80対20を固定ルールにしない
パレートの法則は、結果と要因の分布が均等でないことを説明する考え方です。「全体の成果の80%を20%の要因が生む」という比率が例に使われますが、実際の割合は対象や期間で変わります。常に80対20の関係が成り立つ統計法則として使うのは適切ではありません。
投資では、少数の企業が株価指数の値動きに大きく寄与していることや、売上の一部顧客への依存などを考えるきっかけになります。自分のポートフォリオでも、数銘柄や一つのテーマが資産の大半を占めていないか確認できます。
使う際の注意点
- データの対象期間と「成果」の定義を明確にする
- 80対20という数字を根拠なく当てはめない
- 集中が効率なのか、単一要因への依存なのかを区別する
- 過去の構成比が将来も続くと決めつけない
集中した投資が必ず高い成果につながるわけではなく、分散が常に最良の結果を出すわけでもありません。集中度と損失の影響を把握し、投資目的やリスク許容度に沿って判断します。
過去の上位二銘柄を、先に選べたとは限らない
十銘柄の年間損益がすべてプラスで、合計十万円、そのうち二銘柄が八万円だったとします。銘柄数の二割が利益の八割を占める仮例です。ただし、年初からその二銘柄が分かっていたことにはなりません。残りを買わなければ同じ利益を得られた、という後からの計算と、事前に実行できる戦略は違います。
同じ十銘柄で、二銘柄の利益が十二万円、残る八銘柄の損益合計がマイナス二万円だった場合へ変えてみます。純利益十万円に対し、二銘柄の利益は百二十%です。損失があると、少数銘柄の寄与率が百%を超える場合もあります。全銘柄の純利益を分母にするか、プラスの利益だけを集めるかで、数字の意味は変わります。
品質管理で使うパレート図は、件数や費用などを大きい順に並べ、偏りを見る道具です。投資の振り返りでも、保有額、利益、損失のどれを並べたかを明記すると、比較の意味を保てます。同じ二銘柄でも、保有資金の大半を投入していたなら、利益だけが集中した場合とは違います。
少数の大きな寄与があったことを、次もその銘柄だけへ集中する根拠にしないことです。分布の偏りを発見する使い方と、将来の勝者を予想する使い方を区別します。
参考資料
参考資料の確認日:2026年10月23日。