損失回避バイアスとは?含み損の判断と家計のリスクを分ける

売らない判断にも、慌てて売る判断にも表れる

含み損が出た際、売却すれば損失が確定するため、投資の前提が崩れても保有を続けたくなる場合があります。反対に、減ることへの恐怖が強まり、長期の計画を調べ直す前に全額を売る場合もあります。損失を避けたい気持ちだけで、行動の方向が一つに決まるわけではありません。

この用語は判断を振り返るための手がかりです。性格の診断や、投資が下手な人を分類する言葉として使うと、本来見るべき事実から離れてしまいます。

50万円を40万円にした取引をどう見直すか

架空の例で、50万円の株が40万円になったとします。「50万円へ戻るまで待つ」という目標は、購入額を基準にした気持ちです。その会社の利益や財務が今後どう変わるかは、別に調べる必要があります。

40万円を50万円へ戻すには25%の上昇が必要ですが、計算できることと回復することは別です。元の値段へ戻る確率が分かるわけでもありません。判断するときは、買った理由が残っているか、悪化した事実は何か、その資金をいつ使うかを分けて書き出せます。

リスクを減らす判断まで否定しない

半年後の生活費に必要な資金であれば、値下がりの可能性を減らす行動には実務的な理由があります。「損失回避だから売るのは誤り」と決めつけると、心理用語を理由に本当に必要な現金まで不足させかねません。

また、分散された投資信託と、事業が悪化した一社の株式を同じように扱うこともできません。何を持ち、いつ使うお金で、どの程度の下落を受け止められるかによって、見直す条件は変わります。

感情を消すより、事前の記録を残す

購入前に期待した事実、外れた場合に見直す条件、投資額の上限を書いておくと、下落後の気持ちとの比較ができます。例えば「新工場が計画どおり稼働する」という前提なら、株価だけでなく稼働時期や費用の変化も見る対象になります。損失を認めたくない気持ちがあっても、その日の価格と自分の感情だけで結論を出さずに済みます。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。