長く持つほど毎年一定額が増えるわけではない
期待収益率は、将来のばらつく結果をまとめた見積もりです。年5%を仮定した複利計算をしても、毎年5%で増える契約に変わることはありません。株式のリスクプレミアムも、保有年数に応じて確実に付く手当ではありません。
例えば100万円が1年目に20%増え、2年目に20%減ると、120万円×0.8=96万円です。年ごとの収益率を単純平均すれば0%でも、残高は4%減ります。長期の計画には、算術平均の収益率と、実際に積み上がる複利収益の違いが関わります。
長期のつもりでも売る日は来る
10年後に必要な300万円を株式だけで準備し、直前まで運用する場面を考えます。9年目末に330万円になっても、取り崩す前に25%下がれば247.5万円となり、必要額へ52.5万円届きません。そこまでの上昇があっても、支払日の不足は残ります。
必要時期が近づいた資金を値動きの小さい資産へ移す、生活費の一定期間分を別に確保する、といった方法は、売却を先延ばしできない状況への備えです。時期や金額は家計によって異なり、一定年数前に一律で移すという正解はありません。
長期推計にも見直しが要る
将来利益、金利、購入価格が変われば、期待する上乗せも変わります。過去の平均を固定しておけば長期投資になる、というわけではありません。費用や資産配分、支払予定が変わったときは、計画の前提を点検します。
長期保有の意味は、毎日の値動きに売買を合わせる必要を減らし、運用に使える時間を確保することです。その時間で損失が消えるかどうかは別の問題として残ります。