平均単価が下がったので、負担も減ったと思った
値下がりするたびに買い足すと、口座の平均取得単価は下がる場合があります。ナンピンは、保有する投資先が下がった後に追加購入する行為です。「ナンピン地獄」は、追加を重ねて資金や損失が膨らむ状態を表す俗称として使います。
平均単価の表示だけを見ていると、増えた株数と、それに伴う損失額を落とすことがあります。価格の下落は、企業の見通しが良くなったことを意味しません。
同じ株式を段階的に買う独自例
架空の国内株式を、一株2,400円、1,800円、1,200円の各時点で100株ずつ買ったとします。投入額は24万円、18万円、12万円の合計54万円です。300株の平均取得単価は1,800円になります。
その後900円になると、時価は27万円、投入額との差は27万円の損失です。損失率は50%になります。費用、税、配当、他の資金移動は除きます。
同じ経路で、最初の100株だけを保有した場合は、時価9万円、投入額24万円との差は15万円の損失で、損失率は62.5%です。買い増した方は損失率が小さく見えても、失った金額は大きくなっています。追加した200株にも、それぞれ購入後の下落による損失があるためです。
これは実在銘柄の値動きではなく、同じ価格経路に追加購入の有無を置いた模型です。この先戻る確率や、追加すべき金額を求めた例ではありません。
下がった理由を、元の投資理由と比べる
成長を見込んだ主力製品で需要が継続的に減ったなら、最初の前提が変わった可能性があります。会社の見通しや費用、現金収支、財務などを読まず、平均単価を下げることだけを目的に追加すると、投資先への依存が増えます。
市場全体の変動で下がった場合でも、購入が合理的とは自動で決まりません。今の価格で選ぶ理由、資金を使う時期、他の保有との重なりを読む部分が残ります。
単価の計算と、投資の判断を分ける
国税庁の取得費の説明は、単位当たりの取得価額と数量で取得費を計算する扱いを示しています。取得単価を求めることは、その価格が企業価値や安全性を表すという意味ではありません。
買値へ戻れば売るという予定も、戻らない場合の資金負担を説明していません。追加前に決めた投資額の上限を超えていないか、追加しない案ならどれだけ資金が残るかを読めます。
平均単価と損失率が改善して見える時ほど、円で負う金額と資産全体への依存を並べる余地があります。計算する数字を変えるだけで、投資先の将来の条件まで良くなったとは扱わないためです。
出典
- 国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」(単位当たり取得価額と数量による計算)
- 日本取引所グループ『会社の株価の決まり方』(注文の需給と、業績・市場全体の要因)
- 金融庁『資産形成の基本』(家計、資金の目的、分散投資の考え方)
出典確認日:2026年10月23日。