気絶ホールドとは
投資家の間では、次のようなスタイルを「気絶ホールド」と呼ぶことがあります。
買う
↓
チャートを見すぎない
↓
短期の下落で売らない
↓
数年後、または十数年後まで持ち続ける
SNSや投資コミュニティで使われる俗語です。
「買ったら忘れるくらいでちょうどいい」という意味に近いです。
ただ、完全に忘れてよいわけではありません。
ここを勘違いすると危ないです。
なぜ気絶ホールドという言葉が使われるのか
投資を始めると、多くの人は株価を見すぎます。
株価が上がる
↓
うれしい
株価が下がる
↓
不安になる
この繰り返しです。
問題は、値動きを見すぎるほど感情的な売買をしやすくなることです。
よくある失敗は次の通りです。
| 感情 | 行動 | 起きやすい結果 |
|---|---|---|
| 焦り | 急騰後に買う | 高値づかみ |
| 不安 | 下落時に売る | 安値売り |
| 欲 | もっと増やそうとする | 集中投資 |
| 退屈 | 余計な売買をする | 手数料や税金が増える |
そこで、
良い資産を選ぶ
↓
長く持つ
↓
短期の値動きに反応しすぎない
という考え方が出てきます。
これをかなりラフに表現したのが、気絶ホールドです。
気絶ホールドの例
S&P500の積立投資
たとえば、S&P500に連動する投資信託を毎月積み立てるケースです。
毎月積立
↓
短期の上下は気にしすぎない
↓
10年、20年単位で保有
途中で暴落があっても、生活資金を確保したうえで積立を続ける。
これが気絶ホールドに近い考え方です。
全世界株の長期保有
全世界株式インデックスを買って、長く持ち続けるケースも典型例です。
全世界株を買う
↓
世界経済全体の成長に乗る
↓
短期の国別成績に振り回されない
国や地域を細かく当てに行くより、世界全体に広く分散して長く持つ考え方です。
新NISAでの積立
新NISAでは、長期・積立・分散投資と相性の良い商品を非課税で保有できます。
気絶ホールドという言葉は軽いですが、新NISAの使い方としてはかなり現実的です。
ただし、非課税だから何を買ってもよいわけではありません。
長く持てる商品かどうかが先です。
気絶ホールドのメリット
感情に左右されにくい
投資の失敗は、商品そのものよりも自分の行動から生まれることがあります。
急落で怖くなって売る。急騰で焦って買う。ニュースを見て何度も乗り換える。
気絶ホールドは、こうした行動を減らしやすいです。
時間を節約できる
毎日チャートを見続けるのは、思った以上に疲れます。
長期投資では、毎日の値動きを全部追っても、判断が良くなるとは限りません。
仕事、家計、勉強、睡眠の方が大事なこともあります。
長期投資と相性が良い
株式市場は短期では大きく上下します。
1年単位ではマイナスになることも普通にあります。
それでも、広く分散された株式投資は、長期では企業利益や経済成長を取り込む考え方です。
金融庁も、資産形成では長期・積立・分散投資の考え方を紹介しています。
気絶ホールドは、その考え方をかなりくだけた言葉にしたものとも言えます。
気絶ホールドのデメリット
本当に何も見ないのは危険
気絶ホールドは、完全放置とは違います。
本当に何も見ないと、次のような変化に気づけません。
- 資産配分が大きく崩れる
- 生活状況が変わる
- リスクを取りすぎている
- 商品の信託報酬や運用方針に問題が出る
- 制度や税制が変わる
年に1回から数回は、資産全体を確認した方が現実的です。
個別株ではリスクが高い
気絶ホールドは、個別株ではかなり難しくなります。
人気企業を買う
↓
業績が悪化する
↓
それでも見ない
↓
株価が大きく下がる
このようなことが普通に起きます。
個別株は、企業の競争力、業績、財務、経営方針、業界環境が変わります。
インデックス投資と同じ感覚で完全放置すると、リスクを見落としやすいです。
