複利の力の実例:100万円×1.10×0.90×1.10、三年後108万9,000円、残高と引出し済み現金を分ける

複利とは

複利は、運用で得た利益を元本に加え、その後は元本と利益の合計に対して運用成果が生じる考え方です。時間が長いほど、利益がさらに利益を生む効果が大きくなる場合があります。ただし、実際の投資では毎年同じ利回りが得られるわけではなく、元本割れや手数料、税金などの影響もあります。

数字を使った仮の例

仮に10万円を年3%で10年間運用し、毎年の利回りが一定で、利益を再投資できたとします。税金や手数料を考慮しない単純計算では、複利の場合は約13万4,000円になります。毎年の利益を元本に加えず、単利で計算した場合は13万円です。

この差は仕組みを説明するための仮定に基づく例であり、実際の投資成果や将来の利回りを示すものではありません。毎年3%で増える金融商品があるという意味でもありません。運用成績は市場環境によって変動し、損失が生じることもあります。

投資で複利を考えるとき

複利の効果を期待するなら、運用期間だけでなく、投資対象のリスク、費用、税制、資金を使う時期も考えます。長期間保有しても、値下がりする資産の損失が複利によって自動的に回復するわけではありません。利益が出た年と損失が出た年の順序によって、最終的な残高も変わります。

  1. 利益を再投資する前提か、途中で使う前提か
  2. 手数料や税金を含めた後の金額か
  3. 運用期間中の価格変動を受け入れられるか
  4. いつ、いくら取り崩す予定か
  5. 同じ利回りが続くと誤解していないか

金融庁の「資産形成の基本」では、長期・積立・分散の考え方が紹介されています。期間、購入時期、投資先を分けて考えるための説明であり、利益の保証ではありません。

二つの投資経路で残高を比べる

複利の実例を見るときは、一定の年率の表だけでなく変動する経路を計算すると、利益と損失が積み重なる仕組みが見えます。仮に100万円を運用し、一年目10%上昇、二年目10%下落、三年目10%上昇なら、100万円×1.10×0.90×1.10=108万9,000円です。変化率を足した10%をそのまま元本に掛けると110万円となり、結果がずれます。

引出しのある経路

同じ条件で、一年目の利益10万円を全額使った場合を考えます。二年目は残った100万円が90万円へ減り、三年目は99万円です。手元で使った10万円を加えると109万円になりますが、運用中の残高だけなら99万円です。引出しを含む総資産と、口座に残る資産を混同しないようにします。

この例では一定の上昇を仮定していないため、「利益を残せばどの経路でも必ず最も有利」という結論にはなりません。引き出した後の価格変動や使い道によっても違います。計算の目的は、毎回どの残高に収益率を掛けたかを明らかにすることです。

自分の明細へ置き換える

実際の口座では、入金と出金の日付、購入した口数、分配金、保有費用を確認します。積立額を増やした年に残高が大きく伸びても、運用成果が向上したとは限りません。特定商品の過去実績を将来へそのまま延ばすより、異なる収益率の経路で、使う時期の資金が足りるかを見る方が計画には役立ちます。

出典