値動きを予想できないなら、NISAで放っておけばよいのか
明日の価格は読めないと聞くと、NISAで買った後は何も考えなくてよいと思う場合があります。ランダムウォークは、ランダムな変化を積み重ねるモデルです。過去の価格だけで次の変化を容易に予測できるかという問いと、自分が何をどれだけ持つかは別です。
NISAは一定の投資利益を非課税にする制度で、値下がりをなくすものではありません。理論の名前から、どの銘柄でも同じ、いつ使う資金でも同じように買えるという結論にはなりません。
支出の期限と残高を合わせる、一つの仮例
架空の人が、二年後に必要な支出120万円を、現在150万円になっているNISA内の投資信託で用意するつもりだとします。仮に支出時までに評価額が30%下がり、その時に全売却すると、受取額は105万円で、支出へ15万円足りません。費用等を省いた設定です。
30%は予測や最大損失ではなく、資金の不足を読むために置いた条件です。購入時の金額を置いていないため、取得費からの運用損益を計算した例でもありません。現在の評価額と将来使う金額を、同じ期限で比べています。
後に回復する可能性があっても、支払日を延期できるとは限りません。価格を当てられないことを認めた計画でも、期限へ必要な現金をどの資産で持つかという判断は残ります。
積立や分散が扱える範囲
積立は購入する時期を分ける方法ですが、売る時の価格を保証しません。分散は一社や一業種への集中を減らせても、多くの資産が同時に下がる場面はあります。外国資産を持てば、円で支出する時の金額には為替も関わります。
投資信託の費用や保有する資産は、次の値動きが分からなくても読めます。似た商品を増やすだけで中身が重なれば、分散したつもりと実際の保有はずれる場合があります。
非課税の扱いも別に残る
2026年10月23日に確認した国税庁の説明では、NISAの売却損は、課税口座の対象利益等との損益通算や繰越控除ができません。利益の非課税と、損失の救済を同じ意味へ読み替えない形で制度を読む必要があります。
理論を理由に売買や企業分析を全部否定する必要もありません。過去の価格からの予測にはどんな根拠があるか、実際の運用は費用控除後にどうだったかを分けられます。NISAの空き枠を埋めることより、資金を使う時期と、下落を負担できる金額が合っているかを読む場面です。
出典
- Burton G. Malkiel(2003)『The Efficient Market Hypothesis and Its Critics』(著者所属大学公開版、本文3〜5ページの定義と限界)
- 国税庁『No.1535 NISA制度』(非課税の対象と損失の扱い)
出典確認日:2026年10月23日。