ブラックスワンの三つの特徴
この概念では、「その観察者の事前の想定から外れる」「発生すると影響が大きい」「発生後に説明がつけられる」という特徴が挙げられます。大きな事故や価格下落であっても、事前に何が分かっていたかによって、この概念へ当てはめられるかは変わります。
ただし、何をブラックスワンと呼ぶかには解釈があり、発生後に概念を当てはめるだけでは予測力を示せません。リスクを認識することと、その時期や具体的な結果を予測できることは別です。
投資家ができる準備
- 近く使う資金と、長期で運用する資金を分ける
- 一つの会社・業種・国への過度な集中を避ける
- 急落時に必要となる現金と、保有を続けられる金額を考える
- 借入を伴う取引など、損失が膨らむ仕組みを理解する
分散投資は、あらゆる危機で損失を防ぐものではありません。市場全体が大きく下落する局面では、複数の資産が同時に値下がりすることがあります。投資商品には元本割れのおそれがあります。できる範囲で備え、予測できない事態が起きても家計が維持できることを優先します。
危機の名前より、同時に起きる負担を考える
架空の例で運用資産200万円が40%下落すると、評価額は120万円です。そこで3か月以内に80万円の支出があれば、税・費用等を省いて支出額を売却で賄うと、運用に残るのは40万円です。下落前に想像した金額を保有し続けられるとは限りません。
相場下落だけでなく、収入の減少、換金にかかる時間、借入の返済が重なる場合もあります。過去に想定した損失幅を超えることがあるため、一つの下落率の試算を安全の境界にはできません。支出用の現金を分ける、返済資金を運用益に依存させないなど、予測とは別の備えを考えます。
すでに多くの人が警戒している危機まで、何でもブラックスワンと呼ぶと概念が曖昧になります。誰にとって予測しにくかったのかにも違いがあります。事後の分かりやすい説明を、次の危機を当てられる能力と同じに扱わないことです。
参考資料
- 金融庁「資産形成の基本」
- Nassim Nicholas Taleb『The Black Swan』著者公開抜粋(序文の定義と観察者による違い)
参考資料の確認日:2026年10月23日。