複数の線が重なれば、根拠が増えたと言えるのか
チャートに何本も線を表示すると、確かな判断に見える場合があります。しかし同じ価格から作った指標同士なら、独立した材料が増えたとは限りません。トレンドラインは選んだ高値や安値を結ぶ線で、移動平均線や水平線とは作り方が違います。
| 線 | 作り方で違うところ |
|---|---|
| トレンドライン | 選んだ高値同士や安値同士を結び、傾きを表す |
| 水平線 | 注目する価格水準を、横向きに置く |
| 単純移動平均線 | 指定した期間の価格を平均し、期間をずらしてつなぐ |
同じ五日間から、違う線を見る仮例
架空の五営業日の終値を順に1,000円、1,040円、1,020円、1,080円、1,060円とします。五日目の5日単純移動平均値は、合計5,200円を5で割った1,040円です。
一方で、第1日と第3日の終値を選んで結ぶ線は、1,000円と1,020円を使います。ここでは終値を基準とする線を仮定しています。1,000円の水準へ置く水平線とも、平均値とも別です。どの線を優先すれば利益が出るかを決める例ではありません。
移動平均は使う期間とデータが同じなら、同じ値になります。結ぶ点を選ぶ線では、その選択が残ります。平均にも期間を何日にするかという設定があり、計算式があることと、未来への予測力が保証されることは別です。
回帰で引く線とも混ぜない
期間内のデータへ統計的に直線を当てはめる回帰トレンドもあります。SMBC日興証券の説明は、それを安値や高値を結ぶ一般的な線と区別しています。線が直線という外観だけで、同じ方法とは言えません。
対象期間を合わせてから、違いを読む
短い日足の線と、長い週足の平均が違う方向を向くことはあります。価格をまとめる期間が違うため、矛盾と即断するより、何の期間の傾向を知りたいかが問題です。
出来高や会社の開示を読む場合にも、これらの線とは違う何の情報を補うかが関わります。価格だけから作った複数の線を、企業価値や損失管理の代わりにはできません。
出典
- 日本取引所グループ『株価チャートの表示内容について』(四本値・移動平均線・足種)
- SMBC日興証券『回帰トレンド』(安値・高値を結ぶ線との違い)
- 三井住友DSアセットマネジメント『トレンドライン』(用語の定義。情報提供:時事通信社)
出典確認日:2026年10月23日。