レバレッジ商品には向きにくい
レバレッジ型ETFやブル・ベア型商品は、長期保有に向かない設計の商品もあります。
値動きが大きく、相場が逆に動いたときのダメージも大きいです。
「気絶していればいつか戻る」と考えるのは危険です。
気絶ホールドに向く投資・向かない投資
向きやすいものは、広く分散され、長期保有を前提にしやすい商品です。
| 向きやすい投資 | 理由 |
|---|---|
| 全世界株インデックス | 地域分散しやすい |
| S&P500連動商品 | 米国大型株に広く投資できる |
| バランスファンド | 株式と債券を組み合わせやすい |
| 毎月積立 | タイミングを分散しやすい |
| 新NISAの長期運用 | 非課税で長く持ちやすい |
向きにくいものもあります。
| 向きにくい投資 | 理由 |
|---|---|
| 短期売買 | 放置と相性が悪い |
| レバレッジ商品 | 値動きが大きく長期保有リスクが高い |
| 業績不安の個別株 | 悪化に気づきにくい |
| テーマ株だけの集中投資 | ブーム終了時の下落が大きい |
| 生活資金での投資 | 下落時に耐えにくい |
気絶ホールドは、商品を選びます。
何でも長く持てばよい、という話ではありません。
FOMOとの違い
FOMOは、
Fear Of Missing Out
乗り遅れる恐怖
です。
投資では、次のような心理です。
株価が上がる
↓
SNSで話題になる
↓
自分だけ持っていない気がする
↓
焦って買う
一方、気絶ホールドはこうです。
自分で納得して買う
↓
短期の値動きは見すぎない
↓
長く持つ
真逆に見えますが、実はつながっています。
FOMOで買った商品は、下がるとすぐ不安になります。なぜ買ったのかが弱いからです。
気絶ホールドをするには、最初に「なぜこれを長く持つのか」を決めておく必要があります。
初心者のよくある誤解
気絶ホールドは何も考えない投資
違います。
最初の商品選びがかなり大事です。
長く持つなら、長く持てるだけの分散性、低コスト、納得感が必要です。
暴落しても絶対に見直さない
これも違います。
暴落時に慌てて売らないことと、資産配分を確認しないことは別です。
投資目的や生活状況が変わったなら、見直しは必要です。
個別株でも同じように放置してよい
個別株は別物です。
企業の業績が悪化しているのに「気絶ホールド」と言って放置すると、判断停止になりやすいです。
個別株では、決算、財務、競争環境、株価評価を定期的に見る必要があります。
実際にやるならどのくらい見るべきか
気絶ホールドと言っても、完全に忘れる必要はありません。
初心者なら、次のくらいが現実的です。
| 頻度 | 確認すること |
|---|---|
| 毎月 | 積立が予定通り実行されているか |
| 半年に1回 | 資産配分が大きく崩れていないか |
| 年1回 | 投資目的、リスク許容度、生活防衛資金を確認 |
| 必要時 | 転職、結婚、住宅購入、出産、退職など生活変化 |
大事なのは、毎日株価を見て売買することではありません。
投資方針が今の生活に合っているかを確認することです。
図解:気絶ホールドの考え方
まとめ
気絶ホールドとは、
良い資産を買って、短期の値動きに振り回されず長く持つ
という考え方を、投資家がユーモラスに表現した言葉です。
新NISA、インデックス投資、長期積立とは相性が良いです。
ただし、本当に何も見ない投資ではありません。
最初の商品選び、資産配分、生活防衛資金、リスク許容度が合っていることが前提です。
個別株、レバレッジ商品、短期テーマ株では、気絶ホールドがただの判断停止になることもあります。
長期投資で大切なのは、毎日売買することではなく、続けられる仕組みを作ることです。
売買回数を減らし、時間を味方につける。そのための少し面白い合言葉が、気絶ホールドです。