維持を同時に確認する局面だ。

今期の総括

2026年2月期は、売上より利益、利益より生徒数を見る決算だった。営業利益は増えたが、累計生徒数の減少と58百万円の減損が示すように、教室網の固定費を抱える学習塾事業の難しさは残っている。

来期見通し

2027年2月期は売上高34.59億円、営業利益1.95億円、経常利益2.04億円、当期純利益1.33億円を計画する。営業利益は74.1%増の見通しだが、売上増は83百万円にとどまるため、統廃合後の効率化、デジタル技術を使った教務サービス、オンライン個別指導の定着が前提になる。計画は達成不能とは言えないが、生徒数回復なしで利益だけ伸ばすには限界がある。

総合判断

総合判断は中立である。自己資本比率52.7%と営業CF黒字は安心材料だが、ROE1.1%、EPS68.90円、配当性向184.5%は弱い。来期予想どおりに利益が戻るか、そして累計生徒数の減少が止まるかを確認するまで、市場はまだ完全には信用しにくい内容である。

出典

  • 昴「2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」、開示日: 2026年4月14日
  • 昴「特別損失の計上及び通期業績予想値と実績値との差異に関するお知らせ」、開示日: 2026年4月14日
  • 昴「2026年2月期通期 決算説明資料」、掲載: 2026年4月
  • 昴 IR・電子公告ページ、確認日: 2026年7月7日