下がった幅だけで「もう安い」と感じる時
昨日までより安くなった株を見て、買い場だと考える場面があります。しかし、価格が下がった理由が残っていれば、そこで止まるとは限りません。「まだはもうなり、もうはまだなり」は、このような天井や底の決めつけを疑う相場格言です。
日本証券業協会の解説も、底だと思う時に下値を、まだ下がると思う時に底の可能性を考えるという意味を紹介しています。ここから「自分の予想と反対に売買すれば当たる」という法則は導けません。
同じ株価でも判断の条件が変わる仮例
架空の会社で株価が1,600円から1,200円へ下がり、一株利益の見込みも80円から40円へ減ったとします。株価は25%下がっていますが、同じ期間の予想利益で割ったPERは20倍から30倍へ上がります。税や配当、費用を省き、利益見込み以外の条件は置かない例です。
買値や以前の高値より安いことと、利益に対して安いことは別です。この数字でも適正価格や底は決まりません。利益予想がさらに変わる場合も、将来の成長へ評価が付く場合もあるからです。格言を使うなら、下がった幅で結論を急いでいないかを問い直す場面になります。
後で分かる底と、その日の情報を分ける
チャートを後から見れば、最安値の日は簡単に探せます。その日の時点では、次の日の価格も次の開示も分かりません。後の反発を根拠に「ここで買えるはずだった」と考えると、当時の不確実性が消えてしまいます。
値上がりが続く場面でも同じです。「もう高い」だけで売る根拠は足りず、「まだ上がる」だけで持ち続ける根拠も足りません。企業の情報、保有目的、資産全体で負担できる損失が別に必要です。
この格言には、何日待つ、何%下がれば買う、といった数値の規則はありません。空売りや買い増しの合図に変えず、今の根拠が価格の印象だけになっていないかを考えるための言葉として使います。
出典
出典確認日:2026年10月23日。