フェローテックの2026年12月期予想と従来の中期目標

8月の修正は純利益のみ

7月22日、会社は2026年12月期の営業利益予想を380億円から600億円に引き上げた。同日の初回開示には売上高・経常利益・純利益の記載に誤りがあり、訂正開示が出ている。下表の7月の値は訂正後の数値だ。

2026年12月期の通期予想7月22日訂正後8月14日
売上高3,800億円3,800億円
営業利益600億円600億円
経常利益550億円550億円
親会社株主に帰属する当期純利益330億円360億円

8月14日の修正で増えたのは純利益予想だけ。会社は営業外損益や特別損益などの精査を理由に挙げており、営業利益の予想は変えていない。同日公表の第1四半期実績は売上高1,824億37百万円、営業利益280億71百万円、経常利益272億79百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益215億19百万円だった。

第1四半期には、親会社と3月決算の子会社の3カ月分、12月決算の子会社の6カ月分が含まれる。第1四半期の営業利益を単純に4倍して通期を推計することはできない。通期も親会社などは9カ月分、12月決算の子会社は12カ月分を対象とするが、会社は9カ月決算による連結業績への影響を限定的と説明している。

企業概要

フェローテックは、半導体製造装置向けの真空シール、石英、セラミックス、CVD-SiC製品などを手掛ける。会社資料では、AI関連の半導体製造装置向け部材と、データセンター用光トランシーバー向けサーモモジュールの需要増を、今期予想引き上げの背景に挙げている。中国以外ではマレーシアの生産能力拡充も進める。

従来中計を上回る600億円予想

8月14日の中計ローリング資料に掲載された2027年12月期の営業利益480億円、2028年12月期の570億円は、いずれも5月15日時点の従来目標だ。8月14日時点の計画欄は見直し中。今期の営業利益600億円は会社予想であり、翌期以降の正式な改定目標とは区別する。

会社は、従来の2027年目標をほぼ前倒しで達成する見通しを踏まえて計画全体を見直すと説明している。同資料では、2027年について売上高5,000億円・営業利益800億円程度を目指して検討中だ。これは正式な改定目標ではなく、確定後に開示する方針である。600億円もまだ予想段階にあるため、今期の着地と翌期以降の利益水準をそれぞれ確認したい。

利益と資金繰りの確認点

半導体向け部材やサーモモジュールの需要が続くかに加え、高収益製品の比率と稼働率を見たい。8月の純利益増額だけで営業利益の見通しを上積みする材料にはならない。

第1四半期末には「受取手形、売掛金及び契約資産」が前期末から223億80百万円増えた。売上の伸びが営業キャッシュフローにも表れるかは、次のキャッシュ・フロー開示で確かめる必要がある。第1四半期短信には四半期キャッシュ・フロー計算書がない。設備投資による支出は主に投資キャッシュフローに表れるため、営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを併せて見たい。

株主還元では、会社が掲げるDOE下限3.5%と総還元性向50%の方針に対し、配当や自己株式取得の実績を見る。

強気シナリオ

半導体製造装置向けの真空シール、石英、セラミックスや、データセンター向けサーモモジュールの需要が続き、増産後も利益率を保てるケース。通期営業利益600億円を達成し、営業キャッシュフローも増えれば、7月の修正が一時的な上振れだったという見方は弱まる。

そのうえで、今期予想を踏まえた中計が正式に示されれば、従来目標との関係も明確になる。

弱気シナリオ

AI関連投資の鈍化や価格競争で、高収益製品の構成比や稼働率が下がるケース。売上が伸びても利益率が落ちれば、600億円が一時的な水準にとどまる可能性がある。「受取手形、売掛金及び契約資産」や棚卸資産の増加、設備投資の負担で、会計上の利益ほど現金が増えないリスクもある。

中期計画の見直し後も2027年以降の利益目標が伸びなければ、足元の好調を将来の利益にそのまま延ばして考えることは難しい。

注目KPI

  • 2026年12月期の営業利益600億円に対する進捗と利益率
  • 半導体等装置関連、電子デバイスの製品別売上高と稼働状況
  • 営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、棚卸資産、「受取手形、売掛金及び契約資産」、設備投資額
  • 従来の営業利益目標(2027年480億円、2028年570億円)に対する正式な改定内容
  • 配当、DOE方針、自己株式取得の実施状況

まとめ

営業利益600億円という今期予想の達成可能性と、翌期以降も同じ収益力を保てるかを分けて見る。

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