FOMOは参加しないことへの焦り
FOMOはFear Of Missing Outの略です。投資では、話題の銘柄が上がり続けるのを見て、自分だけ利益を取り逃すように感じる場面を表します。英国FCAも、話題性や周囲の行動に引かれて自分に合わない投資へ進むリスクを取り上げています。
値上がりした銘柄を買う行為そのものが、すべてFOMOに当たるわけではありません。価格や業績を調べたうえで買う判断もあります。自分が何を根拠に、どの程度の損失を受け入れて買うのかが曖昧なまま、参加することを優先していないかが問題になります。
FEMOは利益の伸びを表す論説上の言葉
ヤルデニ・リサーチの2026年10月19日付記事では、FEMOをFabulous Earnings Momentumの略として使い、利益の伸びと評価倍率の動きを分けて論じています。本稿もこの用法を扱います。心理学の診断名や、計算基準が統一された投資指標として紹介するものではありません。
FEMOをそのまま「利益を逃す恐怖」と訳すと、同記事の用語とは違う意味になります。また、FOMOとFEMOの二つに投資家を分類して、一方なら健全だと判定することもできません。業績を調べていても、他人の利益報告に焦って投資額を増やすことはあり得ます。
業績が伸びても買値次第で損失になる
架空の企業で、1株利益100円、株価2,000円ならPERは20倍です。翌期の1株利益が130円に増えても、PERが15倍になれば株価は1,950円です。利益は30%増えていますが、配当・費用・税金を除く株価の変化は2.5%の下落です。
反対に、利益が横ばいでも評価倍率が上がれば価格は上がります。この関係は計算上の整理で、PERの変化をFOMOだけで説明できるわけではありません。金利や企業の成長見通し、事業のリスクも評価に関係します。
AIというテーマから個別の数字へ進む
「AI需要が伸びる」という見立てと、その企業の受注・売上・利益が増えることは同じではありません。売上が増えても設備投資や開発費の負担が先に増える場合があり、発表された実績と会社の将来予想も区別が必要です。
会社の決算資料で対象期間、会計基準、利益の定義をそろえ、予想との比較には発表前に存在した根拠を使います。良い数字を並べるだけでなく、その成長を現在の価格でどこまで織り込んでいるかが残る問いです。FEMOという見出しを、割安さの証拠の代わりにはできません。
出典
- 英国FCA「Hype – spot the signs and manage your FOMO」
- Yardeni Research「FOMO’s Rollercoaster Versus FEMO’s Steady Climb」(2026年10月19日、公開部分の用語定義)
参考資料の確認日:2026年10月23日。