NISAと現金を組み合わせれば、下落にも有利なのか
NISAの商品を持ち、現金も残しているので反脆弱な資産配分になった、と考える場合があります。現金は近い支払いや選択肢を残す助けになります。しかし、資産価格が下がること自体から利益が出る構造になったかは別です。
反脆弱性は、一定の変動から便益を得る性質を考える概念です。耐えられる余力を持つことと、変動に有利な損益の形を持つことを区別してから、NISAの役割を読めます。
現金とNISA資産を分けた、独自の仮例
架空の人が、現金40万円とNISA口座内の株式60万円を持つとします。現金の利息や出入りはなく、同じ期間に株式の評価額が30%下がれば、株式は42万円、合計は82万円です。配当、税、費用、他の資産は置いていません。
現金が残るので株を売らず支払いに使える可能性はありますが、合計の資産は18万円減っています。下落によって資産が増えた例ではありません。この配分も、本人の生活に十分な現金の基準や推奨比率ではなく、二つの役割を読むための設定です。
下がった後に買えば有利という考えも、購入後にさらに下がる可能性や、現金を別の目的へ使う必要を残します。現金があることだけでは、底を見分ける能力は得られません。
非課税の対象と、損失の扱い
2026年10月23日時点のNISAでは、対象商品の売却益や配当等に非課税の仕組みがあります。利益への課税を軽くする制度であり、評価額や投資成果を保証するものではありません。
NISA口座内で生じた売却損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除に使えません。仮例の評価損と、売却して確定する損失も区別し、非課税だから下落の負担が小さくなると考えない方が制度を正確に読めます。
商品の名前より、保有内容と資金の予定を見る
反脆弱性を掲げる説明があっても、その言葉だけでNISAの対象商品かは分かりません。商品ごとの枠の条件や法的区分を読み、どの資産、通貨、期間、費用を持つかも別に確かめる必要があります。
分散は一つの会社などへの偏りを小さくする考え方ですが、保有資産が同時に下がる可能性は残ります。長く保有する予定でも、近い支払いのために途中で換金するなら、その時の価格が本人の結果に関わります。
現金は支払余力、NISAは税の扱い、投資対象は損益の仕組みと分けて読むと、それぞれに求める働きが明らかになります。値動きを増やすほど有利になるという理由で、投資額の上限を外すための概念ではありません。
出典
- Nassim Nicholas Taleb『Antifragile』(著者サイト公開の紹介。耐えることと、変動から便益を得ることの区別)
- 国税庁『No.1535 NISA制度』(非課税の対象と損失の扱い)
- 日本証券業協会「NISAのよくある質問」
出典確認日:2026年10月23日。