使い始める時期の下落は元本を変える
現役時代は資産を積み立て、退職後は年金で足りない分を取り崩す。お金の向きが変わるため、長期の平均収益だけでは同じ計画を使えません。相場が悪い時に多く売れば、その後の回復へ参加する元本も減ります。
二年間の順序を比べる仮例
退職時に運用資産1,000万円があり、年金等の手取りを差し引いた生活費の不足100万円を、毎年末に取り崩すとします。収益率が初年プラス20%、翌年マイナス20%なら、初年末は1,100万円、翌年末は780万円です。
順序が逆で初年マイナス20%、翌年プラス20%なら、初年末は700万円、翌年末は740万円になります。同じ二つの収益率でも、各年の取り崩しがあるため最終残高は40万円違います。費用、税、物価、一時支出を省き、年末にだけ支出する簡略例です。
これは特定の配分や年金額を推奨する試算ではありません。年金が始まる前の支出がある場合は、その分を引いた時点から別に計算をつなぐ必要があります。
年金の条件も資金の期限へ入れる
年金見込額は加入記録や今後の働き方で変わります。受取時期を変えるなら、受け取る前に使う残高も変わります。ねんきんネットの試算は条件を設定する材料ですが、将来の年金や物価を確定する数字ではありません。
受給開始が近づいたら、普段の不足、一時費用、当面使わない運用資金を分けます。近い不足額を現金等で備える考え方にも、物価で購買力が変わる負担があり、一律に何年分が正しいとは言えません。
年金、預貯金、運用、退職後の就労を組み合わせて、どこで収入や支出が変わるかを点検します。相場の回復を待てるかは保有年数だけでなく、いつ現金が必要かにも左右されます。取り崩し期には、平均よりも残高が変わる経路を具体化する方が、長期の見通しを比べやすくなります。
出典
出典確認日:2026年10月23日。