過去の購入価格から視点を戻せる
「見切り千両」は、損失が出ても見込み違いを認め、拡大を避ける判断の価値を説く格言です。この考えを知ると、売却を失敗の告白と捉えるだけでなく、現在の資金とリスクを配分し直す選択肢として見られます。
ただし、損切りすれば必ず良くなるわけではありません。保有理由が続いているのに値動きだけで売れば、その後の回復へ参加できない場合もあります。知識のメリットは結論の固定ではなく、比較する選択肢を増やすことです。
回復に必要な率を確かめる仮例
仮に20万円で買った株が14万円へ下がると、損失は6万円、30%です。14万円から20万円へ戻るには6÷14で約42.9%の上昇が必要になります。下落率と必要な回復率は同じではありません。
「30%下がったから30%戻ればよい」と考えず、現在の14万円から先を見ます。42.9%の上昇を実現できるという根拠を格言が与えるわけでもありません。企業の利益や財務、現在の価格に含まれる期待を調べます。
継続の根拠も同じように確認する
購入時に期待した事業が続いているか、資金繰りに変化はないか、必要な支出が近づいていないかを点検します。保有継続、一部売却、全売却の各案で、現在の資産額と今後負担する変動を比較します。
税や費用も含めますが、税を減らすことだけで投資先を決めると、必要のないリスクが残る場合があります。売却した資金を別の投資へ急いで移す必要もありません。
振り返りでは、その後の株価だけでなく、投資前提を点検したかを見ます。損失を恥としない姿勢は役立ちますが、怖さから何でも手放す合図にせず、現在の情報と家計に沿った判断へつなげます。