利益を生んだ銘柄だけ選べばよかった、と思った
NISAの成績を振り返り、一社が利益の大半を生んだので、初めからそこだけ買えばよかったと思う場合があります。80対20の法則は、成果の多くが少数の要因へ偏ることがある、という見方です。将来の勝ち銘柄を事前に特定する公式ではありません。
まず、成果をプラスになった金額の合計とするか、損失も含む純損益とするかで、比率の意味が変わります。
五社の売却損益を、同じ条件で読む仮例
架空の人がNISAで五社を、それぞれ一株4,000円で100株ずつ買ったとします。各40万円、合計200万円です。その後Aだけ一株6,000円、残る四社は各3,500円で全て売った設定なら、Aは20万円の利益、他は一社5万円、四社で20万円の損失です。
配当、手数料、追加売買を除けば、全体の純損益はゼロになります。利益の出た側だけを集めればAがすべてですが、全体が増えた例ではありません。純損益ゼロを分母に、Aが何%を生んだかという寄与率も計算できません。
対象要件を満たす架空の国内上場株式とし、通常の100株単位で比較した独自例です。銘柄や値動き、配分を勧めるものではなく、同じ期間の利益と損失を省かず読むための設定です。
非課税でも、投資先の損失は残る
2026年10月23日時点のNISAでは、対象商品の売却益等に非課税の仕組みがあります。仮例でAに利益が出ても、残る銘柄の投資損失がなくなるわけではありません。
NISA内の売却損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除に使えません。利益へ課税しない制度と、損失への補填を区別する必要があります。口座の制度を選ぶことだけで、保有先の偏りや値下がりは解決しません。
上位だけ残す結論を、結果から作らない
今の結果を知ってからなら、Aを買えばよかったと簡単に言えます。しかし、購入時点で同じ判断ができたか、次もAが成果を生むかは別です。過去の上位だけへ資金を寄せると、その企業の悪化が全体へ大きく響く可能性があります。
投資信託でも、過去に寄与した企業と今の組入れは変わる場合があります。対象期間、損益の定義、保有内容をそろえ、残りの銘柄を無意味と決めない方が、何に依存しているかを読めます。
80対20は固定の比率でも、NISAで取るべき集中度でもありません。結果の偏りを調べる時には、勝ちだけを数えず、損失と費用も含めた本人の全体へ戻して考えられます。
出典
- Juran Institute『Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide』(少数要因への偏り、測定と順位付け)
- 国税庁『No.1535 NISA制度』(非課税の対象と損失の扱い)
- 日本証券業協会「NISAのよくある質問」
出典確認日:2026年10月23日。