まず60歳から年金開始までを分ける
ここでは60歳で仕事を辞め、65歳から手取り年金が年150万円入ると仮定します。150万円は標準年金額や本人の確定受給額ではありません。資産5000万円はすべてこの生活に使え、負債や残したい資産がない前提です。
月30万円の支出なら、最初の5年間は30万円×12か月×5年で1,800万円。65歳時点には3,200万円が残ります。その後の年支出360万円から年金150万円を引けば、不足は年210万円です。
同じ5000万円でも、支出で算術結果が変わる
| 月の支出 | 60~64歳の支出 | 65歳の残高 | 65歳以降の年間不足 | 残高を不足額で割った年数 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 1,200万円 | 3,800万円 | 90万円 | 約42.2年 |
| 25万円 | 1,500万円 | 3,500万円 | 150万円 | 約23.3年 |
| 30万円 | 1,800万円 | 3,200万円 | 210万円 | 約15.2年 |
月30万円の仮例なら、65歳から約15.2年で、約80.2歳に相当します。5000万円をいきなり210万円で割った約23.8年とは違います。年金前に取り崩した分を見落とすと、将来の原資を過大に数えてしまいます。
長く持つ試算も、そのまま安心とは言えない
表は税・保険料を含む手取り収支を仮定し、物価、運用益、大きな臨時支出を省いています。修繕、住み替え、医療・介護などを月額に含めていないなら、さらに別の支出が生じます。支出が一定という条件も、何十年続く保証はありません。
持ち家でも住居費がゼロになるわけではなく、賃貸でも合計支出が同じなら、この単純計算では同じ結果です。住まいの名前だけで足りる・足りないを決めるより、実際の毎月支出と維持費を入れます。
運用資産と、使える現金の時期を見る
5000万円のすべてがすぐ使える預金とは限りません。投資商品が含まれ、退職直後に下落した場合は、生活費の取り崩しと評価損が重なる可能性があります。一定利回りで増える計算だけでは、その負担が分かりません。
近い支払用の現金と、長く保有する資産を分け、換金にかかる時間や費用も見ます。決まった割合の資産配分や取り崩し率だけで、生活費が守られるとは判断できません。
リタイア判断へ使う数字を自分の条件へ替える
年金見込額と受給開始時期、退職後の税・保険料、実際の生活費、大きな支出を年別に並べます。将来少し働く案を加える場合も、収入がある期間とない期間を別に計算します。
独身であることだけで支援の有無は決まりません。緊急時の連絡や住まいの管理を含め、金銭面以外に必要な手続きもあります。5000万円という総額だけから退職を勧める計算ではなく、どの前提が結果を左右するかを調べる例です。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。